使わないともったいない!経営者がクラウドソーシングを活用する2つのメリット
今回は、クラウドソーシングの導入を検討している企業の方から頂いた、以下の質問にお答えします。
Q.現在、クラウドソーシングの利用を検討しています。クラウドソーシングには数多くの利点があると聞きます。クラウドソーシングのメリットにはどんなものがあるか教えて下さい。
テレワークを広げて行くと、離れている人に仕事を依頼できるという機会に恵まれます。中でも、インターネットを介して多数の人々に業務を委託するアウトソーシングであるクラウドソーシングは、メリットが豊富にあっておすすめのサービスです。
私も自身もクラウドソーシング会社を起業するなど、これまで非常に多くの場面でクラウドソーシングを活用してきました。今回は、そんな自身の経験からクラウドソーシングを活用する代表的なメリットを紹介します。非常に基本的な内容ではありますが、今からの活用をご検討中の方はぜひご覧ください。
メリット1:大量のタスクをスピーディ&ローコストに実施できる
クラウドソーシングのメリット、1つ目は『人的リソースが必要な大量タスクをスピーディ&ローコストに実施できる』です。
例えば例えばDM(ダイレクトメッセージ)を送る際に、数千企業の住所をリストアップしなくてはいけないとか、URLを数千チェックしなくてはいけないという作業があるとします。
この場合に自社にいる社員とアルバイトを使ってする場合、アルバイトがどんなに頑張ってくれても1日あたり8時間しか時間がなくて、5人で一斉に取り組んだとしても計40時間しか1日分のキャパシティーがない訳です。1件30分かかると、1日あたり80件が処理できる上限になります。例えば4,000件の場合、50日かかってしまいます。
ところが、クラウドソーシングでは一度に100人とか200人に依頼してやってもらうということが当たり前の様にできます。100人が行えば、1日で1人40件作業してもらえば、4,000件の作業が1日で完了してしまう事ができます。
クラウドソーシングでは、この様に人が必要な大量作業を非常にスピーディーに行うことができるのです。
しかもコストも大幅に減らすことができます。先程の例で言うと、月額で給与を支払う社員やアルバイトの場合は、計算上コストが1件あたり200円とか300円とかになってしまうものが、クラウドソーシングの場合は単価を1件あたり100円や50円にする事も可能です。格段にコストを安く押さえる事ができるのです。
この様に、クラウドソーシングでは、人が必要な大量タスクをスピーディ&ローコストに実施できるという大きなメリットがあります。一度この良さを体験してしまうと、大量タスクがある時にクラウドソーシング使えないと相当困ってしまうという、不可欠な存在にまでなってしまうのです。
メリット2:必要な時に必要な分だけ依頼できる(変動費で使える)
2つ目のクラウドソーシングのメリットは、『必要な時に必要量を依頼できる(変動費で使える)』という事です。
アルバイトや社員は時間や日数で雇用してその間一定の給与が発生します。その時間の中でフルで対応してもらう業務があれば良いのですが、当然業務が無い時間帯も出てきます。そういった何も無い時にもコストが発生し続ける訳です。つまり必要でない時間にもコストを支払う必要があるのです。
もちろんそれにもメリットがあります。継続性があり、仕事に習熟してもらう事ができ、関係性を構築する事ができます。しかし経営的にはコストがずっと発生し続けるところで負担が大きく、特に気軽に新しい事を試すというのがしにくかったりすることが多いのです。
そんな時にクラウドソーシングを活用するという選択肢が出てくると、その期間中だけ必要な人を必要な数依頼できます。何も無い時間の間のコストを抑えることができるのです。
継続的なコスト負担を負わなくて良いので、新しい実験的取り組みやトライにも向いています。つまり、非常にコストが低くハードルも低いという非常に大きなメリットがあるのです。
圧倒的にコストを抑えることができる手法
前述の通り、私自身もクラウドソーシングの会社を経営していたので、その利点を数多享受してきました。
実は、その会社は従業員ゼロで始めたのです。その前に起業していた別会社は、普通に社員やアルバイトを雇用していました。従業員が増えてくると、当然比例して毎月の給与支払いが増額します。給与は固定費ですので会社に毎月発生する負担です。全世界の全ての企業経営者が、共通して精神的重圧を感じるであろう要素です。
特にビジネスモデルが安定収益が見込めるストック型ではなく、毎月異なる売上高のスポット型になっていると、「今月も無事に収益を上げて給与を支払えるか…」と常に不安にかられます。
しかし、2社目に起業したクラウドソーシングの会社は、代表者の私以外は従業員無しという体制でした。業務は全てクラウドソーシングのワーカーの人達だけで回していたのです。
体制をこの様にする事によって給与の固定費を無くし、仕事量に相当コストが比例する形、つまり変動費化した形にモデル構築ができました。例えば、その月に売上が無かった場合でも、殆どコストが発生しない形にできたのです。さらにその会社は固有のオフィスもなかったので家賃もありません。本当に大きな固定費がほぼ無かったのです。
この様に大きな固定費がほぼ無い形は、経営者として圧倒的に良いものでした。仕事があったら、ワーカーの方々にきちんと報酬を支払いながら収益が上がり、仕事がない場合もコストがでない、といった形なので、月々の支払いができるかどうかの不安が無かったのです。精神面でとても楽に事業運営ができました。
以上の様に、クラウドソーシングには企業にとって非常に大きなメリットがあります。経営者としてはぜひ使いこなすべき手法だと思いますので、ぜひ1つの手段として学んでおくことをおすすめします。
最後に1点申し上げたいのは、「くれぐれもクラウドソーシングを悪用しないようにしましょう」という事です。
人と人との間柄においては、やはり『信頼関係』が重要です。それに対して、クラウドソーシングが便利だからといって、必要量だけ人を使って終了したらバシンと切って「明日から仕事一切ありません」みたいなやり方をするのはどうかなと思うのです。
この便利なクラウドソーシングのスキームを悪用して、搾取的に良くない形で人を使ってしまう人が多いと見聞きします。経営者目線は利益追求が基本になるので、ともすると信頼とは逆ベクトルになりがちです。しかし、その辺はバランスが大切だと思うのです。この2面がバランス良くあると、変動費化できて経営面では安心が得られ、同時に、人として会社としてあるべき良き姿も全うできるのです。
大切なのはバランスの問題です。 渋沢栄一さんの『論語と算盤』的な考え方ですね。商売には、算盤(=利益追求思考)に加えて、論語(=道徳的思考)も無いといけない。やはり人間と人間で成り立つものなので、道徳的思考を踏まえる事は非常に大切なのです。
残念ながら、今のクラウドソーシング業界は論語と言うべき道徳的思考が少なく、利益追求に走りすぎている傾向があります。
クラウドソーシングは本当に便利なスキームなので、この論語の面を関係者がもっと強く注力していく事で、結果的にそれぞれの企業も利益が得られ、ビジネス界全体も大いに隆昌していく事ができるのではないでしょうか。
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