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サマーコンプレックスと私 / シゲ

text by シゲ
posted on Jul 21,2021


お久しぶりです。

もうすぐ夏が来ますね。

去年は花火やらお祭りやらは軒並み中止となってしまいましたが、今年も続くコロナの影響で夏のイベント事の大半は中止となってしまうでしょう。

今青春時代を過ごしている方々は、一度しか無いその年の夏に特別な思い出を作るのが中々厳しい状況だと思われるので、なんだか切ないなぁと思います。

まあ、ぶっちゃけコロナがあろうがなかろうが、ステキな青春を送れる人は送れるし、送れない人は送れないもんだと思いますが…。

私は、青春時代のどの年を思い出してもステキな青春の夏は送れなかった人間でした。

私の好きな三秋縋さんという作家さんがある小説のあとがきで『サマーコンプレックス』という言葉を提唱したのですが、夏を強く感じさせるものに触れたり、見てしまうと、憂鬱になったりする事をそう言うらしいです。

曰く、青春時代に「正しい夏」を送れなかった人達は、強い夏への理想や憧れのせいで、夏が来る度にそういう症状になると。

この「正しい夏」という表現、人によっては「じゃあ正しくない夏ってなんやねん」と思われそうですが、私は凄くわかるし、大変素敵な表現だと思います。

というか、「正しい夏」、「正しくない夏」というのは確実にあると思っています。

10代の学生時代〜20代前半にかけて、私は「正しい夏」を送った記憶がありません。

「正しい夏」とは、まあそれぞれの人達が想う形があると思いますが私にとっては、友達数人、もしくは好きな人、恋人と青春の夏を過ごす事だと思います。

青春の夏とは、海や川へ遊びに行ったり、お祭りへ行ったり、花火を見に行ったりetc...とまあ夏といえば考えられる楽しみ方をする事です。

私が送ってきた青春時代の夏は、それはもう陰なものでした。

まず、夏休みに一緒に思い出を作ってくれる様な恋人はおろか友人もいませんでした。

いや、友人は居たには居たのですが、「そういった友人」という存在はいなかった気がします。それは恐らく私に原因があり、学校で慣れ合ったりするならともかく、基本性格が陰だった私とわざわざ夏休みに連絡を取って会ってくれる様な友人はほぼいませんでした。

本当に時々、ゲームセンターに誘ってくれる友人がいたくらいで、後は私の方から誰かに連絡する事など全く無かったし、夏休みが始まった瞬間見えない何かのしきりがシャットダウンしたような感覚を毎回覚えていました。

で、夏休みの期間中何をしていたかというと、まず思い出せるのが、ひたすら妄想をしていたという………。

昼頃起きて、ご飯を食べて部屋に戻り、窓とカーテンを閉め切ってクーラーを付け、タオルケットに包まりながらひたすら夜まで「理想の夏」を妄想し、夕ご飯を食べたらまた部屋に戻って明かりを全消し、再びひたすら妄想をし、朝の4時くらいまでしていると脳みそがバグるのか何故か自然と涙が溢れてきて、そうなったら寝るという生活を夏休み中ずっとしていました。

今考えると電気代とかやばかっただろうなと思いますが、電気代を親に怒られた記憶は無く、むしろ夏休みなのに何処にも行かずに部屋に篭っている私に「アンタ夏休みなのに何も予定とか無いの?」と母が若干心配して聞いてきた記憶があります。

高校2年生の夏は好きな人が出来て、夏の間中その子との夏の思い出をずっと妄想していました。

しかし、夏の終わりにその子から彼氏が出来たよとメールが来て、私が妄想している夏の間、その子は現実世界でステキな男子とステキな青春を送っていたかと思ったら、涙が溢れて止まらなくなりました。

その頃の私はとにかく自分に自信が無く、好きな人が出来てもデートに誘ったりだとかそういう勇気が全く絞り出せず、妄想をする事しかなす術がありませんでした。

そんなこんなでそういった「正しくない青春」を送ってきた私は、36歳になっても青春への想いが断ち切れず、夏が来る度にサマーコンプレックスを引きずっている有様です。

手を繋ぎたかった。

茶色がかった髪をショートボブにした、とても色白な、ぱっちりとした二重瞼の目の色が髪の色と同じなとても可愛らしくステキな君と。花火大会に行きたかった。2人で並んで花火を見上げて、時々花火に照らされる君の横顔に見惚れて。花火が終わって、じゃあ帰ろうかと人混みの中で帰路に向かう時、勇気を振り絞って、君の細くて綺麗な手を握り締めたかった。君と手を繋ぎたかった。俺じゃない他の誰かじゃなくて、俺と。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰かじゃなくて。俺じゃない他の誰か。俺じゃない他の誰か。俺じゃない他の誰かなんだ。俺じゃない他の誰かなんだよ。俺じゃない他の誰かなんだ。俺じゃない他の誰か。俺じゃない他の誰か。俺じゃない他の誰か。俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない他の俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃないああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

皆様がステキな夏を送れますように。


シゲ_profile

静岡に住んでいます。
音楽が好きです。
バンドをやったりもします。
Gangliphoneというバンドでベースを弾いています。


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