母のミシンと昔の思い出
子供の頃から亡き母はよくミシンを踏んでいた
その姿を側でよく見ていたわたしは
母の影響で洋裁の道に進んだ
よく考えて見ると母が新しい生地で何かを作るのは見たことがない
いつも押入れからゴソゴソと、古いボロきれみたいな物を引っ張り出してきて何かを作り直している
わたしが洋裁学校で新しい生地から作り始めるのを見て
「よく新しい生地をバッサリと裁つ度胸あるねぇ!」と母が言う
わたしは当たり前の事だと思っていたのだが、母にとっては難しい事らしい
「まさか学校でボロきれを縫うなんてことはあり得ないよな」と思いながら聞いていた
もったいない精神がありすぎて出来ないと言う母
母の古い足踏みミシンを借りて、今度はわたしがカタカタと学校の課題を縫い始める
2人で縫い物をしたあの時間
とても懐かしい夏の思い出
わたしの家庭はあまり裕福ではなかった
当時はどこも似た様な家庭が多かったとは思うが
普通のサラリーマンの父が子供4人を養っていたのだから大変だったろう
それでも兄は大学まで、姉二人も専門学校まで通わせてくれて
今考えると親の苦労やありがたみが身に沁みる
まだ若かったわたしにはその事を全く考えずに洋裁学校に通わせてもらった
洋裁学校で私が新しい生地を買い、何かを縫う事は母にとっては多分贅沢なことだったに違いない
今わたしが古い着物をほどいて洋服にリメイクする姿は、母と重なってくる
私の中で今も母は生きている
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