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【感想】弟切草 スーパーファミコン

ジャンル:サウンドノベル

※若干ネタバレ有

ちょっと懐かしめのゲームを。
個人的にはかまいたちの夜より好きですね。
長く続いたのはかまいたちの方で、やった時間もシリーズ通してなら
かまいたちの夜の方が多いと思う。
でも、初めて買ったCDは弟切草のサントラだったし(多分)、今思い出しても
情緒がやばいほど思い入れがある。

弟切草は雰囲気がすごい良いんだよね。
二人で人里離れた不気味な洋館に入って、限られた登場人物と一晩を過ごすっていう、退廃感とか閉塞感みたいなものを感じつつ、最後には後味悪めで尾を引くような幕引きになる(大体は)。たまらんね。
二人の関係性とか今後とか、一部のエンディングのやるせなさとか、思いを馳せるポイントがいくつかあって、センチな気分にさせてくれる。

弟切草独特の雰囲気は他に類を見ないと思う。少なくとも自分は同じ雰囲気を持つ作品に出会ってない(覚えてないだけかもしれないけど)。まあ、雰囲気に振り過ぎてて、読み物として見たときにちょっと不格好なところは結構ある。

例えば、弟切草というタイトルが付いているけど本編の内容にはあんまり関わってこないし、ゲーム中の花言葉として復讐っていうのが出てくるんだけど、本来の弟切草の花言葉は復讐に最も近い意味でも恨み、敵意でちょっとズレてる。

あと、ゲーム中のフラグ管理がおざなりでシナリオのルートが安定しない。複数のルートを行ったり来たりして話が繋がらないというのは良くある事で、たまにバグって全然違うエンディングに繋がる事とかもあって、割とめちゃくちゃ。

そういう細かい(?)ところを薄目で見る事が出来れば雰囲気を楽しめると思う
普通に感動するシナリオとかもあって、自分はあんまり気にならなかったかな。

シナリオとして好きなのは火傷編とライラック編。
火傷編は(このゲームにしては珍しく)純粋にシナリオの構成が上手いし、ライラック編は普通に感動する。
あとピンクのシナリオがすごいエロかった記憶がある。やってたのが中学生の頃だったから5倍ぐらい盛ってる可能性があるけどね。でも、文字のエロさって無限大だよね。今読んでも結構いい可能性も無きにしも非ず。
火傷編は多分一番最初にたどり着くエンディングだし、万人におすすめな
展開かつ弟切草の雰囲気も壊さないから、やった事なければ一周だけやってみるのは時間効率いいかも。

あと、弟切草のシナリオ面で面白いのは、ルートによって各キャラの設定とか立ち位置が変わるところかな。あるシナリオで悪役だったキャラが別の
シナリオでは助けてくれたり、シナリオによって性格が全然違ったりして、割と飽きない。演劇を行っているような感じかな、この辺は何周かすると
設定のブレを伏線として回収するようなシナリオも出て面白かった。

まあ、一番最後のシナリオというかエンディングがすっきり(?)した終わり方だったから全体的な印象がいいのかもしれない。弟切草の〆としてはあれ以上は無いね。

弟切草と最初に出会ったのは物心つく前だったかな。
すごい怖いゲームっていう印象だったのは覚えてる。
タイトル画面まじで怖いし、文字は全然読めなくて意味が分からなかった。
なんでか分からないけど中学生になってもう一度触れてみようと思ったんだよね。確かサウンドノベルがマイブームになってたんだっけな、友人Kの
影響で。かまいたちの夜含め、あの頃にサウンドノベルに触れられたのは今となってはいい経験だったと思う、色んなゲームの良さを知れたという意味で。

サウンドノベルというジャンルは今では完全に死んだと思うけど、死ぬ前にそれ特有の良さ(ビジュアルでの描写を制限することで想像の余地があるとか、ただの読み物と比べるとBGMがある事で情緒を強調出来るとかかな)に
触れられて、価値観の幅を広げられたのは良かった。

冒頭でサントラを買ったっていう話が出たけど、曲もマジで良い。
いや客観的に聞けば陳腐でチープなものなのかもしれないけど、ストーリーと合わせて聞くととても情緒があるんだ。一時期(中学生の頃)は弟切草の
サントラを流しながら寝るという習慣があったほど好きだった。

今聞くとシナリオとか思い出しちゃって感情が不安定になるから、ある時期からあんまり聞けなくなってしまったのはちょっと残念。
さっき流し聞きしてきた感じだと、やっぱり名曲揃いだと感じた。
まあ、気分がかなり落ち込んでいてもっとぐちゃぐちゃな感情まで行きたいってなった時は聞くかも程度。ほんとに好きな曲群なんだけどね。
※蛇足だけど、サントラにプレミア付いてた。チュンソフトゲームミュージック グレイテストコレクションってやつ。大切にしよう。

記事を書くにあたって少し弟切草について思い出しながら調べてたんだけど続編というか、オマージュ作品があるっぽいから記しておく。
タイトルは『霧切草』
ストーリーとか展開はまんま弟切草で、ダンガンロンパの霧切響子(自分は
ダンガンロンパあまり知らないので誰だか分からない)と一緒に洋館に迷い
込めるというものらしい。
ダンガンロンパ3のBD-BOXの初回限定版に付属してたってことで入手難度はすごく高そう。でも、もし手に入ったら霧切さんの設定を頭に入れてからプレイする手間も惜しまないくらい興味がある。
記事を投稿した後でプレイ出来たら記事に追記しようと思う。もしすごい良ければ単独で記事を書くかも。ちょっとプレイ動画を覗いた感じだと、音楽は元ネタまんまっぽい。
ちょっと楽しみが増えたな。

さて、弟切草について書いてきた訳だけど、このゲームは面白いからとりあえずやってみてとはとても言いづらいマニアックなゲームではある。
でもこのゲームでしか得られないものも確かに持ってる作品だから、少し調べてみて興味があったら、ぜひやってみて、なんとも言えない読後感に包まれて欲しい。

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