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庭のお茶②

この薬草の庭を作ろうと思った時に私は49歳で、作り始めたのが50歳になる頃。田舎で暮らすようになってからの生活の変化や、父の闘病や死とも関係してか、50歳になった途端に体調の変化を感じるようになりました。これが更年期?または単に歳を感じるようになった、ということかも知れません。急に白髪が増え、月経周期が変化し、関節痛が出、最近では朝早く目が覚めて眠れなくなったり。ボーッとしてる間に一気にきた感じでした。

それもあって、女性の不調に効くハーブティーをまず飲みたいと思いました。本を読むと、更年期ということでは、チェストツリーやレディスマントル、ヤロウなどがメインにくるようなので早速植えてみました。

ピンクの花が咲くチェストツリー。他にも紫花、白花がある。
後ろの紫花がヒソップ。土が合っていたのか、あちこちでよく咲いていた。

チェストツリー(学名:Vitex agnus-castus 別名:セイヨウニンジンボク、チェストベリー)は、まだハーブの庭をつくることも考えていなかった頃に、この村の隣の地域を車で走っている時に目に止まった木があって、いいなぁーと思っていたのが紫花のチェストツリーでした。成長した時の姿や大きさをイメージできていたので、花壇に最初に植え込みました。30cmほどの苗を買って植えたら、2年目には樹高120cmほどに育ちました。枝は地を這うように横方向にも伸びるので、樹高が出るまでは周りにはあまり茂るものは植えにくいと思います。幹がしっかりしてきたら下の枝を払って普通の木のように扱うのもよさそうです。チェストツリーの樹下に灌木や草花を植えて雰囲気の良い場所をつりたいなと思っています。

秋になるとこんな実(チェストベリー)ができる。目玉みたい。
花も葉も実も同じ香りがするけれど、実が一番香りや薬効が強いそうです。

最初にチェストツリーの葉を乾燥させてお茶にした時、乾燥させた葉の独特の色と感触、ちょっと癖のあるツーンとした薬っぽい、でも香り高い味わいにただならぬ、近寄りがたいものを感じました。

チェストツリーは本によって、分類がクマツヅラ科だったり、シソ科だったりします。私の場合、最初に本で読んだ時はクマツヅラ科と書かれていてピンとこなかったのですが、後に他の本でシソ科と書かれているのを見て、あれっ?と思うと同時に、確かに香りがちょっとセージに似てる、と思いました。
今調べてみたら、日本メディカルハーブ協会のHPによると、シソ科が最新の分類のようです。花の形状もシソ科そのものだし、私的には納得。

昨日は、ハーブティーのブレンドを考えるために改めて10種ほどのハーブを単品で試飲していたのですが、チェストベリー(実)のお茶を飲んだ後、セージの葉のお茶を飲んだら、改めて香りがとても似てるなーと思いました。精油成分に重なるもの(シオネールとか?)があるのでしょう。チェストツリーの葉と実では実の方が飲みやすいと思いました。セージと比較すると、セージの方が味に甘さがあってまろやかで香りも含めて全体に高貴な感じがします。チェストベリーの方が香りの点でも何か突出したもの、成分?を感じます。セージも更年期のホットフラッシュや寝汗に効くそうなので効用的には重なるものがあるのでしょうか。

私はハーブに興味を持ちはじめて今年で3年目ですが、知れば知るほどに、育てて飲むだけではなく、化学的なことも理解したいと思うようになりました。昨年、ハーブティー講座を受講したトトラボさんの、化学の講座を今は受講していて、分子や電子などについて勉強中です。化学反応が少しわかるようになると、例えば、上のチェストベリーとセージの相違や共通点についてなども、含有成分から自分で仮説を立てたり判断したりできるようになるのでしょうか。全く未知の世界です。トトラボさんのハーブ講座に触れて以来、ミクロやマクロな世界の、目に見えない仕組みを知ろうとする理系の世界はすごいなと思うようになりました。

レディスマントルの葉には全体に毛が生えているので水を弾く。
葉自体も乾いた感じで、乾燥も早いです。

レディースマントル(学名:Alchemilla vulgaris)は、これもハーブに興味を持つ前から、雰囲気の良い多年草として庭に植えたいと思っていた植物でした。庭用に売られているのは近縁種のアルケミラ・モリスが多いようです。花を咲かせるとバラ科らしく優美です。植物療法に使えるレディスマントルを、地植えする場所に迷い、しばらく鉢植えで育てていたところ、葉も大きくなり、きれいに花を咲かせてくれました。その後庭ができて地植えしたところ、土質が合わないのか、大きくならず、小さいまま。昨秋に株分けしたばかりですが、今年はいくつかを鉢上げしようと思います。

レディースマントルを単品で飲むと、落ち着いた生っぽいお茶の匂いがします。ちょっと苦味のあるとろっとした丸い味というのでしょうか。タンニンを感じます。特にクセがないので、お茶のベースとして使いやすいです。

最初の頃は、葉でも花でも千切らず姿のままポットに入れて、
お湯を注いで元の形に戻るのを楽しんでいました。
レディースマントルは特に形がかわいくて見た目にも癒されますね。

そして、ヤロウ(学名:Achillea milliefolium 別名:セイヨウノコギリソウ)。これは私の中ではお気に入りのハーブです。効用を見ても、“毒素排出機能の正常化”など私に必要なハーブだなと思うし、葉も花も野草的で好みです。

ヤロウは花の時期には花だけ収穫して、花が終わったら葉を収穫します。
薬効が強いのは葉だけど、花をお茶に入れると小花がかわいい。葉もかわいい。
環境に合えば、茎を地上に這わせてどんどん株を増やしてゆきます。
私は日向に植えていますが、友人の半日陰の庭のヤロウはこの花の4倍くらいの大きさなので、
この酷暑の関西では半日陰の方が好きなのかも知れませんね。
干してる時もかわいいです。

ヤロウを単品で飲んだところ、これはヨモギに似ています。キク科同士ですもんね。比較すると、ヨモギは香り高く、苦味があり、一旦ぐっと沈んでから上に上がってくるような風味。ヤロウはヨモギよりマイルドで、香りと味、口当たりが調和している感じがします。さっきのチェストベリーとセージの関係に近いです。
こうやって飲み比べると色々勉強になります。

トトラボのハーブティー講座を受講した後に、代表の村上志緒さんに、ハーブの効用についてはまず自分で味わって自分の変化を感じるところから始めるようにとアドバイスいただきましたが、本当にそれはその通りだと思いました。

ハーブの庭を作って1年経った頃からの、私のハーブティーの先生であるmichiさんからも、味や香りの感じ方は人によっても体調によってもすごく違うんですよ、とよく聞きますが、効用の表れ方も人それぞれなんじゃないかなと思います。

栄養の吸収に関して何かで読んだか聞いたかしたのでは、一人ひとりの腸内細菌叢が違うので、食物のどの有効成分を吸収できるかも人それぞれであるということのようです。なのでハーブに関しても本に書いてある効用がそのまま自分に当てはまるとは限らないし、一般的には書かれていない効用を感じることもあるかも知れません。

実際、私と息子はネトルを飲むようになってから腸の調子が良くなったのですが、そういう効用は手持ちの7冊のハーブの本には書いてありませんでした。ウェブでいろいろ調べているうちに、ついに、ギリシャのディオスコリデスが、ネトルの葉の効用として利尿と便通を挙げていた、という記述を見つけました。コレコレ!と思いました。こういうことがあった時に、科学的なことを理解し成分を見てあれこれ考えたり予想できたら楽しいだろうなと思ったのです。でも逆に、このディオスコリデスの例で言うと、化学成分云々より経験値が大事だということになるのでしょうか・・・? どちらも大事だし知りたいですね。

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