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Base Ball Bearで武道館に初めましてしてきた話

2022年11月10日、日本武道館にて、Base Ball Bearの結成20周年記念ライブ "(This Is The) Base Ball Bear part.3"が開催された。
音楽の聖地的な扱いを受ける日本武道館ではあるが、私は今回のライブが初めての日本武道館であった。九段下で下車し皇居方面に向かうと、「玉ねぎ」とも称される、画面上でしか見たことのなかった武道館のシルエットが目に入り、胸が高鳴った。

会場限定で発売されたシングル「海になりたい part.3」、その他グッズを数点購入し、会場を待つ。都心の地理に疎い私は武道館がそびえる九段下が他の街とどのような位置関係にあるのかよく理解していなかったので、好きな街のひとつである神保町の隣であることには大きく驚いた。時間があったため神保町のうどんの名店である「丸香」を訪れ、かけうどんとかしわ天で腹を満たす。平日の3時ごろという中途半端な時間帯にも関わらず行列ができていたが、麺もスープも美しい一品でその客足にも深く納得した。

丸香のかけうどん(中盛り)とかしわ天

午後6時、開場。入場時に特典として紙チケットを受け取る。電子チケット全盛の時代ではあるがやはりアナログには心惹かれるので単純に嬉しい。
ここ最近チケット運がなかなか良く、今回もアリーナAブロックの席を引き当てていた。武道館に初めて足を踏み入れて感じたことは、その「スポーツ場感」とでも表そうか。音楽ファンとしてはコンサート会場としてのイメージが強いものの、本来は武道場である。建物としての造りがアスリート向けというか、アリーナ(アスリート向けの競技スペース)とスタンド(観客席)間の動線がはっきりと分かれている感じがなつかしかった。私は数年前まで部活で水泳をやっていて、国際大会を開催できるようなプールもよく訪れていたが、それらの建物と造りがよく似ている感じがした。
そういった理由なのか、入り口からアリーナ席への動線がすこぶる悪かったのが印象的だった。階段も通路も狭く長かったので、やはりコンサート用の会場ではないなと強く感じた。ただ実際アリーナに入ると、それまでの道のりが窮屈だった分、開放感が大きかった。何より天井が圧倒的に高く、吊り下げられた日本国旗が圧倒的な存在感を示していた。ステージ上にはベボベのCDジャケットでおなじみの電波塔を模した照明がそびえたっていた。開演前SEではサカナクションやASIAN KANG-HU GENERATION、スーパーカーなど、ベボベと関係性の深いアーティストの代表曲が流れていた。

武道館入口

午後7時、開演。20年の様々を圧縮したようなセットリストはまさに至極であり、20年間でベボベが挑戦した歴史を証明された気がした。「武道館は退館時間に厳しいから」と短くまとめられたMCを3回挟み、本編では計18曲が披露された。特にたまらなかったのは、GIRL FRIEND → LOVE LETTER FROM HEART BEAT → short hair → 初恋 のブロック。ベボベの中心軸といってもいいようなボーイミーツガールがテーマの曲が並び、初恋で閉めるというのがかなり好みだった。初恋のアウトロのギターソロはベボベのギターソロの中で特に好きなので、武道館できくことができて良かった。また終盤ブロックはバンドとしてのカッコよさに魅せられた。私は「C2世代」であるので「それって、for 誰?」part.1のサウンド作りにはやはり痺れた。このブロックでは3人の20年間続けてきたことに対する音楽的なプライドを感じた。ドラマチックでは銀テープも飛び出し、華々しく本編の幕が下りた。
アンコールでは「風来」がまず披露され、2023年にツアーが開催されることが発表された。20年間続けてきたロックバンドが言う「解散しません!」は説得力が違う。堀之内さんの魂の咆哮から始まる「夕方ジェネレーション」、人々の続いていく生活の尊さを唄う「ドライブ」をもって本公演は終了した。ドライブのアウトロ前に紙吹雪が舞い、20周年と21年目を武道館全体が祝福しているように感じた。

ベボベの20年の歴史のなかで私が追いかけられたのはここ10年弱でしかないが、中学、高校、大学、大学院と私の青春に常に寄り添ってくれたバンドである。そのバンドの20周年記念ライブに参加できたことを非常に嬉しく感じたし、またベボベを好きでいてよかったと強く感じさせてくれる公演だった。そして日本武道館という会場で輝く3人と電波塔はまさに私にとってのロックヒーローであった。思えば2021年11月11日、20周年記念日を中野サンプラザで観てから、2022年11月10日、20周年イヤーの最後の一日を日本武道館にて観るまで、ベボベ尽くしの一年だった。21年目以降のベボベがどのような音を奏でるのか、今から楽しみでならない。


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