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「あなたが浮気をしないのはあなたがモテないからだよ!」と言われた話。

5年前の冬、友人のアパートに集まって、高校の同級生8人(男性4人女性4人)で鍋をして、お酒を飲んだ。

私たちの高校のクラスはクラス替えが無く、3年間同じメンバーで男女共に仲が良かった。

みんな変わらないところがあったり、大人になったなぁと感心するところがあったりと楽しかった。

鍋も食べ終わり、お酒を飲みながら恋バナになった。


私は恋バナが大好きである。

なるべくハッピーな恋バナが好きで、いちばん好きな恋バナは「付き合う前でお互いに好意を持っているのはわかっているけど、まだ告白していない」という話。「それもう好き同士じゃん!」「告白しちゃえよ〜」と囃立てるのが楽しい。

この手の恋バナはご飯をご馳走してでも聞きたい!


しかし、いつもこういったハッピーな恋バナをきけるわけではなく。

その時もお酒がすすむと、女友達のSが

「男性は全員浮気するんだ!」

と言った。

私も一応男性なので「男性は全員」という言葉が引っかかった。
「浮気は絶対にしない、浮気をするぐらいなら別れる」という信条をかかげている私は反論した。

「いや、全員ではないよ!私は絶対に浮気はしない!」と言った。


するとSが

「あなたが浮気をしないのはあなたがモテないからだよ!」

と強めに言った。

ガーン!

ガーン!!

ガーン!!!


(今、その時の出来事を思い出しながら文章を書いているのですが、その言葉を言われた時の衝撃がよみがえってきてドキドキする)


今なら冷静に

「男性は全員ではなく、モテる男性は全員浮気をするんだ!と訂正してくれ!」

と反論することができる。いや、モテる男性でも浮気をしない人は絶対にいるはずだけど。

しかし、その時は一瞬にして思考が停止した。。。

他の友人もS本人も一瞬固まっていた。

場が凍る」とはあの時のことを表す言葉なんだなぁ。

場の気まずさからか、すぐに別の話題になり解散となった。


友人のアパートからの一人歩いて帰る途中、冬の夜風がアルコールで火照った頭を冷ましてくれた。

歩きながらさっきのSの発言を思い出していた。

「あなたが浮気をしないのはあなたがモテないからだよ!」

ふと、そうかもしれないと思った。


私が「浮気は絶対にしない、浮気をするぐらいなら別れる」という信条を持っている(持つに至ったのは)のは「私がモテてこなかったから」かもしれない。

私は「浮気しないという約束で付き合っているのに、それを破るのは相手の人間性を馬鹿にしている」と思っている。


しかし、もしも私が幼いころからモテモテで、ひっきりなしに告白をされて成長してきたなら、そのような思考をしてきただろうか。

もしかしたら「こんなにモテモテなんだから、人から求められたら応えるのが正しい」という考えに至るのかもしれない。(これはモテモテでなかった私には想像することしかできないけれど)


『歎異抄』の「わがこころのよくて、ころさぬにはあらず。」を思い出した。
(私のこころが優しく善良であるから、殺さないのではない。〜殺してしまうような宿業の深い背景がないから、殺せないのである。〜)



もしも私がモテモテ人生だったなら、浮気をして、好きな人を傷つけてしまったかもしれない。

好きな人を傷つけるぐらいなら、私はモテなくて良かったと初めて思えた。

「あなたが浮気をしないのはあなたがモテないからだよ!」と言ってくれた友人Sに感謝だ。

好きな人だけにモテればいい!


タイトルの写真は二村ヒトシさん著の『すべてはモテるためである』という本です。とても面白い本で、どちらかと言うと哲学書に近いんじゃないかと思っています。「なぜあなたがモテないのか?」「それはあなたがキモチワルイから」「きっと人間は、他人から『あなたは、そんなにキモチワルくないよ』って、保証してほしいんです。」などと書いてあります。


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