世界史記述の勉強法【「共通テスト」から「一橋大世界史奇問」まで】
今、日本の歴史教育は変革を迫られている。
「歴史総合」の誕生は、「もっとグローバルに日本史と世界史の垣根を越えて世界へ羽ばたく日本人を増やす」という政府の意図を感じるし、江戸時代に鎖国していた日本とは違い、現代は情報革命によって世界中が「近く」なった。もはや、世界はすぐそこであり、イスラームや中国共産党、アフリカはかつてないほどに身近になった。スマホの画面の向こうには小さな地球が広がっていて、意思があればすぐに地球の反対にまで手を伸ばせる。
ゆえに「日本人」という自意識をより意識せざるを得ないし、「世界」というものの実像をもっと知って、学ばなくてはならない時代となった。明治時代の偉い日本人たちも世界には精通していた。日本というものへの理解も、今とは比べ物にならないほど高かった。でも今は、名もなき庶民もグローバル化の影響を受けざるを得ないし、歴史的な視座を持たない無知な人間が、他国、多文化へ向ける目線は、差別的で偏見的になりやすい。
そして、日本の世界史の受験事情を見ると、難関大であればあるほど「記述」が試験に含まれる割合は増えていく傾向にある。その終着点が一橋世界史であり、400文字×3問だけ、というスタイルが30年ほどは続いており、多くの受験生を絶望の淵に叩き落し、多くの受験生を墓場へと送っている。
この記事は、そんなこれからの時代を担う高校生に捧げる、世界史の記述対策の勉強法の記事である。
赤ちゃんレベルの記述能力しか持たない高校生から、一橋という鬼門をくぐろうとしている高校生まで誰にでも楽しんでもらえる内容になっていると思う。記述には才能など一切必要ない。訓練の努力が100%に近い純度で報われるきわめて公平な世界だ。時間と労力をかけない者は一生報われない世界ともいえる。
しかし、つい先日まで先生の講義をぼーっと聞いてそれっぽく板書をして、テスト前に教科書をチラ見してきただけで、まさにゆりかごを卒業したばかりの赤ちゃん同然の高校生にしてみれば、記述とは非常にハードルの高い問題に思える。僕も高3の秋くらいまで記述50文字もかけない赤子だった。でも今ではYouTubeに歴史解説動画を作るために35万文字の原稿を作れてしまうまでになったのだから、人間は変われるはずだ。
そして、記述とは本当に楽しい知的作業でもある。
書けたら書けるだけ楽しい。書けるほどの知識がないからつまらないし、難しいし、飽きてしまう。
一度ハマれば、抜け出せなくなるに違いない。
暇さえあれば書いてしまう、僕のような狂人になるのは一握りだろうが、少なくとも世界史の受験を乗り切るほどの記述能力を身に着けるのであれば、一定程度の努力で誰でも達成可能である。
まさにアトリー内閣のように、やさしく、丁寧に説明し、だれも犠牲にしないように説明していきたいと思うので、記述の勉強に困っているあなたはぜひ最後まで見てほしい。本編は全て無料で読める。なぜ記事に値段がついているかというと、番外編として
を欲しいという一部の人向けに用意しているリンクのための料金にすぎない。これは基本誰にも渡したくないデータなので(だしほとんどのデータは動画として公開している)値段をつけたという形になる。値段は当然僕の一番好きなあの事件の勃発年を採用している。買ってくれてもかまわないが、他人にリンクを送ったり、ネット上に公開するのは絶対に控えてもらいたい。(もしそんな人が出たら墓場まで追いかけまわします、冗談です)
ということで、長々と導入しましたが、さっそく本編へまいりましょう。ここまではイキった「だ・である」文章を書いてきました。実際、記述するときには「だ・である」で書くのが無難なので、あなたも「だ・である」で統一して書くといいと思います。書き慣れてくると、あるタイミングでゾーンに近い感覚が得られる日が来ます。書いてて、「うおおおお、めっちゃ言葉が出てくるぞおおお」っていう気持ちの良い感覚です。自分が無敵にでもなったような感覚です。これを味わうことを最初の目標に据えてほしいなと思います。
まぁ、翌日に読んだら気持ち悪い文章になっていることが多いので、リライト(書き直し)するんです。そして、ちょっとずつ精度をあげていく。自分の文章の気持ち悪さをどんどん脱色していって、初手からスマートに、一撃で必要な情報を、適切な表現で書けるようになります。最後は、試験官が読んでいて楽しくなるような、すらすら読めてしまうような文章も書けるようになると思います。あなたがそんなレベルに到達できることを祈って、序文の言葉としたいと思います。
ゆりかごからえんじ
⑴最初に書く
「勉強ができない人間とはどんな人か?」
数多くの受験生とお話していると、自分が「できる側なのか、できない側なのか」ということに異様な(かつ、まったく無意味な)関心を示す人に一定数出くわします。あまり決めつけたようなことを言いたくはないですが、しいて言うのであれば「最終到達地点を意識しない勉強をしている人」と答えるようにしています。断じて言いますが、受験で、という文脈であって、好き勝手に関心の赴くままに勉強すること自体は最高だと思っています。受験で点は取れないだけでそれが一番楽しい。
要するに、記述を乗り越えなくてはならないのに、いつまでたっても「書かない」人はまぁ落ちるだろう、とそういうことです。じゃあ、いつ書くべきか?という疑問がわいてきますね。一問一答が終わってから?授業が一通り終わってから?共通テストで8割が安定してきてから?
いいえ、「今」です。
今すぐに書き始めてください。いつまで読んでんだあほんだら、って話です。書けやい。今すぐ書き始めんかい。「いやいや、たろーちゃん。ノート書いてまっせ!怒らんといてください!」と思う人もいるでしょう。
書くというのは、メモでもなければ、ノートでもないです。「文章」を書いてほしいのです。では、文章とは何か?何か一つのテーマに統一され、複数の文が論理的につながっている文のまとまりのことです。
一番最近受けた歴史の授業はどんな内容でしたか?例えば、フランス革命だとしましょうや。フランス革命の勃発の背景となったブルボン王朝の末期の終わってる社会情勢の授業だったとして、黒板を写したり、単語をメモしたり、年表っぽいのを作ったり、図やイラストを描くのなんて「書いたこと」にはなりません。一ミリも知的作業ではないし、賢いサルでもそれくらいならできます。それをするときにあなたの脳みそは疲れていないのです。
書くとは、例えば「なぜフランス革命が起きてしまったんですか?社会的な背景を説明してください。」と問われたときに、これを説明し、読み手に「なるほど」と思わせる文章を書くことです。
最初はもっと簡単でもいいんです。
フランス革命とは何か?
これに対して、どう文章を紡ぎますか?
「フランスで1789年に起きたとされる革命である。」というのが割とシンプルな説明ですね。結局のところ、これが一番の核なんです。「いや、なめんなよwそんなの書けるわww」と思う人も多いと思いますが、記述とはいってしまえば、これに肉をつけていく作業にすぎません。一緒に肉をつけてみましょうか。
「アンシャンレジームと呼ばれる旧体制の矛盾が限界に達し、フランスで1789年に起きたとされる革命である。」
ちょっとだけ、勃発前の背景を説明してみました。とはいえ、アンシャンレジームって何だろう、という疑問が読み手に残ってしまうのでまだ優れた文章とは言えませんね。
「聖職者からなる第一身分、貴族からなる第二身分が、平民からなる第三身分に犠牲を強いていたアンシャンレジームと呼ばれる旧体制のゆがみが背景となってフランスで1789年に勃発した革命である。」
こんな感じでアンシャンレジームを説明してみました。最初は調べながら書いていいですが、コピペをしないことです。ネットの文章を読んで、自分の頭で内容を分かりやすく言い換えて、何も見ずに書く。これが大事です。
もうちょっと詳しく説明したいですね。
「聖職者からなる第一身分、貴族からなる第二身分が、平民からなる第三身分に犠牲を強いていたアンシャンレジームと呼ばれる旧体制のゆがみが背景となってフランスで1789年に勃発した革命である。ナポレオンの台頭によって終結したと考えられている。」
終わりの部分を示してみました。始まりしか書いていなかったのに比べて、何が終わりなのかを示すとより明確になりますよね。でも内容自体が薄いので、どんな内容なのかはあまり伝わってきません。
「聖職者からなる第一身分、貴族からなる第二身分が、平民からなる第三身分に犠牲を強いていたアンシャンレジームと呼ばれる旧体制のゆがみが背景となってフランスで1789年に勃発し、ブルボン絶対王政を打倒した市民革命である。ナポレオンの台頭によって終結したと考えられている。」
革命に修飾する言葉を増やしてみました。
「聖職者からなる第一身分、貴族からなる第二身分が、平民からなる第三身分に犠牲を強いていたアンシャンレジームと呼ばれる旧体制のゆがみが背景となってフランスで1789年に勃発し、ブルボン絶対王政を打倒した市民革命である。立憲君主制、共和政、独裁政治などを経たあとのナポレオンの台頭によって終結したと考えられている。」
少しだけ革命の経緯を説明してみました。まぁあんまりやるときりがないのですが、脳内の働きとしてはこのように「骨+肉」の順番を絶対に意識してください。どんな肉をつけるかは、まだ考えなくてかまいません。
世界史に明るい方であればこの僕の例文を呼んで、
とかいう疑問が次々にわいてくるはずです。このへんは知識の問題が大きいので、後々登場してきます。あんまり気にしないでください。
さて、話が広がってしまいましたが、最初にやるべきは「骨」を15~40文字くらいでサクッとまとめる訓練を積むことです。この下に例題をはちゃめちゃに載せとくので、それぞれに対する回答となる「骨」を頭の中で文章化してみてください。1つくらいは実際にスマホのメモとかに書いてもらえるとより勉強になるかと思います。
答えとかはないので、一言で答えてみてくださいな。
⑵書くときによく使う表現を先に押さえる
文章を書くという行為は、たとえると大木を描くという行為に似ているような気がします。「骨+肉」というふうに例えましたが、こまかくいうと「木の幹+枝+葉」というイメージです。
これを「木の幹+枝+葉」で分けられますか?
この太字にした「フランスで勃発した革命」あたりが「木の幹」だと思います。
この辺が枝と言えるかもしれません。枝とは、幹と枝だけでも文章は成立するという要素の事です。
「アンシャンレジームと呼ばれる旧体制のゆがみが背景となって、フランスで1789年に勃発したブルボン絶対王政を打倒した市民革命で、ナポレオンの台頭によって終結した。」
「葉」というのは、「枝」がなくては成り立たないパートの事です。実際の木でも、枝がないのに葉がついているってありえないですよね。
まぁ要するに、骨ではない場所、つまり枝をより詳しく説明しているのが「葉」という感じです。絶対正解があるものではないので、厳密にこだわる必要はないんですが、なんとなく自分が今「幹」を書いてるのか、「枝」を書いてるのか、「葉」を書いてるのかを常に意識しておかないと、「下手な文章」が爆誕することとなります。
こういったものを整理するうえで、文章のよくある表現や接続詞を収集しておくことはすごく大切です。僕が世界史記述の勉強で得た最もかっこいいと思っている表現が、「様相を呈する」です。(笑)
使い方は、「アメリカはベトナムに介入した。しかし、ゲリラ軍の反発が思いのほか強く、次第に泥沼の様相を呈することとなった。」みたいな感じですね。イメージは状況が変化するときに使える表現です。そもそも歴史とは状況変化の連続ですし、変わらないものは問題にならないので、使いどころはかなり多いです。こういった表現はいたるところから仕入れることができるので、アンテナを常に働かせておきましょう。あと、絶対的によく使えるのが、ナンバリングです。
「フランス革命の歴史的重要性は以下の3点に代表される。①~であること。②~を変えたこと。③~にまで影響を与えたこと。」
みたいな書き方ですね。もちろん、「1つ目は~。2つ目は~。」みたいな感じでもOK。これは読み手にとっても一気に読みやすくなるので、積極的に使って行きたいところです。(こういう構造化は大学や仕事でも活きます)
さらにここでは、マジで重要なものを伝授しておきます。特別だよ♡
…冗談は置いておいて、「よく問われる切り口」です。
以下に列挙していきますね。
僕が知る限り、こういう感じの切り口は多いです。もちろん、「パレスチナ問題の困難性を説明せよ」とか「〇〇とは何だったか」みたいな稀に見るようなタイプの切り口はいろいろとあるんですが、それをあげだすときりがないし、学習に生かせる場面が少ないので、割愛。とりあえず記述受験生が知っておくべき切り口だけに絞っています。何か歴史の記述をするうえで、もしくは世界史の授業を受けるうえで、こういった切り口から疑問を持つと、考えやすいと思います。調べるにしても、「経緯ってどんな感じなんだろう」「結果どうなったんだろう」「どんな意義があったんだろう」とかいう感じで考えるきっかけにできます。
⑶自分で音読
勉強するうえで、非常に重要なのが客観的に自分の文章をレビューし、推敲し、質を上げていくことです。一撃でいい文章を書けると思ったら大間違い、勘違いもいいところです。そんなしょうもないプライドを捨てるところからレベルアップは始まります。無知で何もできず、何も持たない僕らは、ちっぽけなプライドをゆりかごの中に置いてくる、というのが一番最初の関門です。特にたろー個人統計調査によると、男子の方がその辺のしょうもないプライドにやられている子が多いです。
僕だって、文章を書いたときに何度も何度も見返すし、人に読んでもらってアドバイスをもらいます。なぜ赤ちゃんレベルのあなたが、推敲しないのか、という話です。僕の知り合いのプロの作家も推敲の量と質がプロとアマチュアを分けるくらい大事だといっていました。
とはいえ、受験生は時間が一番大事であるというのはよくわかります。だからこそ、音読がすごくオススメです。短時間で自分のよくわからない表現を発見できるし、誤字・脱字も発見できるし、客観視ができてしまう魔法の技です。
⑷他人に読んでもらう
音読は初期にやるべきことに近いです。ましてや、「骨とか幹」を書いているうちは文も短いと思うので、音読でいいと思います。しかし徐々に長くなってきて、100文字~600文字くらいになってくると、他人に読んでもらうというのが急速に効果をあげてきます。
特にあんまり世界史の知識がない人(例えば両親や祖父母、兄弟姉妹、後輩、友達など)でも、「なるほどね、だいたいわかったよ」「面白いね」と言ってくれたらだいたい合格です。「これどういうこと?」「ちょっとなにかいてるかよくわからないよ」といわれたら、伸びしろ発見です。
このリアクションを受けて、もう一度書きなおしましょう。こういうやり取りは、普段の人間関係構築に割と依存してしまいますが、今時はXとかで投稿して、だれかこの記述の感想ください(´;ω;`)とかって発信したら、誰かが感想をくれるかもしれませんね。僕のXをメンションしてくれれば軽い感想は返信するかもです。
⑸先生以上の誰かに添削してもらう
学校の歴史の先生や、予備校の先生や、ネット上の先生的な人に玉砕攻撃を仕掛けてみましょう。お金が多少ある人はお金を支払った方が無難ですが、熱意が感じ取れれば添削を特別にしてくれることはあるので、積極的に教授とか民間の専門家っぽい人にもメールを送るといいと思います。
僕が一番好きな人は
この人です。初回無料とかいう神対応だし、お金もかなりリーズナブルです。僕だったらこんな料金でやるのは嫌だなぁ、と思うくらい安いです。(いつまでやってくれているかは特に確認していないのであしからず)
学校の先生とも良好な関係を築けていれば、添削を軽くしてくれるかもしれませんね。
どうしても僕に添削してほしい人は、メールに問題文と答案と熱意や何かアピール内容(SNSどれだけ昔から追ってるか、とか、合格への思いとか、チャンネル登録してます!とか笑) を送ってください。ガチで気が向いたら添削するかもしれません。あんまり期待はしないように。
play22blain22@gmail.com
ちゅうがくせい
⑴好きなテーマを1つ決める
あなたもここまでくれば、とりあえずちゅうがくせいレベルには到達です。
ここからやるべきことは、実際に世界史を深めていこうというコーナーです。一般に世界史の学習は
みたいな具合で、基礎知識を一通り集めてから記述し始める人は多いです。さっきもいいましたが、これはダメです。今すぐに書くことの練習もコツコツ始めるべきです。
書くことでしか得られない、筋肉があるからです。
理想は学校の授業を受けた次の休み時間でなんか関連テーマについて100文字くらい書く、というのをかかさないという感じの同時並行感が欲しいですね。そこで、実際にどんな感じで進めるのがおすすめか、というのを紹介します。
そのためにまずやるべきことは、「1つテーマを決める」です。
幅広く、浅く、という勉強では絶対に得られない、深掘り学習の利点を早いうちに体感しておくことはめちゃくちゃ意義のあることです。T字型の学習とかいいます。幅広い通史学習もするけど、特定のテーマをめちゃくちゃ掘り下げるという感じ。
1回真剣に深掘りすれば、ほかの時代やテーマに対する学び方も何となくわかってくるので、効率が上がっていきます。そのために、最初にえぐいほど狭く深掘りした方がいいです。そこまでやる?というレベルまで行っちゃおう。てことで、僕が一番大好きな三十年戦争を例にとりながら、説明していきましょう。
⑵10パターンの問いを作る
僕のオススメの深掘りの仕方は、10パターンの問いについていろいろと調べて、文章を書きまくるという方法です。三十年戦争について問いを立てるにしても、さっき紹介した切り口のワードが役に立ちます。
ぜひぜひ、それぞれについて調べてみてください。基本的には教科書、資料集、詳説世界史研究、世界史の窓、(たまにWikipedia、間違いもちょこちょこあるから注意)、とかに書いているレベルの情報をまとめるだけで十分です。それ以上やったらオーバーワークです。
三十年戦争はちゅうがくせいのあなたにとっては、聞きなじみもなければ、面白そうな予感も、楽しげな雰囲気も何もない戦争だと思います。無理もありません。でも世界史に関する本をいろいろ読んでいる僕が、いまだにおもしれえなぁ、と感じ続けている戦争なのでポテンシャルはあるはず!!!!ぜひ根気強く調べてみてください。そこで大事になるのが、複数のソースにあたる、ということです。教科書を読んだ時の印象、資料集で見たときの印象、世界史の窓を読んだ時の印象はそれぞれ異なるはずです。
まずは一言でもいいです。ちょっとずつ調べて分かった情報を肉付けしていくんです。ちなみに、僕はこの時点では紙に書くのをやめた方がいいと思っています。パソコンか、スマホのメモでいいです。効率がいいから。ペンで実際に書くのは、直前期、数か月じっくりやれば十分間に合います。そもそもほとんどの受験生は何を書けばいいかも、どう書けばいいかもわからないがゆえに、記述ができないのです。そのレベルの人は、スマホで打っていった方が効率がいいです。
⑶好きに書く
こういうのは最初特に苦痛になりがちなので、1日100文字とかで続けられる量に決めてコツコツいろいろ書いていくのがいいと思います。順番は「1日で1つ深掘り」→「毎日コツコツ100文字生活」という感じかな。
で、あとはもうあなたの興味関心が多少わいてくることを期待するしかないんですが、1つちょっとオススメなのが風刺画/絵画解説文章を書くことです。
こんな感じで文章を書くのは案外楽しいものです。
調べていく中で得られる知識も存在しますが、何よりも特定のテーマについて文章を書くという練習になり、かつ退屈さがまだマシ、というのが大きな理由です。これなら継続しやすいです。
高校生
⑴過去問を分析する
高校生になれたあなたがまず最初にすべきことは、過去問を分析することです。ここからは受験対策みが一気に強まってくるフェーズですね。結局、志望校によってどこを勉強すべきかが変わってきてしまうからです。過去問をいくつも見ていたら分かりますが、この辺のテーマはほぼ確実に出されないな、とかいうのもわかってきます。だっていやでしょう。ほぼ出されない分野の勉強に数時間もかけたくないでしょう。どうせ掘るなら、よく出される場所を掘りたいでしょう。
出題形式にも注目すべきです。数十年分の問題に目を通していると「経緯問われること多いなぁ」とか「結果問われてること多いなぁ」とかがわかってきます。こういうことをしっていたら、普段の知識への視点も変わってきますね。
アウトプットを常に意識したインプットをしましょう。
⑵通史と一問一答
過去問を分析したらすべきことは、通史ですね。全体像を知らずに細かい部分に入るより、幹を作ってから枝葉を学んだ方が効率がいいです。YouTubeで「10時間世界史」と調べてもらえると僕の解説動画が出てくるので、それを何回か見ればいいと思います。ちなみにあの動画は一橋世界史に使えそうな話題を多めに放り込んでいます。
それが終わったらやるべきは一問一答です。これがまさに枝葉をたくさんつけていくという行為ですね。YouTubeで「世界史 鬼リピ」とかで調べてもらえると僕が作った動画群が出てくると思うので、それがおすすめです。テンポの良さを重視して作っています。
説明を聞いて、用語をこたえられるという基礎体力を身につけましょう。スポーツでいうところの筋トレですね。
⑶逆一問一答
逆一問一答というのは、練習試合くらいのイメージです。YouTubeで「世界史 逆一問一答」などと調べると僕が作った動画が出てくるので、それを使って練習してください。
単語を聞いて、それを反射的に説明するというのの場数を機械的に踏んでいくという訓練です。ゆりかごからちゅうがくせいくらいの間でも似たようなことをちょっとやってもらいましたが、ここでやるべきことは「徹底的な丸暗記」です。受験生らしさが増してきましたね。音声での僕のナレーションよりも早く説明できるくらいまで覚えるのが理想です。
⑷Tips
受験勉強をするうえでいくつかやってよかったという勉強のコツがあるのでお教えします。
・親を感嘆させる
これは書くよりも、話す方が得意だぞ、と思っている人向けの勉強法です。話すというのは、書くよりもかなりハードルが低い行為です。人類はまず話して、次に知的レベルが上がって読む、次に書くという行為を習得しました。だから軽く口頭で説明するというのは、いい訓練になります。それでも結構難しいですし、興味も知識もあまりない親を楽しませるほどわかりやすく説明できれば習得できたも同然です。
・志望校が同じ友達にクイズを出して解説する
僕が実際にやっていたもので、急に人に何かを説明するのは冷静に結構きもいので、家族にやってもギリ嫌われるくらいの行為です。そこでナチュラルに説明するチャンスを作る方法が「世界史の問題だしあわない?」です。魔法の言葉。これでクイズを出して、友達が答えられなかったものについて補足説明とともに簡潔にわかりやすく説明するという感じで場数を踏むと、かなり自分の中でも理解が深まります。めっちゃおすすめ。
・写経
地味に侮れないのが、写経です。いい答案をそのまま書くだけ。作業として書くというよりは、何回か読んで、内容を咀嚼して、だいたいの精度でいいので思い出しながら再現する、という感じでOK。だから写経とはちょっと違うかもね。
試しにこれ、自分で再現して書いてみてください。意外と理解が深まる感覚を得られると思います。人は読んでいる時には、意外と細部を理解せずに流しているのだ、ということが痛いほどよくわかりますよ。
受験生
はい、あとは過去問をいっぱい解きましょう。本気で8割とかを狙うなら、30年分以上はさかのぼって全部3回ずつは解きましょう。問題を見ただけで、だいたいの答案をすらすら書ける、というレベルが望ましいです。一気にレベルが上がるようですが、ここまでの経験をもとに、一問一問かみしめて解説をしっかり読み、再現し、教科書や資料集からフレーズを集めてきて、書き続けていたら、案外書くこと自体は楽になるはずです。
そのうえで、赤本とかネット上の模範解答をそのまま写経するのも非常にいい勉強になります。写経するなら10回くらい書くのがいいかもしれません。(ただし記述問題の恐ろしいところは、赤本とかの模範解答ですらひどいものが転がっていることが少なくないということですね、まぁこれを受験生が気にし始めたら終わらないので気にしない方がいいと思います)
問題文の読解
受験生になったら、意外とできていない人が多いのが、問題文の読解と、何を問われているのかの正確な把握です。
この問題を見て何を書くでしょうか。ここで「三十年戦争とは〇〇という戦争である。〇〇や〇〇が介入した。」みたいな書き方をしたらもうほぼ残念賞確定演出です。問題文が読めてないということになります。記述問題は書きたいものを書くのではなく、問われていることに過不足なく的確に書くのが一番大事です。つまり、幹がずれていたらどれだけ枝葉が正しくて面白くても大幅減点は免れないということです。
この問題の問題文の重要なところを太字にしてみましょう。僕は受験生の衣ころから、問題文の重要な部分には必ず線を引き、問われていることにちゃんと答えることを一番に意識していました。
つまり、この問題が問うているのは「結果」と「その影響」であり、「経緯」や「内容」ではないのです。つまり書き方として、
「三十年戦争はウェストファリア条約という形で終結を見た。」
みたいな書き出しがマストです。まぁ「終結を見た」というふうにかっこつけましたが、最初は素直に「結果」というワードを使った方がいいです。
「三十年戦争の結果は、ウェストファリア条約の条文に端的に見て取れる。…」
みたいな感じですね。こういう時の表現も常に収集して、いろんな引き出しを持っておきましょう。僕の表現が正しいというより、いろんな表現を試してみいて、その時に最適な表現を選び抜いていくイメージです。
ちなみに、枝葉として
「〇〇という形で進展した三十年戦争はウェストファリア条約という形で終結を見た。」
みたいな感じでつけても別に大きな問題はないです。ただ加点はないと思うべきですし、そこに問われていない枝葉をつけるのは、自己満足でしかありません。そこは認識したうえで、「これが私の道なのだぁあああ」と自己主張をかましたいならやりましょう。ただ、この問題にちゃんと答えると文字数400文字はかなりシビアなので、最終的に削ることになると思います。
さて、応用編です。
さて、なぜこの問題をここで見せたかというと、「資料文が長くなるとテンパって基本を忘れる人が大量発生するから」です。この問題自体は、受験生で解けた人間がほぼいないだろうと予想される伝説的な奇問です。
これこそ、多くの受験生を墓場送りにした超絶技巧・G難度の問題です。
まず、1回資料文を読んだだけでは何を書いているのかもよくわからなかったと思います。
とはいえ、普通にフランス革命をある程度ちゃんと勉強して仕上げてきた受験生がこれを読んだら、「えぇ、そうなんだ」と目からうろこが落ちるような内容にはなっています。ただ、名士会とかが早慶の難問レベルの用語だし、国立受験生がそこまでカバーしていると期待するのは酷です。用語も超マニアックなのに、問われている内容の難易度が尋常じゃない。まさに鬼畜です。
問題文だけを抜き出します。何を問われているでしょうか。
つまり、答え方としては
「革命を〇〇のようなものと考えるとこの貴族の反乱は反乱にすぎないとみなされ、革命を〇〇だと捉えるとこの貴族の動きは反乱というよりも革命とみなされる。…」
というのが枠組みになるのです。
また、この問題を少し難しくしているのは、「フランス革命の際のスローガン等」の「等」ですね。他にもあるけど、そこは自分で考えてな~、っていう丸投げです。
この問題は受験問題として考えれば、酷いものですが、問題自体は大学レベルの歴史学の議論を感じさせてくれる内容で、過去問として眺めてフランス革命への理解を深めるには格好の教材です。また、この問題を解くうえでは、2001年度に一橋で出題された絶対主義の絶対性の問題で問われた知識がかなり生かせます。つまり、過去問を活用することはかなり重要なのです。
解説はここでは長くなりそうなので割愛しますが、僕はこの問題、かなり好きな部類に入るので、添削してほしい人は送ってくれたら返信率ちょっと他の問題よりは高いかも。ちなみに一番好きな問題は同じ年度の、第1問。ハーメルンの笛吹き男です。
いやぁ、最低な年ですね。(僕は大好きな問題ですが、この年の受験生だったとしたら大学を一生恨んでいたでしょう)
忘れることについて
さきほど、過去問を各年度3回ずつは解いた方がいい、といいました。これは単純に忘れるからです。忘れるのは当たり前なので、何度か書いておくのは大事になります。
それとともに、忘れてしまうことへの対策も重要です。例えば、さっきのフランス革命に関する問題を見たときに、まずやるべきことは焦ることでも、絶望することでもなく、フランス革命に関する用語をとりあえず問題冊子の空白欄などに書き殴ることです。
頭の中でぐるぐるどうしようどうしようと焦っても、何も生みません。手をひたすら動かす。最初は明らかに関係ない用語でもいいです。ナポレオン、とか笑
あの「革命」の問題の場合、ブルボン王朝(ルイ14世以降)とフランス革命自体の初期の動き、あたりに関係する用語を2~30個くらい書き殴っていると、何かしら書ける方向性が見えてくるかもしれません。一定程度はこじつけて、自分なりのベスト答案を作ることも大事です。
ここまでお読みくださりありがとうございました。あなたの記述ライフが充実することをディズニーランドから祈っています。
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