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愿以山河聘27(作者:浮白曲)の有志翻訳【中華BL】

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愿以山河聘リンク
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第二十七章リンク
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翻訳

使えない

衛斂うぇいれんは意識がはっきりせず、動きももたついていた。帯の位置を探し当てるまで随分と撫でまわしたので、姫越じーゆえの服は目茶苦茶に乱れた。
姫越じーゆえはこうして悪戯をされて、ただ全身が固まったようになっていた。そして衛斂うぇいれんがそこに触れてきたことに気付くと、すぐに顔が真っ赤になった……反応している。
それも無理はない。生き生きしたもの凄い美人が体の上に跨って、撫でまわしたり抱き着いたりしてくる。誰がそれに耐えられるだろうか。
「え?」衛斂うぇいれんは首を傾げて少し不思議そうにした。「ここ、どうして……」
姫越じーゆえの眼は暗くなった:「衛斂うぇいれん、降りろ。」
衛斂うぇいれんはぼんやりとした目で彼を見つめた。彼が何を話しているのか分からないようだ。
姫越じーゆえが驚いた眼をしていると、衛斂うぇいれんは服の中を正確に探り、その目立つものを握って囁いた:「ああ、見つけた。」
!!!
うぇいしゃおれん!」姫越じーゆえは恥ずかしさから怒り、体の上で悪さをしている青年を怒りに燃える目で睨みつけた。「無礼だぞ──」
「あなたが私のことを苛めるのは良くて、私がやり返すのは駄目なのですか?」衛斂うぇいれんは鼻を鳴らした。「これは私の夢なんだから、私がすると言ったらします。ちょっといい子にしてなさい、姫小越じーしゃおゆえ。」
姫越じーゆえはただひたすら驚いた:「正気に戻れ!」
何がお前の夢だ、ここは私の王宮で、私の牀榻だ!
姫越じーゆえは青年を押しのけようとしたが、衛斂うぇいれんがわずかに手を動かすと、姫越じーゆえは震えて呼吸がすぐにいくらか低く沈んだ。
今まで経験したことのない、溺れてしまいそうな強い快感で身体が溢れる。
姫越じーゆえは僅かに目を細めて手の甲で目を覆い、抑えた低い喘ぎを漏らした。
……
……
……
姫越じーゆえは複雑な表情で、寝台の上の美しい青年を眺めた。
雪のような美人が膝をついて座り、頭を下げて自分の右手をぼうっと見つめている。
衛斂うぇいれんの指は長くてとても美しく玉のようだが、今この時はぬるりとした何かで濡れていた。姫越じーゆえはちらりと見てすぐに顔を背けた。
姫越じーゆえが洗うための水を持って来させようとして振り向くと、青年が指を口に入れているのが見えた。
仔猫のように桃色の柔らかい舌を出して、指の先についた汚れを丁寧に嘗めとっている。
姫越じーゆえ:「……?!」
おかしすぎる。
本当におかしすぎる。
酒を飲んで倒れ意識が朦朧としているのは衛斂うぇいれんだが、姫越じーゆえも自分が酔って死にかけているような気がした。
衛斂うぇいれん。」姫越じーゆえはなんとか気を落ち着かせると、進み出て青年の手を掴んだ。「そんなものを嘗めるな。」
青年は少し俯いて、唇の周りの汚れを嘗め、飲み込んだ。
姫越じーゆえ:「……」
ちょっと待ってくれ。
彼の頭は混乱していた。
春画を見て耳を赤くすることもある秦王にとって、衛斂うぇいれんの今夜の振舞いは非常に衝撃的だった。
衛斂うぇいれんと自分の関係をどうすればいいのか分からなかった。
彼らは単純な協力関係に比べると少し親密ではあるが、本当の恋人同士に比べると強い情愛は無い。
しかし、疑う余地のないことが一つある。
衛斂うぇいれんは他の人間とは全く違う。
姫越じーゆえは目を伏せた。
自分の心に特別な存在があることが嫌だった。
弱点や弱さ、そんなものは彼にはあってはならない。
衛斂うぇいれん姫越じーゆえが何を考えているのか知らず、ただ気だるげに目を上げて、強力な一撃を繰り出した:「私よりずっと早かったですね。あなたは全然使えません。」
姫越じーゆえは唖然とした。
頭の中で、その言葉が谺した。
私よりずっと早かったですね。あなたは全然使えません。
あなたは全然使えません。
全然使えません。
使えません。
……
姫越じーゆえは笑った。笑顔は心を震わせるほど壮絶な美しさで、人ではないもののようだった。
衛斂うぇいれんは確かに他の人間とは違う。
他のどんな人間よりも、人を怒らせる方法を知っている。
衛斂うぇいれんの酔いが冷める前に姫越じーゆえは八百種類もの「衛斂うぇいれんの酔いが冷めた後どうやって仕返しをするか」のやり方を考えた。
そして衛斂うぇいれんが本当に目が覚めた後──
青年の目にはまだ二日酔いの朦朧とした気配が残っていた。彼は頭をさすって周りを見回した。目が段々と澄んできた。
最後に彼は姫越じーゆえに目を止めた。
四つの目が互いに見つめ合う。
衛斂うぇいれんは落ち着いて言った:「陛下、おはようございます。」
姫越じーゆえは笑っているようで笑っていない:「早くない。もう日が暮れている。」
衛斂うぇいれんは驚いた:「臣は今晩、酔っぱらっていたようです……」
「ようだ、ではなくて確かにそうだ。」姫越じーゆえは静かに言った。「お前は深く酔っていたので、私はお前を抱きかかえて連れてきた。それから、お前が酔ったのは昨日の夜だ。」
衛斂うぇいれん:「……」
一杯の酒で一昼夜眠っていたのだ。
酒はこれだから良くない。
衛斂うぇいれんはよく思い返してみた。昨夜あの酒を飲んだ後から記憶が途切れている。その後のことは全く覚えていなかった。
微かに何か夢を見ていたような覚えがある。夢の中で誰かと何かを話した……しかし誰と話したのか、話した内容は何なのか、酔いが冷めた後はきれいさっぱり忘れていた。
何かが良くない。
衛斂うぇいれんは心中で独り言ちた。
後宮に入って以来、彼は気ままに過ごしているように見えて、実際には全てを計算していた。だが、この一昼夜は断片的な記憶しかなく、制御不能な状況になってしまった。
この昼と夜に何をしたのだろう?
ただぐっすりと眠っていただけなら良いが、もし酒に酔って暴れたり、何がおかしなうわ言を言ったりしていたら……そうなったら、もうどうしようもない。
衛斂うぇいれんは秦王の顔から何か読み取ろうとしてみたが、秦王の表情はいつも通りで何もおかしなところはなかった。
衛斂うぇいれんは冷静な口調で尋ねた:「臣は御前で何か無礼をしましたか?」
姫越じーゆえは意味深長な笑い声をあげた。
無礼どころか、お前のあれは謀反だ。
私を名前で呼び捨てただけでなく、殺したいという意味のことを言い、私を押さえつけて私に盾ついて、使えないなどと言いさえした。
何千回何万回死んでも足りないくらいだ。
姫越じーゆえはこれについてとっくによく考えていた。衛斂うぇいれんが起きたら、酔っている間にやったことをひとつひとつ数え上げて知らせ、自分でどう罰するべきか決めさせようと思っていた。
はっきりと目が覚めて落ち着いていると、やたら心が強い衛斂うぇいれんはどうしても倒せないように思える。姫越じーゆえは実際、彼がこの事態にどう対応するのか見てみたかった。
しかし青年の穏やかで静かな表情を前にすると、姫越じーゆえは唇を閉じ、そんなことへの興味を急に失った。
このように物事に動じない強さを持つことが、どれほど難しいことなのか彼は知っていた。
昨夜衛斂うぇいれんは酒に酔って、疲れ切ったようにぐったりと彼の胸に凭れ掛かり、小さな声で一言「痛いのはすごく怖い。」と言った。まるで子供のようにか弱かった。
どんな人の心も和らげるのに十分だ。
この誇り高く傲慢な公子は穏やかで玉のように見えるが、泥にまみれ世間に揉まれて如才なさを得たようだ。ただ彼の中にはふざけるのが好きな少年の気持ちが拭い去りがたく残っていて、それはまだすり減らされていなかった。彼は天真爛漫で無邪気な子どもっぽさも持っている。それは彼が手放そうとしない穢れなき聖地だった。
姫越じーゆえが認めたのは衛斂うぇいれんの毅然とした強さだ。どうして彼の尊厳を打ち砕き、無理矢理服従させる必要があるだろうか。
「何も。」しばらくして姫越じーゆえは首を傾げた。
「お前は今までずっと眠っていた。」
衛斂うぇいれんはあんなことは全て忘れればいい。姫越じーゆえは思った。
結局のところ、王に二言はないという言葉は嘘ではない。


自分のやったことを並べ立てられても、衛斂は服従しないと思う……

分からなかった所

特になし


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