岸田奈美さんの素敵な世界
岸田奈美さんという作家さんがいる。noteの収益で生活していると公言してる。
記事は思いやりに溢れていて、それでいてムチャクチャ面白い。ダウン症の弟さんや車椅子のお母様との生活も、愛と笑いに溢れている。
記事を書き、その収益で生活してまた面白い記事を書く。生活の全てが作家という、現代的な稼ぎ方ような気がする。作家版YouTuberといったところか。
岸田奈美さんのnote
僕も足の悪いお袋の生活を支える立場で、勝手にシンパシーを感じている。サービス精神旺盛で無料記事も多い割に質が高い。皆さんにオススメしたい。
旧ソビエトの学者イワノフさんは、ヒトとチンパンジーの異種交配を試みた。倫理感に背く行為で迫害され、実験体となった患者さんの多くが精神を病み、亡くなってしまった。
イワノフの実験は失敗した。
ヒトの染色体は46本。
ダウン症の方は47本。
類人猿(チンパンジー、ゴリラ等)は48本。
2017年にはチンパンジーのダウン症のカナコが産まれている。ヒトの21番染色体と同等なのは22番染色体で、これが1本多かった。
ここで、道義に反する疑問が産まれた。
染色体の本数を勘案すれば、もしかするとダウン症の方とチンパンジーならば、異種交配が可能なのではないか?
ちょうど病院で読んでいた。
思い付いた仮説を主治医である精神科の先生に聞いてみた。
「ヒトとチンパンジーの異種交配ねぇ…」
僕の荒唐無稽な話をしっかり聞いたあと、何かを思い出すように斜め上に目線をやり、2秒の逡巡の後、先生はこっちを向き直して言った。
「知らんよ。で、何が欲しい?」
僕の診察はいつも5秒で終わるが、今日は少し長くて30秒かかった。医師は忙しいのだ。
テレビの美談を観てボランティアに勤しんでいた女性が、「2度と行かない」と話していた。障害者はみな心が清いと勘違いしていたようだ。感情を抑えられない人も多く、生半可な気持ちで関わると鼻をへし折られることもある。
40歳で出産した知り合いの女性は出生前検査を受けていて、もしダウン症なら堕す覚悟だったと語った。成人しても一人で生きられない子供を出産する勇気のない人だっている。
最近、知り合いのお姉さんでダウン症の方が亡くなった。コロナで面会がなかなかできない、という以外は不平不満や泣き言は聞いたことがない。
お袋がリハビリに行く病院には、寝たきりで通院している方やダウン症の方も多い。世話をしている若いお母さんは会うとみな笑顔で、苦労を微塵も感じさせない。。。が、そんなはずはない。
介護に終わりはない。毎日24時間、亡くなるまで続く。裏では血を吐くような苦労があるはずだ。もし僕が同じ立場なら、あのお母さんたちと同じように振る舞えるか全くもって自信がない。もしかすると苦労とは思っていないとか、病院が息抜きになっているのかもしれない。
何が正しいのか。
どうすれば良いのか。
僕には見当もつかない。
ただ、事実は知っておいた方が良いと思う。テレビの美談で知った気になると思わぬカウンターを喰らう。ずっと周りに助けられてきてそれを当たり前に思い、健常者より横柄な障害者も当然ながらいる。
同じ人間だ。
根性のねじ曲がった人もいる。
差し伸べた手が短くて本人の願望とかけ離れていれば、八つ当たりされることもある。普段、女性と触れ合いのない男性だと、ここぞとばかりにセクハラする方もいる。
美談とお涙ちょうだいの物語ばかり放送すれば、勘違いする人が増えるのは当たり前。もう騙してコントロールなんか出来ない時代なのだから、裏側もしっかり放送すべきだと思う。
現実を知る資料としても、岸田さんのエピソードはとても有意義で役に立つ。ダウン症の描写もあるが、そこには愛が溢れている。
特徴あるダウン症の方の表情をイジることもあるが、そこにも愛が溢れており嫌味はまるで感じない。あんな文章、普通の人には書けない。天才と呼んでも良いのではないか。
深読みすればあえて賛否あるように書き、問題提起しているようにも見える。批判を受けとめる覚悟で書いているのは、文章に滲み出ている。
さらに素晴らしいのは、岸田さんを通じて弟さんは
「カレンダーの文字を書くお仕事」
をしていた。
お母様も講演のお仕事をしている。家族が家族のために生き、他の誰かのために生きてお金を稼ぐ。障害は関係ない。
理想的な世界。
産まれてきたからには、誰かのために生きる。仏教の言う人間(じんかん)の世界が広がる。
岸田さんが恵まれているように見えることもあるけど、それは思いやりがあるからだ。サービス精神も旺盛だ。
「恵まれてるから思いやりがある」ではなく、「思いやりがあるから恵まれる人生になる」が正しい。だからどの宗教も最終的には「思いやり」を説く。
友達、恋愛、結婚、家族関係。。。人との付き合いにおいてはやはり「思いやり」が一番、大事なのだ。分かっていてもなかなかねぇ。。。それも人間。それも人生。
ポイント制の老人ホームや病院があってもいいな、と空想したことがある。
そこではみなが自分に出来ることをして、共に支えあう。作業によって料金が安くなったり、グループホームのように仕事を受けてもいい。支える側の負担も少なくなる。
今の法制度では実現は不可能だ。
こうやって頭だけで考えて生まれるのは理想論なのだろう。
お袋について「車椅子で生活した方がいいですよ」と医師には言われているが、出来るだけ自分の足で歩いてもらうようにしている。
行きたくないと渋ったリハビリも、スパルタで強制的に連れて行き、今では楽しみにするまでになっている。
電話で買い物を列挙されるストレスに耐えかねてLINEを教えようとしたら、「私そんなん分からんから」と渋っていたくせに、今では僕のスマホより通知が鳴り、孫と楽しそうにLINE電話している。
「あなたが効率的に生きることは、周りの人の幸せに繋がりますよ」「あなたが幸せに生きれば、周りの人も幸せになりますよ」
こうやって本人に少しだけ頑張ってもらい、負担を楽にしている。岸田さんのお母様のような「手だけで運転できる車」や「HALのロボットスーツ」の検討もしている。
死ぬまで僕が支えることになる。
負担があろうがなかろうが、とりあえず楽しく幸せに生きられればいいと考えている。
僕しかいないし。
家族を支えるのは当たり前だし。
親父の遺言でもあるし。
周りの人を利用して霊感商法で稼ぎ、自分のためだけに生きてる人に、岸田さんの本を煎じて飲ませてやりたい。
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ポンズケースケの考察日記
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