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ep20.策士
麻奈が改めて結婚指輪を用意したのは、テレビ復帰への足掛かりでもあった。
結婚から約1年過ぎており、2人の結婚はもう過去のこと。新たな指輪とハネムーンは、テレビ番組で自分たちを取り上げてもらうためのエサ、話題提供。あざとく狡い麻奈の暗躍は、策士という名称がピッタリだ。
2019年2月にハリーウィンストンを買って、ハネムーンでハワイに行き、マスコミに取り上げてもらう。6月には堂島企画室に麻奈が所属、マコトは業務提携という形で在籍。さっそくライザップの広告塔となって、2人で仲睦まじく料理をしていた。
マコトの過去を精算してブログを書かせ、短期間でしっかりと金の卵に育て上げた。次は夫婦でバンバンテレビ出て稼ぐだけ。夫の事務所所属についても、麻奈はあざとい策謀を巡らしていた。
麻奈はもともと前事務所・セントマリアを辞めるつもりはなかった。イビサ島での大麻事件を煙に巻くために結婚し、そのイザコザで事務所も解雇されてしまった。
当面の生活費はブログがあるから問題ないが、そのブログもテレビ出演がないと盛り上がらない。やはり2人では経験が足りないから、事務所に所属しなければならない。麻奈は所属先を堂島企画室に狙いを定めた。
堂島企画室のトップは、麻奈と同じテレビ局でアナウンサーをしていた堂島マサシ。事務所にはアナウンサーが多数所属しており、業界内の評判も悪くない。社長である堂島の実弟は、人が良いと専らの評判だ。
セントマリアのような大きな事務所では、なかなか自分の思う通りにはいかない。しかし、素人の夫をタレントとしてゴリ推しするには融通がきき、大手でも弱小でもない堂島企画室はうってつけだった。
そして、事務所が中目黒ということも都合が良い。麻奈は代官山に並々ならぬこだわりがある。まさにおあつらえ向き、といったところ。
古巣の大先輩だ。難なく連絡を取ってトントン拍子に話が進んだが、堂島はマコトの所属にだけは難色を示した。事務所としては、なんの実績もない素人をわざわざ抱える必要もないし、もう業界内でマコトの噂は広がっている。
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