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ep32.終わりの始まり


蟹蔵と麻奈は麻莉が亡くなった2017年に、ハワイ旅行に2回、ディズニーランドに2回行っている。親族の闘病からの開放感は理解できるが、あまりにもはしゃぎすぎではないか。

年の瀬、特にクリスマスにディズニーのホテルに泊まるには、普通ならば半年以上前から予約しなければならない。もし普通に予約したのなら、麻莉が生きるか死ぬかという時期にホテルの予約をしたことになる。真実は分からないがいずれにしろ、はしゃぎすぎなことには変わりない。

11月下旬にはハワイ旅行に行っている。メンバーは蟹蔵、子供たち、麻奈、麻奈の両親、小雪。小雪を伴ったのは麻奈のマスコミ対策。そして今回の旅行は、いつも同伴しない麻奈の父親が一緒だった。

蟹蔵と麻奈の父親は、まず孫のことを話し合った。「今まで通り孫に会わせてくれ」「今後も面倒を見たい」といったことを話し合ったと思われる。蟹蔵に断る理由はない。

そして父親は「麻奈と一緒になる気はあるのか?」と聞くと、蟹蔵は「ない」と答えた。すると父親は「その気がないなら思わせぶりな態度を改めた方が2人のためだ」と苦言を呈した。

父親は「蟹蔵と麻奈が微妙な関係を継続することが、2人にとって都合が良い」というブログの事情を知らない。娘を想う父親として当然の言葉だった。

父親の言葉を重く受け止めたのか2018年の年初から、蟹蔵は麻奈と距離を置くようになる。麻奈を刺激しないように少しずつ、少しずつ交流の時間を減らしていった。

蟹蔵は麻奈に「マスコミが騒ぐから当分は距離を置いた方が良い」とでも言ったのではなかろうか。麻奈からすれば妹の闘病生活中はマスコミに引っかき回され、そして今回もマスコミによって計画が台無しにされた格好となっている。当然のようにマスコミに怨みを募らせていく。

麻奈は蟹蔵の変化を敏感に感じ取っていた。「蟹蔵と結婚してもいいかな」とすら思っていたのに、蟹蔵にその気はなかったと気付かされた。このままでは子供たちを育てる夢も、ブログ収益でのキラキラ生活も危ぶまれる。

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