コンセンサス調査&分析 2021年4月号
Summary
景気循環のコンセンサスは3月結果とほぼ変わらず。当面現状トレンドを維持するとの前回予想を据え置く。経済指標は3月やや減速気味だが、回復トレンドが変化したわけではないと見る。株価予想も27,000円から30,000円のレンジとの見方を据え置く。決算の期待値高く引き続き高値圏での注意が必要。テクニカル分析では現在日経平均株価は2012年から始まった上昇チャネルの上限に達しており、breakするか反落するかの境目にあると判断。
目次
①4月アンケート結果
②現在の景気循環ステージの考査
③今後のコンセンサスの行方
④株価方向の予想
⑤日経平均テクニカル分析
⑥最後に
①4月アンケート結果
まずは景気循環の結果ですが、3月予想通り大きな変化はございませんでした。「好況」が少し減って「回復」が50%を超えただけで「後退」と「不況」は合わせて前回とほぼ同じです。ちなみに前回予想では6月くらいまではほぼ同じような結果が出るだろうと想定しています。
次に経済指標ですが、金利に対する関心度が高まったと感じたので選択しを「実質金利」と「インフレ/消費関連」で分けてみました。その結果、この2つが上位に来ましたが、実質金利の方を気にされている方の方が多いようです。「Money supply」に対する関心度は多少減少しております。
アセットクラスアンケートは今回から「ドル」を外して「コモディティ」を新たな選択として採用しました。一番アップサイドを感じるアセットクラスは前回同様「株」が1位となりましたが、「ビットコイン」は「コモディティ」に押され3位にとなりました。
一方でダウンサイドの方では、また「ビットコイン」が1位となり、ビットコインに対するバイアスは継続しているとわかります。このバイアスが解消されない限り、ビットコイン価格は落ちてこないかもしれませんね。
今回アセットクラスの結果からは、①インフレ期待の継続と②株に対する強いセンチメント、③ビットコインのショートバイアスの継続が確認されました。
②現在景気循環ステージの考査
結論から申し上げますと、回復ステージに向かっていることは変わらずですが、回復ペースにやや減速感が出ました。3月の経済指標は予想を下回ったものがいくつかございました(一部4月第1週目を含む)。US新規失業保険申請件数は直近2回予想を上回り、US建築許可数も3カ月ぶり、US鉱工業生産も4カ月ぶりにに予想を下回りました。しかし、このようは指標は少なくとも3か月平均を用いて判断するため今回の結果が予想を下回ったからって経済に異常が発生したと判断するものではございません。ここ最近ずっと予想を上回るスピードで回復し続けてきたので少しスピード調整したという認識です。
短期的には減速してしまっていますが、基本的に回復ステージに向かっているということは変わりなく、完全に回復ステージに移行するのは前回予想と同様2021年下期以降になると引き続き予想しております。
③今後のコンセンサスの行方
3月予想と全く同じです。6月くらいまでは現状トレンドが続くと考えます。「回復」がさらに上昇(6割以上)、「後退」と「不況」がさらに減少(2割前半)するでしょう。ワクチン普及後の消費の回復やグローバルロジスティクスの回復などを見極めながら「好況」の返答率が上がってくるとみております。
④株価方向の予想
基本的にはレンジ(日経平均27,000~30,000円)の動きで、30,000円近くで上値が重いと予想ます。
正直1月号から短期調整の可能性を言及していて、短期と言って既に3か月が経ったので自分の予想が間違えたと認めなざるを得ません。しかし、ここ数カ月間自信過剰相場が続いているという事実も変わらずです。レンジ上限をブレイクすると再び上値を追っていかなざるを得ませんが、レンジ内では注意を払う必要があると考えます。また景気回復につれて決算期待もかなり高まっているので高値圏の銘柄はさらなる注意が必要と考えます。
なお長期目線の変化に変化はございません。3月号をご参照ください。
⑤日経平均テクニカル分析
下記は私なりのテクニカル分析ですが、テクニカル分析は人それぞれですのでご参考程度にしてください。下記の図は上が日経平均の月足チャート、下が日足チャートです。
月足ではアベノミクスから始まった赤いチャネルが形成されていると見ており、足元でチャネル上限に到達しております(上限は2015年、下限は2020年にそれぞれ抜けたので少し信頼性に欠けますが)。
日足で細かく見ると当該チャネル上限でのもみ合いが続いておりますが、今月終値で30,000円以上で終わることができれば、少なくとも33,000円くらいまでアップサイドがあると見ております(そうなるとまたファストリ10万以上コースでしょうか…)。
完全に私個人の理想論ではございますが、最高値挑戦への一番きれいな形は一度27,000円(もしくは24,000円)まで一度押してから上がることと考えます。中身としても、1月後半から上昇して需給が重くなっているシクリカルバリューを筆頭に一度全面安して需給が軽くなった方が押し目買いの勢いで30,000円のレンジ上限をブレイクしやすくなる、というイメ―ジです。
⑥最後に
2月ほどではなかったですが、3月相場もなかなかの難しい相場だったと考えます。私はLSでexposureを持つことを諦めてデイトレで乗り切ろうと戦略を変えました。3月後半になってやっと個別ボラが落ち着いてきましたが、まだマーケット全体の方向性ははっきりしたと言いづらいところです。
マーケットセンチメントや景気循環コンセンサスの変化も乏しく、このような情報があまり役に立たない時期となってしまいましたが、引き続き皆様に役に立てるようなレポートを志してこれからも継続していこうと思います。
今月もお忙しい中、アンケートにご協力していただき誠にありがとうございました。また来月もよろしくお願い申し上げます。