原辰徳は名将なのか。ピタゴラス勝率で求められる戦力からの勝率との比較
みなさんピタゴラス勝率というものをご存知でしょうか。算出方法はとても簡単で、(得点の2乗)/(得点の2乗+失点の2乗)というものです。この計算をもとにして勝率を想定することができるといいうものになります。
この数字で求められるのはチームの戦力から想定される勝率であり、実際の勝率になることはまずありません。実際にピタゴラス勝率と実際の勝率の相関係数は、0.939と非常に高い数字ではありますが、1ではありません。
なぜならばその戦力を使う監督が存在するからです。つまり、ピタゴラス勝率はチームの戦力をはかる指標であると同時に、監督の手腕をはかる指標であるともいうことができます。
とはいえ、1年程度では上振れ、下振れも当然多少出てくるでしょう。そこで近年の監督ではもっとも長い在任期間をもつ原辰徳監督をサンプルにして監督としての彼の手腕を検討していきたいと思います。
原監督のピタゴラス勝率と実際の勝率の比較
下の表が原監督の歴代の得失点、勝率、ピタゴラス勝率をまとめたものになります。
長年監督を務めており、順位も安定して非常に高いことから名将のイメージもある方も多いであろう原監督。しかしながら、ピタゴラス勝率でみるとプラスの値を出しているのは在任15年のうち5年のみと半数にも及びません。トータルの数値-0.02は100試合あたり1勝分損失を出しているという結果になります。ピタゴラス勝率の面でいうと原監督は、平均的から若干マイナスという段階に位置する監督ということになります。
プラスを出している年についての検討
ただ数字を出して評価を出すだけでは少し面白くないので、プラスを出している年について考えていきたいと思います。
ピタゴラス勝率の仕組み上、数字をよくするためには僅差での試合をどれだけものにしていくかということが大事になってきます。そして昨今では、僅差の試合をものにするためにはリリーフ投手を整備することが重要であるとされています。
この理論は実際に数字に反映されています。プラスの数値を出している2008年、2009年は越智投手、山口投手の”風神雷神”が活躍した年ですし、2013年、2014年はマシソン投手、山口投手、西村投手の”スコット鉄太朗”が活躍した年です。この結果をみるとピタゴラス勝率は監督力をはかる指標であると同時に、中継ぎ投手の充実度をはかる指標であるとも言えそうです。
残る2003年ですが、大差での敗北が非常に多かったシーズンであるが故にピタゴラス勝率が高くなっていると考えられます。7点差以上での敗北が11度あり、そのうち7試合は10点以上の差がついての敗北です。この年の巨人は投手陣の調子が全体的に低調であり、それがゆえの成績であるということができるでしょう。
まとめ
一般的に名将のイメージのある原監督ですが、データから紐解くと平均的な監督であるということがわかりました。また、ピタゴラス勝率は中継ぎの価値が向上してきた現代においては、中継ぎの貢献度をはかる指標として考えることができる可能性もあることがわかったのは一つの発見であったと思います。
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