読書記憶15「涙香迷宮」
このミステリーがすごい!ランキングの上位に入ってくる作品はだいたい見かければ手に取るようにしています。
古くは大沢在昌さんの『新宿鮫』から佐々木譲さん『警官の血』、貴志祐介さん『悪の教典』、1位ではないですが米澤穂信さん『折れた竜骨』、
などなど、、
好みの作品、夢中になった話がたくさんあります。
そんな中で2017年の1位、
待ってましたの文庫化で2018年に買ったこちら。
なんと3年がかりでようやく読みました…
あらすじ
囲碁界では有名な老舗旅館で発生した怪死事件。
IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久は謎を追いかけるうちに明治の傑物・黒岩涙香が愛し、朽ち果て廃墟になった茨城県の山荘に辿りつく。
そこに残された最高難度の暗号=日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」48首は天才から天才への挑戦状だった。
作者の執念を感じる
この作品のすごいところは、涙香が残したとされる「いろは歌」そのものです。
廃墟の部屋に残る48首のいろはは文中でつかう文字はもちろん1つもかぶりがなく、さらに頭文字が全て違って、そしてそれぞれ意味が通る。
読んでるうちに、これを黙々と作るとか、作者の執念…怨念…?!を感じて薄寒い思いすらしましたよ。
事件そのものは取り立てて面白いものではないですが(ミステリ好きには物足りないですが)、それを超越する凄みを感じさせてくれる作品でした。
正直なところ、暗号ミステリを期待していた私としてはイメージと少し違いました。
これはもはや、暗号ミステリと言うより、芸術作品として鑑賞する!くらいの気持ちで読むのをオススメします。
ponta
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