緑色の透視。

先週、
髪の毛を緑色にした。
とても気に入っている。

青がかった緑色で、深海の色のよう。
ハリボーのグミにも似ているかも。
透明な緑色。

行きつけのスーパーでは見られる回数が増えて、少し恥ずかしいけれど、
部屋の鏡でこの緑に出会うと「おおっ！」とビックリしながら、嬉しくなる。

スーパーの帰りにお花屋さんで、黄色いかすみ草と、ピンク色のチューリップにも出会ったので、その鮮やかな色に惹き付けられるようにレジへと向かった。


お気に入りのものに囲まれると嬉しい。

どう考えたって、
好きなものに囲まれながら生きるのは
最高だ。

その後、
本屋さんにも立ち寄って詩集を買った。

「左川ちか詩集/岩波文庫」

緑色の表紙に2頭のシマウマがいて
つい目についた。
ページを開いてみると心が踊る文字ばがり。

髪の毛を緑にしてから、
不思議とみどりのものに惹かれるようになった。意識的に手に取るようになった気がする。

時折ふと、
チャットモンチーみたいに、
走り出した足が止まらなくなって、
風に導いてほしくなるくらい、
誰にも負けたくない日があって、
でも、完璧にこなせない自分がいて
その事実に失望したりすることがある。

これがしたい、あれがしたい、
でもできない、理想じゃない。
どうしたらいい？どうすればいい？

わからないことだらけだし、全ては上手くいかないけれど、やっぱり自分を最強にして、進んでいくしかない。

緑色を放っていた左川ちか詩集は、
端から端まで光り輝いていた。

透き通る葉っぱをこの世界にかざして、
彼女は一体何を思ったのだろう。

走れ！私の心臓
球になつて 彼女の傍へ
そしてテイカップの中を

かさなり合つた愛 それは私らを不幸にする
牛乳の皺がゆれ 私の夢は上昇する

緑色の透視/左川ちか

幸せは甘いだけじゃなくて、
時には人を不幸にする。それでも、わたしたちは、前を向いていくしかない。

染めたての緑色の髪の毛から透けて見えるこの世界はちょっとだけ美しい。