sweet pool感想

ネタバレなし感想(※前半)

プレイ直後の感想としては、満たされているのに喪失感が半端じゃない。
非常に余韻が残る作品でした。私はすごく好きです。楽しかった!精神にナイフ突き立ててくるシナリオが好きな方にお勧めです。

やってみて分かりましたがこの作品、プレイヤーに共感とか一切求めてない

感情移入する隙が全くありません。させるつもりも更々ない。だから共感も出来ないし、理解も出来ない。逆にできてしまったらきっと人間ではない。
彼らの生き様を、外野からひたすら見届けるゲームでした。

つい最近下記の動画を見ていたところ、「泣きゲー」「記憶消してまたやりたい」「人を選ぶ」「神」とコメントで大絶賛されていたため、気軽な気持ちでポチり。

事前情報として「鬱グロ」「カニバあり」とは聞いていましたが、某Euphoria乗り切ったし大丈夫だろうと高を括っていました。結果的にグロは大丈夫でしたがどのENDも尾を引いて仕方ない!余韻がものすごくて、私は今もダメージを受けてます。毒でじわじわ削られるイメージ。気軽にプレイするゲームじゃない。

これVita版ってどこを差し替えたんでしょう!?結構血液とかグロテスクな表現ありましたが大丈夫なのかしら…。

ただ哲雄くんは本当に強くてかっこよくて、不器用だけどイケメンです。抱かれたい男ランキングがあれば1位に輝く最強の男だと思います。
彼と一緒なら大丈夫、と思える謎の安心感がありました。不安定な世界で唯一のよりどころ。精神支柱。


~~~以下ネタバレを含みます~~~



ENDは
哲雄12→善弥→睦→哲雄3→グランドENDの順で見ました。

まず、攻略制限の関係で最後絶対にグランドで終わるじゃないですか。

それが憎い。

グランドENDつらい;;;;;;;
哲雄は人間になったけど、蓉司はどうなったの?生きてるのか死んでるのか?感想ブログを周回した限りでは皆さん宗派バラバラな印象を受けました。解釈委ねる系ENDほんとに楽しい。私は、蓉司は哲雄助けてプールでドロドロに溶けた派です。名前を呼んでほしい、という願いは最後の最後に叶えられたわけですね。めでたしめでたし。

2人の関係は特異体質が中心にあったので、一般人になった哲雄の記憶喪失にはすごく納得しました。でも彼らの時間は確かに存在して、その残滓が哲雄に残っていたことですごく救われました。数年後完全に思い出して血眼で蓉司を探したり絶望したりするのかな。それともただの違和感としてこのまま薄れていくのかな。

でも、「生きたい」って言ってたから蓉司は生きているかもしれない。というか、生きていてほしい。いつか再会してほしい。でも蓉司を思い出すこと=非人間の日々を思い出すわけで、そうなったら哲雄は人間ではいられない。仮に再会しても記憶の抜けた哲雄は蓉司に理解しえない感情を抱き続けるだろうし、蓉司は蓉司で初対面チックに振舞いそう。再会して新しい関係を構築することはできても、嘗てと同じ感情を持つことは難しいんじゃないかと思います。でも、もしかしたら蓉司も真人間になって記憶喪失してる可能性もあるわけで、そしたら新しい2人の新しい出会いがあるかも…?!ちょっと期待。

鬱ゲーと呼ばれているけどハピエンはあると信じてました。でも、手放しに喜べるENDは1つもありませんでした。2人が幸せなキスを終了_みたいなENDを内心期待してましたが甘かったです。

強いて挙げるとEND2がメリバでしたね。今この一瞬の幸せを噛みしめながら、文字通り二人は融けて一つになる。そして誕生した純生。魅入られた姫谷の今後が心配です。(2人がひとつになって死ぬシーン、断罪のマリア日和END思い出しました。)
2人一緒に人生に幕引くのって最高に幸せだと思うのですが、でもこれ、お互い人間としての感情よりも雌雄の生殖本能が強く現れてるENDな気がして、そこは少し辛かったです。一概には言えないけれど。

攻略?キャラクター3人いるけど実質哲雄1人でしたね。他2人はシナリオがかなり短い。出来損ないのオス(cv緑川光)ルートはもう少し先の展開まで見たかったなぁ…と少し残念。あのあと体の崩壊に耐えながら劣等遺伝子注ぎ続けるんだろうか。健気で泣いちゃう。彼は人生狂わされた被害者でしたねー。でもどうすることもできない。負けるの分かって哲雄に勝負挑む姿はかなしかった。

睦君に至っては狂わされてほんとに可哀想…。ほぼ事故じゃん;;;;;彼ルート以外は正気に戻れるので、自ルートに入らないことが吉という珍しいキャラクター…。


恋ではなく、愛でもなく。もっとずっと、深く重い___。

本作キャッチコピーのひとつ。プレイし終えて「愛でもないなら、じゃあ2人の間にあるのは一体何だ?」と考えたのですが、かなり複雑でしっくりくる言葉が見当たりませんでした。
最初はオスメスの無機質な関係だったけど、お互いを知るうちに雌雄の本能以外の感情が芽生えた。けどそれが何かはっきり捉えられない。
一つ思ったのは、蓉司と哲雄は似た者同士なのかなということ。どこか周囲と違うという意識があり馴染めない、疎外感を感じていた者同士。自分の柔い部分を打ち明けられる唯一の相手。また同じ特異な体質を持っている共有者でもありますよね。親近感や唯一無二って思いもあるのかも。

難しいけれど、水城せとな先生のお言葉を借りると「情」というのがしっくりくるのかなと思いました。

最後にシステム面について。少し不便な部分もありましたが(セーブとか)、グラフィックと音楽は神でした。どのスチルも美麗で崩れもなく、一生眺めていたいものばかりですし、楽曲に関してはEND毎に曲が用意されてて驚きました。力の入り具合を感じます。
あと、スキップしまくってるとよく落ちました(笑)でも選択肢ごとに自動セーブしてくれるのでそこは便利だった…!

本当に面白くて、寝食忘れて12時間ぶっ続けてました。やりごたえが凄い!かなり複雑な設定で広げた風呂敷が畳まれていく様は圧巻でした。クリエイターさんの情熱をビシビシ感じ、それもまた楽しかったです。こんど他のニトロ作品もやりたい!とおもいます!

冗漫な文章にお付き合いくださりありがとうございました。

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