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雲隠れ蜘蛛吉その漆

【おかめちゃんとおさめちゃん】


登場人物

🐢おかめちゃん 
亀と人間のハイブリッド
亀の名残りは、
甲羅とゆっくりの歩みのみ
ハイソサエティにみえるが
じつはおとぼけな二十歳


🐬おさめちゃん
サメと人間のハイブリッド
サメの名残りは、
鋭い歯とへの字口
そしてサメ肌
いちご大福が大好きな
自他共に認める
おとぼけな二十歳


前回までのお話↓

呉服屋の三代目与吉との
縁談が決まってすぐ
連れ去られた米屋の娘 
およねを助けるため
その主犯の一人 
旅籠の女中さよに近づき
およねの居場所を突き止めた
鮫治と蜘蛛吉
そして監禁されていたのは 
およねだけではなく 
さよと共謀して
誘拐を企てた 与吉も
今や 一緒に監禁されている
さて それぞれの 
運命はいかに


その前に


🐢「おさめちゃん~私たち
 根気ないけど
 じっちゃんのために
 ここまで頑張れたね」


🐬「そうだねーー
  根気いるよね
  結末…… 
  考えるの面倒だし
  じっちゃんに
  つくってもらう?
 結末は、あなたの創作の翼で
 ご自由に!結末よ!よっ!
 いってらっしゃい!
 みたいな」 


🐢「じっちゃん創作好き?」


🐬「いや まったく」


🐢「なら だめじゃん 
  いってらっしゃいじゃ
  ね~よ。大丈夫だよ 
  ここまできたんだもん」


🐬「いやあ 正直言うとね
  蜘蛛吉より
  鮫治の方がほんのり
  イケメン設定になった
  時から 少し……少し……」


🐢「少し少しってなんだよ!」

🐬「つまんねーー」


🐢「えーーー!でも
  おさめちゃんの
  じっちゃん(鮫治)の
  誕生日プレゼントに、
  じっちゃんを主人公にする
  お話にしたんでしょーが。
  必要ですよ、この設定は。」



🐬「そこなんだよ。
  イケメン設定の
  じっちゃんが時代劇で
  動いてる感じが
  なんか現実とのギャップ、
  ハンパないよね。
  だって、入れ歯をかかしの
  口にセットして、
  ケタケタ笑わしてる
  人なんだよ、普段」 


🐢「まあねえ 
  だけど、現実とちょっと違う
  キャラ変もあるのが
  創作のええとこやないか。
  それに
  結末を考える
  面倒くささの
  ネガティブエネルギーに
  支配されてるのと
  違うか。
  ええか、おさめ
   ゴールは
  もう見えてる!
  あと少し
  一緒に頑張ろう! 
  できることから?」


🐬「コツコツと。
   わかったよ♪ 
   想像するよ!」


🐢「そうこなくっちゃ!!」


🐬「ではいくよ」


…!!…!!!…!…☆☆……!………!…!


夜 物置小屋まで走る
蜘蛛吉と鮫治


🐬(蜘蛛吉)
「爺さん 
 走るの速えーなー
 転けんなよ」


🐢(鮫治)
「ふん 転けても投げられても
 この鮫肌は 傷もつかんわい
 あっあれだ!物置小屋がみえた
 よし ではここからふたてに
 別れよう  」


🐬(蜘蛛吉)
「あいよーではあとで!」


シュタタタターーー


シュタタタターーー


🐬(浪人 市右衛門)
「おい待て
  爺さんどこへいく」

🐢(蜘蛛吉)
「ああ ぁこれは 
 ドタバタ
 あいすいません 
 あっしは 不馴れな飯炊きの
 じじいでございます。
 今日は飯を炊いても炊いても
 お客が多いので追い付きません
 そんなことで
 薪を、とりにまいりやした 」


🐬(浪人 市右衛門)
「ええい紛らわしい
    とっととしろ」


🐢(鮫治)
「へえ 失礼いたします」


🐬(浪人 市右衛門)
「こらっ 物置に入るんじゃねえ
 薪は ほれ 
 じいさんの前にあるだろ」


🐢(鮫治)
「はあー
  不馴れなぁもんで……
  あっはいはい
  ここにございました。
 ご親切ありがとうごぜえます
 おっとっと お侍様
 私に近寄っちゃあ行けませんぜ。
 老いぼれておりますが
 このじじい
 今日は 冥土の土産話に一つ
 人助けでもと思いまして
 およねさんを助けに
 まいったのでございます。
 おっとっと お侍様
 本当にそれ以上 
小屋に近寄っちゃあなりません
近寄ると ベタベタの不快に
さらされますぞ」


🐬(浪人 市右衛門)
「なにをごちゃごちゃと
  うるさいじじいめ
 冥土の土産話ついでに
 わしがその冥土とやらに
 送ってやろう。あの世で 
 死人としゃべってやがれ
 ケーッケッケ 」

🐢(鮫治)
「ケーッケッケとは
 ケツでも
 おかゆいのでございますかな?
 私はともかく お侍様には
 冥土より先に 
 裁きの門にはいって
 いただかなければなりませぬな。
 なんなら私が その門まで
 お導きいたしやしょう
 では 蜘蛛吉!」


🐬(蜘蛛吉)
「あいよ!ほいきた! 
  お侍さんここだよ
 物置小屋の屋根の方だよー
 ここだよーーせーの
 バサーーッ 
 覚悟しなーーケーッケッケ」


🐢(浪人 市右衛門) 
「なんじゃこりゃ 
 ベタベタする
 ええい 切ってしまえ
 エイッ
 なんだこの網は
 斬れねえエイッ 
 クソッむかっ」


🐬(蜘蛛吉)
「それとおんなじ網の中で 
 あんたと良い仲のさよさんも
 じたばたしてるよ 」


🐢(浪人 市右衛門)
 「クッなんだと!」


🐬(蜘蛛吉)
「いっとくけど そのベタベタ
あんたの罪とおんなじぐらい
しばらくとれねえよ!
 覚悟しな 」


🐢(鮫治)
「ハハハハ
 蜘蛛吉 ずいぶん
 そのせりふが気に入った
 ようだな 
 まあご苦労だった
 もうすぐ奉行所の連中がくる」
 

(物置小屋の戸をガラガラ~
およねの口ひもやら縄を解き
与吉の方も口ひもだけ解いてやる)


🐢(鮫治)
「およねさん 大丈夫かい?」


🐬(およね)
「あいーー
  ありがとうございます」


🐢(鮫治)
「与吉さん あんたには悪いが
 さよと共謀した罪は
 おかみに
 きっちり裁いてもらわなきゃ
 ならねえーいいな」


🐬(与吉)
「へえ うう(-""""-;
 およねさん すまねえ
 まだ一度しか会ってないとはいえ
 許嫁のあんたを
 俺は 裏切っちまった」


🐢(およね)
「いいえ 与吉さん それは
 わたくしとて同じこと 
 こうして連れ去られることが
 なければ 私も 
 思いを寄せている好いた人と
 駆け落ちする手筈でした 
 しかし私が連れ去られるのを 
 あの人は見ていたのです。
 だけれど、あの人は
 助けになど
 来てくれませんでした…… 
 何が悲しいって
 その事が一番悲しくて 
 この狭い物置小屋で 
 始終泣いておりました
 泣いて決心がつきました。
 わたくしは もう一度 
 自身を研くため 
 一から学びなおしでございます。
 そして あの……
どこのどなたかは存じませぬが
お助けいただきありがとう存じます。
お名前を お教えくださいませ」


🐬(蜘蛛吉)
 「おれはさ 蜘蛛…」

🐢(鮫治)
 「おいおい
 いえいえ私どもは
 名乗るほどの者では 
 ございません では
 およねさん もう奉行所の
 提灯の明かりが近づいて
 見えておりやす。
 ご安心ください
私たちはこれで さあ行くぞ」


🐬(蜘蛛吉)
「およねさん 達者でな
 おい 爺さん 待ってくれよ
  おーーい」


~完~

パチパチパチパチ


🐬「頑張ったねーー私たち」


🐢「本当だねーー
  ひとりで何役も!
 じっちゃん 喜ぶといいねー」


🐬「それはまちがいないよ♪
 本当は
 へのへの入れ歯のかかしも
 登場させたかったけどねー 」


🐢「鮫治の隠し技?」


🐢🐬「ケタケタケタケタ
  '`,、('∀`) '`,、'`,、('∀`) '`,、」







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