じっちゃんの誕生日(雲隠れ蜘蛛吉、わしゃ気に入らん！の巻)
【おかめちゃんとおさめちゃん】
🐢おかめちゃん
亀と人間のハイブリッド
亀の名残りは、甲羅と
ゆっくりの歩みのみ
ハイソサエティにみえるが
じつはおとぼけな二十歳
🐬おさめちゃん
サメと人間のハイブリッド
サメの名残りは、
鋭い歯とへの字口
そしてサメ肌
いちご大福が大好きな
自他共に認めるおとぼけな
二十歳
👴鮫治
おさめちゃんの祖父
大学では落研だった
仕事は農業
じっちゃんの誕生日に
いよいよ紙人形劇で
「雲隠れ蜘蛛吉」の
お芝居を見せた
おかめちゃんとおさめちゃん
じっちゃんの反応はいかに
🐬「じっちゃんどうだった？」
🐢「おもしろかった？」
👴「ううん…
まぁ まぁ
おおきに
ありがとう」
🐢「じっちゃん
登場させたかったんだ
どうだった鮫治？」
👴「どういうことや？
わしが出てたとな？」
🐬「出したよ、あの
人助けのイケオジィの名は
鮫治だよ」
👴「？？？」
🐢「おさめちゃん、
えらいこっちゃ！
たしかに
私らの中では、じい様は
鮫治って名前にしたけど
登場人物の誰一人
鮫治さん、とか
さめじぃ…とか言わなかった！
つまり
名前出してなかったわ！」
🐬「ほんとだ。
じっちゃん、すまねぇ」
👴「わしの若い頃は
あんなもんじゃなかった」
🐬「違うんだよ！
若い頃じゃなくて
老いてなお かっこいい
イブシギンの感じが出てたろ？」
👴「なんやとー！
老いぼれてるだの
冥土の土産だの
わしはまだ
老いぼれておらーん
(カシャッ)
冥土にもまだまだ
行かーん(カシャッ)
フフッ、そういえば
こないだ、スーパーで
みりん買うときも
年齢確認されたくらいじゃ。
二十歳ですかー？
聞きよるから、
そうじゃー、言うて
イエスじゃー、言うたった
ホホホホホ、ゲホッ」
🐢「ヒャーハッハハΣ(ﾟ∀ﾟ)」
🐬「じっちゃん、
自分でウケてむせてるよ。
大丈夫かい？
二十歳以上か
聞かれたんだよ。
おかめちゃんも
じっちゃんの小ネタに
笑わないで～
調子のるから」
🐢「いや、面白いよ
さすが、落研出身」
🐬「話をもどすよ
わかってるよ
あれは
老いぼれてると見せかけて
実は……
ていうそのギャップというか
ビックリ感を出したかっただよ」
👴「そんなら 雲隠れ蜘蛛吉の
雲隠れはどういう意味じゃ
あんまりわからーーん
(カシャッ)」
※文中の(カシャッ)について…
大きい口を開けると
ゆるみがちの入れ歯が
口腔内に浮きます。
それを装着する音です。
🐬「じっちゃん
歯医者行って。
それより、お芝居
結構
覚えてんじゃん
うれしいけど
ダメだし多いよ
そういうのは
心に密かに思っててよ
声に出して言うのは
一生懸命
一緒に考えてくれた
おかめちゃんに失礼だよ」
🐢「じっちゃん
気分害したのかい?
ごめんよ おらたち 本当に
一生懸命に考えたんだよ」
👴「そんなこと言っても
ダメだしはな
せな上達せん
先に言ったが
だいぶー粗削りや
これでは
鮫治という名に傷がつく」
🐬「そこまで言うのか
じっちゃん！
おら おら
本気でムカついてきた」
🐢「オヨヨ おさめちゃん
今日は
じっちゃんの誕生日だよ
ここは、ひらにー」
👴「おさめ
お前は大切なことを
忘れておるぞ
じっちゃん 前に言ったな
おさめに
誕生日に何がほしいか聞かれて
わしは あれが欲しいと言うた」
🐢「なに？」
🐬「???……ハッ(￣□￣；)
エ○・ジョーダン☆」
👴「わしはのう 誕生日に
あれが履いてみたかった」
🐢「物欲が二十歳
(＠￣Д￣＠；)」
🐬「大丈夫だよ
買ってあるよ、ほれ」
🐢「買うてるんかーい！
じっちゃん、おめでとう」
🐬「じっちゃん、おめでとう
いつもありがとう」
👴「あー、わぁ
おおきに
うれしいわ
新品の靴のにおいや
あれやのう、
エ○・ジョーダンていう
靴も、しま○らの店の匂いが
するんやな」
🐬「しま○らで買った
からね、だから袋も
しま○らだよ」
👴「ほぉーなんでも
売ってるんやな
さすが！」
しばらくして……
🐢「おさめちゃん
いずれバレるよ
本物じゃないって」
🐬「いんだよ、おかめちゃん
きっと孫から貰えるものは
何だってうれしいはず
それにさぁ
じっちゃん、年がら年中
長靴か夏ならビーサンだよ。
靴のたぐいはさ
履かなさ過ぎて
何回も壊れてるのよ
あれっ、ほら靴底とか
ボロボロになるやつ」
🐢｢あー、えっと、あれは
加水分解だよ｣
🐬｢それそれ、ほぼほぼ
新品なのに…｣
🐢「だけどさ
今回のじっちゃんの
プレゼントの
しま○らのスニーカー
ナ○キのマークが
そもそも違うかったよ
それに かかとのところ
おかめは見逃さなかったよ。
あんた、油性ペンの青色で
小っさい字で かかとに
ジョーダンて
書いただろ」
🐬「ペンキで、書いたよ
ニスまで塗ったよ」
🐢「サモトラケの
ニケもビックリだよ」
🐬「サーモンとる家のサケ？」
🐢「もう、いいよ」