見出し画像

MSマウスプロジェクト | A&A Japan10

東京での生活がスタートしてすぐに任されたプロジェクトの一つに、マイクロソフト・マウスのOEM開発がありました。

MS社内で発足したハードウエアチーム。そのカウンターPMパートナーにA&A Japanが指定されたのも、Radio ShackからMSの社長になったジョン・シャーリーのご指名でした。

本社FTWから帰国したばかりの私に白羽の矢が当たったのですが、時の運といいますが、成功に「運」は欠かせない一つという実感が今までの人生で何度かあります。「縁」もある意味では「運」だと思います。

運を掴むのも実力のうち。

棚からぼた餅」という言葉がありますが、ぼた餅が落ちるその時に棚の下に居ないと手には入りません。

つまり、棚の下に行くという行動と落ちるタイミングを知るという読みがあります。

流れを読む・・・時流

世の中はどこに向かって流れているか?という「時流」を読むのは大事です。感性を磨き、屈指して時を掴み、そこに行くという労力を惜しまない。

さて話を戻して、OEM製造メーカーは、当時のアルプス電気(現アルプスアルパイン社)とミツミ電機(現ミネベアミツミ)でした。前者がMS標準製品、後者はWhiteLabel製品の位置付け。その差異は、前者はMicrosoftロゴを組み込みで、後者はシルクスクリーンで対応でした。

デザインは、カリフォルニアにあったDavid Kellyというデザイン会社。このプロジェクト経験から多くの事を学び、その後の私の製品企画にも多大な影響を及ぼすとても恵まれた活きた勉強、まさにOJTでした。

今でも鮮明に覚えているのが、MSチームが来日して、メーカーの工場で量産前の最終打合せ。量産受け入れ合意がお互い譲れず、夕方になっても終わらず。結局、夕食もスキップして缶詰交渉。終わったのは、深夜で栃木県から都内までタクシーでの帰宅。彼等をホテルに送って、アパートに戻った時には夜中過ぎて翌日になっていました。

日本人の感覚では、一旦夕食を一緒にして和んで終電まで交渉か明日以降に交渉再開の選択をしそうですね。当時PM的に指揮っていた私の落とし所はそれを思っていました。

しかし、彼等の選択は夕食スキップでの交渉続行。タクシー代は確かに高くつきましたが、再交渉を別日程でする時間ロスなども考えると交通費というだけの費用での判断は、重箱の隅をつつくようなミクロ視点だなぁ〜と20代の若造ながら感じたりもしたのでした。

このプロジェクト関連で一泊三日(二泊は機中)のMS本社に出張が一度ありました。初めてのシアトルは、シトシトと小雨の降る暗い感じで、街の印象は良いものではありませんでした。

Pike Place Market

それは、雨とほぼ無縁だったテキサスやカリフォルニアの青い空が広がる生活体験から来るアメリカの印象だったからでした。まさか15年後にそのシアトルで家族共々生活する事になるとは夢にも思っていませんでした。

無事会議を終えて、SEATAC空港の搭乗口でModel100使って議事録作成に没頭していた時でした。地上員のJALの女性が「尾中さんですか?」と声をかけて来て、「そうです」と返事した途端、「Run‼︎ 搭乗時間過ぎています!」と叫ばれるや否や、彼女は無線機で「見つけました!」と連絡。

言われるままに荷物を小脇に抱えて走ること別の搭乗口へ。搭乗口が変更になったのに気付かず、報告書作成に没頭していたようです。

飛行機に乗るや否や、こいつか!離陸遅れていたのは〜と判る痛い冷たい視線を沢山浴びつつ、自分の座席へ。飛行機の離陸時間を遅らせるという失態〜でも置いて行かれず、探してくれたJALに感謝。こんな蜻蛉返り日米出張も今ではほろ苦い思い出です。

こうして親しくなったMSのハードウエア初期チーム。次の年に結婚して新婚旅行に行った留学時代の思い出の街、San Diego。朝起きたらステーキ朝食のルームサービス!家内は肉を食べないし、注文した覚えがない。間違いだろうと言うとマイクロソフト社からです。

えええ〜

その後チームからMS本社に来る誘いを受けたのですが、当時のMSは、キーボードやマウスという周辺機器。一方、Tandy Radio Shackではノートブックパソコンの企画・開発。どっちが面白い?といったら当然後者でしょう。

当時、もしMSへ転職していたらどうなっていたでしょう?90年代初頭にDellへ転職という縁も当然なかったでしょう。

人生の分岐点は、誰にも何度かチャンス(運)というものが訪れる事があると思います。でもその時にそこまで歩んで行って手中に納めるかどうかの判断基準を何処に置くか?究極は個人の人生観に尽きると思います。

人生二度なし

常にチャレンジな道を選んできたので、将来何が起こるか予想もできないドキドキという楽しさもありました。手堅い道も悪くはないです。どんな道を歩むかはその人の人生の価値観によって決まるもの。このシリーズで何度か言ってきましたが、自分の人生の主人公を演じたいですね。


良かったら❤️ポッとクリックしてみて下さい。励みになります😄

いいなと思ったら応援しよう!