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失恋のためのチケット

私には3年前すごく好きな人がいた

特別話が合うわけではないし、むしろ話していても面白いなあと思うわけでもないし
なんなら噛み合ってなくない?と思うこともしばしば

それでも彼の人間性が好きで、選ぶモノコトが好きで、どうにも言葉にできないくらいとても好きだった

一方で彼と関わっている時間は、自分に酔ったような言い方だけど木漏れ日を見ているかのようなほんのひとときのような時間で
いつかこの時はもろく崩れ去ってしまうのではないかという危うさがあった

なんとなく出会ってから、その木漏れ日が見れる時間は短い気もしたけどできるだけ、少しでも長くその木漏れ日を見れるように繋ぎ止めるように、彼との時間を紡いだ

案の定願いは叶わず、あっけなく半年ほどでフラれてしまった
でもどこか予想がついていたことでもあった

恋愛というより一種の不思議体験ともいえる彼との出会い。

急に話は変わるけども、この間花束みたいな恋をしたという映画を久しぶりに3回目として見ていた時のこと。
わりと前半のシーンで、2人がお笑いコンビ天竺鼠のライブのチケットを購入していたものの、ライブに行けなかった話をするシーンがある。
「チケット取ってたんですけどいけなくて」
「私もです」
「じゃあ行ってたら会ってたかもしれないですね」
「でも、行ってたらここで会っていなかったかも」
「じゃあこれはここで会うためのチケットだってことだ」
お笑いライブのチケットの話を交えた、おしゃれな言い回しのシーン

このシーンを見て、ふと彼のことが頭によぎる
初めから長くは続かないとわかっていながらも、少しでも彼と関わりたかったその気持ち

私は彼との出会い、ともに過ごし、フラれてしまうまでの過程をひっくるめ、失恋をするためのチケットだったのかもしれないと思った

うん、そう思うしか心の行き場はないし、おしゃれだからそうしておこう。

彼はいったい今をどう生きているだろう
私のことなんか思い出さずケラケラと楽しく生きているんだろうな、私と関わった時間は良かった部分だけ美談に変えて人に話しているのかもしれないな。


たまに想いは馳せるけどきっとそれに留めておくことが私に取っては美しい形なのだろうなと思う

※ ※ ※
P.S.
フラれた当初、竹内まりやの今夜はHearty Party を聴きまくっていた。特に2番

「フラれることは覚悟していたけれど
いざお別れと言われたら泣けてきた
私の良さがわからない?
なんて不幸なやつだろう
1人きりの夜は長くて〜♪」

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