【超辛口】まなふぃ推しが映画「ゼンブ・オブ・トーキョー」をガチレビューする【ネタバレ】
100点満点で言うところの120点でした
あなたが東京を覗くとき、東京もまたあなたを覗いている。どうもぽのふぃです。ゼンブ・オブ・トーキョー、絶賛公開中ですね。四期生たちも東奔西走、舞台挨拶に勤しみ、大きな盛り上がりを見せているところであります。本記事では、そんなゼンブ・オブ・トーキョーを生粋のまなふぃ推しであるわたくしぽのふぃがレビューしていきますが、結論から申し上げますとこの映画、最高でした。あまりにも最高過ぎて人生で初めて映画のパンフレットを購入しましたし、僕はミドルネームを「ゼンブ」にすることを検討しています。ということで、僕が感じたこの映画の素晴らしいポイント、そして、「ここはちょっとマイナスかな」といったポイントも忖度無しで語っていきたいと思います。ネタバレが多く含まれますので、すでに映画をご覧になった方、もしくはネタバレを食らおうがびくともしない勇者の方以外は十分ご注意ください。
良かったところその①:キャラクターが魅力的
ゼンブ・オブ・トーキョーは四期生11人の中でも特に正源司陽子さん演じる池園優里香を班長とした「池園班」の5人に焦点を当てた青春群像劇であります。池園以外の4人はそれぞれ秘めた思惑を胸に、東京でバラバラに行動し始めます。池園班を始めとした四期生11人の役どころは全員クセツヨもクセツヨ。全員掘り下げたくなるキャラクターをしています。
全員を紹介するのは骨が折れるので、僕が特に気に入っているキャラクターを2人、ご紹介します。まず、同級生の男子守谷くんを巡ったバトルを藤嶌果歩さん演じる羽川恵と繰り広げる、バスケ部の恋するツンデレ娘・辻坂美緒です。このキャラクターを演じているのは竹内希来里さん。普段のほわっと優しい竹内さんの雰囲気とは打って変わった、恵との大舌戦は見ものです。このキャラクターは四期生が演じたキャラクターの中ではもっとも現実と乖離したキャラクターだと思っています。恵から「守谷くんと付き合いたいわけではない」という言質を得た後に「私は付き合いたいけどね~、あわよくば」という一言で完全に二人の間の均衡を崩し、勝ちを確信したドヤ顔。そうかと思えば、守谷くんにアタックする権利を得るものの話しかけに行けず、「遠くから見るのが良い。守谷 イン トーキョーを胸に刻もう」という弱気な恵の提案に同調したり、感情の動き方が非常に愛らしいキャラクターに仕上がっていると思います。この「あわよくば」の顔が非常に良く、辻坂美緒というキャラクターの奥行きをその1~2秒で大きく広げたような気がしています。竹内さんの目力と藤嶌さんとの演技の「間」がこの守谷ストーキングパートをとても良いものにしているのを感じます。演技の「間」については苦労したことが言及されており、この心地よい舌戦は彼女らの努力の賜物だということが分かります。僕は日向坂46のファンでありますから、こういった頑張りが大好物です。この映画において美緒はもう完全なる僕の推しキャラです。
そしてもう一人。小西夏菜実さん演じる東京からの転校生、クールでイケてる桝谷綾乃に憧れを抱くピュアすぎるクラスメイト・花里深雪です。このキャラクターを演じているのはこれまたピュアさを感じる平尾帆夏さん。深雪はのっけから桝谷と行動を共にするべく班を抜け出していて、かなり変です。序盤では憧れが行き過ぎているのか、どれだけ桝谷が冷たい態度を取っていても「つめたい~」、「無視だけはやめてよ~」などと言いながらノリノリでついていきます。その積極性は見習うべきものがありますね。「東京の人」というものに確固たる像を見出しているらしく、桝谷との合流後すぐに出会う桝谷の東京時代の友だち・満武夢華(桝谷についての爆弾を抱えている)にも東京時代の桝谷のことを質問責めし、あまつさえ夢華を誘って3人で東京を巡ろうとする始末。空気とかはあんまり読めないタイプです。さて、東京出身クールキャラという化けの皮を剥がし、本当のことを言った方が良いのではという、夢華からの提言を受け、桝谷がカミングアウトした後。ここが彼女のキャラクターの真骨頂です。「うわ~!まじか~!」、露骨にショックを受ける深雪。彼女にとってはクールな東京の人の像が全てであり、その像そのものであった桝谷のイメージの崩壊は耐え難いものがあったようです。さらに、桝谷がオタクであるという事実が深雪に追い打ちをかけていて、「オタクか臭いかだったら臭い方が良かった」と、オタクが大半であろうシアターを絨毯爆撃するかのような落胆ぶりを見せます。このカミングアウト直後の桝谷への明らかな萎え感と、憧れの東京人じゃないと気付いたがゆえの、のちのナメっぷりが非常に心地よく、彼女の桝谷に対するイジり方は一度見たら病みつきになること間違いなしなすがすがしさがあります。平尾さんが持つピュアさと、それに相反するような垣間見えるクレバーさに基づいたキャラクターのような気がしていて、とても僕が気に入ったキャラクターです。
良かったところその②:映像、音声、脚本
僕は映画をあまり見ないので存じ上げなかったのですが、ゼンブ・オブ・トーキョーの熊切和嘉監督は数々の賞を受賞された経験のあるとびきり映像にこだわりを持つ方であるそうで、この映画においても「東京から見た彼女たちを撮る」ということを意識されていたようです。その意図がくっきりと読み取れる映像が目の前に展開されていて、映画館で思わず驚嘆の声を漏らしてしまいました。例えば、班長・池園が上野で神社(お寺?)を訪れたものの閉まっていたというカットも、門扉の前でチェキを撮る池園を見ている第三者といったような画角から撮影されていて、まさに「田舎から来たおのぼりさん」を大丈夫かなぁと見守っているような感覚に陥り、彼女が今どんな状況に置かれているのかを克明に窺い知ることができました。さらに、開発途中の工事現場が意図的に映されていて東京の今を感じることができるとともに、東京は刻一刻と絶えず変化する生きている街なんだなぁと思わせてくれました。また、最序盤のバスから見える東京を映したカットは、地方住みの僕が鳥肌が立つぐらい東京に来たあの感じを表現していましたし、音楽を聴く池園を教室の隅から映したカットは池園が自分のクラスメイトなんじゃないかと錯覚させる凄みがあり、目線の高さや教室の明るさなどにこだわりを感じました。最近ジャンプ+でクニゲイを読んでいるので、分かります。
また、音声・SEにもこだわりを感じました。特に僕がこだわりを感じたのは、原宿・竹下通りのシーンで流れた挿入歌「雨が降ったって」で、いわゆる挿入歌として普通に流れているわけではなく、竹下通りのスピーカーからランダムで流れてきた曲かのような音質で曲が流れていて、日向坂の楽曲が街に流れている嬉しさみたいなものを感じさせてくれましたし、人々の喧騒と混ざり合っていたことによって竹下通りのカオスな要素が際立っていたように感じました。それから、なんと言っても「急行券とリズム」ですよね。アレなんなんですか。良すぎませんか?「ここは”東京”」のとこのコーラスがこの映画の雰囲気をより一層引き立ててくれている気がしました。Conton Candyさんの楽曲は恥ずかしながら「ファジーネーブル」しか知らなかったのですが、こんなに幅のあるアーティストだったのかと脱帽いたしました。熊切監督も納得の一曲だったようで、すべてのクリエイティブが掛け算の形でこの作品にブーストをかけているなぁと感じました。
そして脚本ですが、この映画では池園班に限ったことで言うと誰一人として修学旅行前に考えていたそれぞれの望みを完遂できていないんですね。池園は「みんなと東京のゼンブを味わいたい」、智紗は「アイドルのオーディションを受けたい」、恵は「守谷くんを見守りたい、というよりあわよくば修学旅行マジックでどうこうなりたい」、詩央里は「ぽぽまるずの限定グッズを四か所でゲットする」、桝谷は「東京から来たクール系を貫き通す」。すべてが失敗に終わっています。しかし、結果として全員がこの修学旅行の思い出を大切な宝物として持っていられるような収まり方をしていたように思えます。この「全員が望みを完遂できなかった、でもいい思い出になった」というところに工夫があると思っていて、誰も望みを完遂できなかったことが青春の青く拙い部分、勢いに任せて行動できる怖いもの知らずさを表現していたんじゃないかなぁと僕は思っています。
良かったところその③:ディティールの細かさ
注意しないと見落としそうなディティールの部分に遊び心を感じてすごく楽しめました。桝谷が池園に見つかりそうになったとき「助けなきゃ!」と行った深雪の口に付いていたクリーム、卒業のときの黒板に書かれていた「智紗も一緒に卒業だよ!」という詩央里からの寄せ書き、グッズとしても発売されていたけど実は小道具だった智紗のアクリルキーホルダーなど、僕は全然見つけられている自信が無いですがとにかく何回でも見ていろいろ発見したいなと思わせてくれるようなディティールの細かさがありました。これらは演出上差し込んだものもあれば、メンバーからの提案だったこともあるようで、創意工夫が光る部分だったのかなと思います。
ディティールの部分とはまた少し異なりますが、僕が語りたいところで言うと四期生11人が海で遊ぶシーンです。ここはメンバーたちも語っている通り作中であまり絡みの無い深雪とぽぽずの一員・梁取茜が仲良さそうに遊んでいたり、そういうかなり設定としては無理のある絡みが多発しています。これは役柄から日向坂四期生に戻ってしまったところをあえて使っているんだろうなと感じました。このシーンは最終盤のシーンで、トイ・ストーリーで言うところのNGシーン集のような役割を果たしていると考えました。つまり、映画の物語からなるべくシームレスに観客を現実に戻してあげるとともに、「こんなに仲が良いキャストでお送りしましたよ」というメッセージであるというわけです。この映画は日向坂四期生のプロモーションともなる位置づけの作品ですから、最終的には日向坂四期生自体を好きになってもらうことが好ましく、このシーンは「日向坂四期生」を言葉よりも明らかに表現しているとても良いシーンだなぁと感じました。
ここが変だよゼンブ・オブ・トーキョー①:池園優里香がかわいそうすぎる
それでは、ここからは僕がゼンブ・オブ・トーキョーを観て感じた、ゼンブ・オブ・トーキョーのおかしな点をみなさんに共有していきたいと思います。早速一つ目ですが、映画の4分の3くらいの時点まで池園優理香がかわいそうすぎます。
バスで班員にスケジュールを配るところから池園班としての動きはスタートするわけですが、この時点で全員のリアクションがあまり良くないです。説田ちゃんは「できたんだ!」とちょっとだけ良いリアクションを取ってくれますが、「マジで作ってきたんか」と言わんばかりの反応を見せる班員が多いです。言い出しっぺは池園であるわけで致し方ないことではあるのですが、スケジュールをワンオペで決めてくれた班長に対してあんまりな態度です。その後、スケジュールに沿って昼前まで東京観光をする一行ですが、昼ご飯を食べることになり、予定していた店が混んでいるのを見て事態は急変。池園以外の全員が「これは抜け出すチャンスだ」と考えます。それは良いのですが、提案をことごとく棄却される池園の頑張りようが見ていて辛いです。池園班のみんなも池園の提案したプランに「今はそういう気分じゃない…かな…」など、一番気まずい断り方をしています。自分の意見を言えないよりは健全な関係ではありますが。そして、各自食べたいものを食べようという結論に達し(半ば強引に)、池園がめちゃくちゃ嫌われていないと説明が付かないくらい蜘蛛の子を散らすような解散をします。
物語が進み、各々が思惑に沿って動く中で、池園はしばらく徘徊系のボスみたいな扱いを受けています。バイオハザードシリーズに登場するタイラントみたいな立ち位置です。それでも、自分が作った東京のゼンブを楽しむスケジュールを一人で遂行していく池園。なんて健気なんでしょうか。自分だったら心が折れて、代々木公園あたりで残りの時間を潰しています。チェキでの自撮りや橋の上から電車を眺めるワンショットもより一層彼女の孤独感を演出していて、しんどいです。そして、物語がクライマックスへと向かっていく場面。智紗ちゃんのスマホが八嶋智人さん演じるヒヌケンに没収される場面で池園はヒヌケンに呼び出され、彼女の行動の指針であった東京のゼンブを巡るスケジュールの続行すら困難な事態に陥ります。もうこれ以上彼女から何かを奪うのはやめてください。智紗ちゃんのもとにたどり着いた池園。ありりんのチェキが無いとオーディションを受けられないなどという、修学旅行でオーディションを受けに行こうとしていた人とは思えない繊細過ぎる理由で泣き始める智紗ちゃんにも懸命に寄り添っています。実は池園にとって大事だったことは「東京をゼンブ巡ること」ではなくて「みんなで東京を楽しむこと」だったので納得感はあるのですが、ここまで健気で優しいともう逆に怖くなってきました。あれだけ班員からないがしろにされておきながら、スマホ奪還作戦のために班員に協力を仰ぐ姿は、主人公感溢れる正源司さんでなければ何か裏があることを勘ぐってしまいそうでした。ここからは「みんなで楽しむ」が満たされているため、池園も楽しそうでこちらも胸をなでおろす形になります。修学旅行が彼女のトラウマになっていなさそうで良かったです。
ここが変だよゼンブ・オブ・トーキョー②:守谷くんが神社にいすぎ
彼はせっかくの東京で何をやっているのでしょうか。角村に「手に入れたいものがあるならうんぬん」みたいな話をされるまで好きな子に告白する気も無かったわけですから、本当に彼は角村がぽぽまるずグッズの列に並ぶ前から、玉砕し帰ってくるまで何の目的も無く神社でいたずらに時間を浪費していたというわけです。高校生としてはあまりに不可解な行動であり、「彼が私立探偵であり、黒ずくめの組織の怪しい取引を監視している」くらいの理由が無ければ説明が付きません。先述の通り、最終的に好きな子に告白をしたので、怪しい取引の監視はしていなかったことが分かります。本当に不可解でつかみどころの無い男です。しかし、こういうつかみどころの無いイケメンが往々にして思春期女子のハートを鷲掴みしますよね。悔しいです。
あと、ついでではありますが修学旅行の自由時間を守谷くんのストーキングに費やす恵と美緒も怖いです。男女逆なら普通に見ていられず、ジャンルが青春群像劇からヒトコワ系ホラーに変わります。常識が通用しないくらい顔が良くて良かったですね。もう金輪際、ストーキングはやめてくださいね。
ここが変だよゼンブ・オブ・トーキョー③:ゲーセンの闇が深い
ぽぽまるずの限定グッズを求め、クレーンゲームに挑戦する説田ちゃん。ルールは5プレイのうちに景品を穴に落とせたらゲットというもの。説田ちゃんは奮闘しますが、3プレイ終了時点でゲットできず、焦りが見え始めます。そこに登場したのが桝谷の東京時代のオタク友だち、ブクロのプライズクイーン・満武夢華でした。実力に懐疑的な説田ちゃんを尻目にとなりのクレーンゲームであっさり景品を大量ゲットする満武さん。この時点でプレイを中断してから2分くらい経っており、そろそろ後続からの白い目が耐えられなくなっているところです。実力を示した満武さんはグッズを手に入れる作戦を長台詞で披露し、「あとはそうね…どうか祈ってて」と、台に向き合います。かっこいい…僕は満武さんに惚れました。
しかし、ゲーセン側はいかにも出来そうな満武さんの乱入をなぜ容認しているのでしょうか。実に不可解です。そもそも、説田ちゃんの前に多くのファンが並んでいたにもかかわらず誰一人取れた様子がありません。もうこれは5プレイ以内では確実に取れない細工を施しているとみて間違いないでしょう。落ちそうになったら穴から強烈な風が吹きつける…とかでしょうか。東京、なんて汚い街なんでしょう。こんな暴挙が許されていいのでしょうか。確かに、満武さんが5プレイした様子は確認できなかったので、満武さんが最初からやれば取れたかもしれません。しかし確認できない以上、ゲーセン側の態度から推測するほかなく、余裕で沈黙を貫くその態度からは不正の香りがプンプンしやがります。この映画を見た消費者庁は黙っていないと思います。首を洗って待っていてくださいね。
ここが変だよゼンブ・オブ・トーキョー④:西東京は東京ではないとする池園の姿勢
池園の作成したスケジュールに西東京を巡る時間は無く、「東京23区以外は東京ではない」とする過激な思想が垣間見えます。池園は「東京っぽいとこゼンブ味わっちゃおうよ!」と班員によびかけており、「西東京は東京っぽくない」という偏見を露呈しています。僕は地方住みですから東京のことはよく分かりませんが、「都心に近ければもう東京ってことでいいだろ」と思っています。そんな自分からして、東京都内であるにもかかわらず西東京エリアを東京でないとする彼女の考えにはとてもではないですが共感できません。もしかしたら池園班がバラバラになったのは、こういった班長・池園の独断的かつ乱暴な姿勢によるものだったのかもしれません。特に東京からの転校生である桝谷は「西東京も悪くないのになぁ」と思っていたかもしれません。池園が真の意味でのゼンブ・オブ・トーキョーを楽しめるようになるといいですね。伊豆諸島や小笠原諸島などの島嶼部も東京ですが、さすがに修学旅行では巡れないという点で今回は見逃すこととします。
いますぐ座席を予約しよう
さて、レビューはいかがだったでしょうか?まだ見ていないという方がここまでたどり着いているとは思えませんが、もしいらっしゃったらいますぐ映画館に行くか座席予約をしておきましょう。絶対に損しませんから。僕自身も、あと2回は見に行きたいなと考えています。本当に見てよかったなぁと心の底から思っています。細かいところまで見れば何回か見ても新しい発見があると思いますし、おひさまには繰り返し見ることをオススメしたいところです。日向坂四期生の魅力が一流クリエイターたちによって光り輝く映画「ゼンブ・オブ・トーキョー」、最高の映画でした。それでは、今回はこの辺で。馬喰横山でした。
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