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子ども達が親の言いつけを守る時、守らない時

初出 2017/11/21 Blogger「PonoLipo 子ども Lab」

少し古くなりますが、とても意義深いリサーチのレポートを見つけましたので、ご紹介します。2010年、The Jounal of Child Developmentの3月/4月号に発表された研究です。カリフォルニア大学Davis校の心と脳研究センター心理学教授Kristin Hansen Lagattutaを中心にして、シカゴのイリノイ大学、カナダのブロック大学が参加した共同研究のレポートです。

When will children disobey parents? It depends on the rule

Date:March 26, 2010
Source:Society for Research in Child Development
Summary:
A study of 60 4- to 7-year-olds that considers the connections between control over issues within children's personal domain, identity, and emotional well-being has found that children make important distinctions between different kinds of rules. Using role-playing situations, the researchers learned how children would act and feel when a parent forbids them from engaging in a desired activity. The findings suggest that children make important distinctions between different kinds of rules when reasoning about decisions and emotions.

https://www.sciencedaily.com/releases/2010/03/100325091419.htm

4歳~7歳の60人の子どもが参加してリサーチが行われました。子ども達は、いろいろなシチュエーションで親に、自分がやりたい行動をやめるよう親から言われるというRole-playing(寸劇)の中で、子ども役が、どう感じ、親の言いつけに従うか、反抗するかについて、自分の考えを示します。

ロールプレイの状況設定は、親から「Aくんとは遊ばないように」「Aがやりたいの?ダメ。それよりBにしなさい」「その服はやめて、こっちを着なさい」というような個人のアイデンティティやプライバシーに抵触するケースと、「叩いちゃダメよ。乱暴はやめなさい」「人のものを盗っちゃダメでしょ。返しなさい。」などのモラル違反を指摘されるケースとに分けられます。

子ども達は、明確にモラル違反を犯すような場合には、親の言いつけに従い、自分の行動を抑制することで、気分的にも楽になり、良いことをしたという気持ちになります。逆に、自己のアイデンティティやプライバシーといった個人領域に親が踏み入って、自分の考えを押し付けてきていると感じる時には、親の言うことを聞かず反抗的な態度を取る傾向が顕著であることが、この調査で示されたということです。

この研究結果から、4歳から7歳にかけての幼少期には、もう既にアイデンティティやプライバシーという意識が芽生え、どこまで親の言うことを聞くべきかどうかという価値基準が、子ども達の中に育まれているということが分かります。やってはいけないことについてもきちんと自覚することができるようになっているということです。

ご両親から見れば、まだまだ幼く自分で何も判断できないように見えるかもしれませんが、個人としての尊厳を認め、人格を尊重して接することが、かなり幼い頃から、大変重要なことだということが分かります。就学前の幼い子でも、その子自身が考え判断する余地を与えながら、「なぜパパやママは反対しているのか」という禁止の理由を丁寧に話してあげることが大切です。モラルに違反する事柄であると子どもが理解すれば、親の言うことを子どもは受け入れるでしょう。その子自身が、どうしても譲れない個人領域に関することと感じるなら、自身の考えを曲げないでしょう。無理強いせずに根気よく話して親の考え方、価値観を理解した上で、その子が、それでも自分はこうすると決めて行動することに対しては、親の側も受けとめて、その子なりの考えを尊重していくという姿勢を持つことが大切なのではないでしょうか。

自分自身の子育てを振り返っても、子どもが「どうしてもイヤだ」とか「どうしても欲しい」と、のっぴきならない様子で頑張っている時は、やはりやめれば良かったなあとか、買ってあげて良かったなあと、後から振り返って子どもの言う方が正しかったなあと思うことも多いです。幼いながらに、ちゃんと自分の考えを持っていたんだなあと思います。

でもパパやママが絶対にイヤ!なことや、こうしたいんだ!ということも、それはそれで尊重されるべきですから、上からではなくフラットな感覚で家族同士根気よく話をして、ひとつずつ積み重ねていくことが大切なんだと思います。お互いに尊重し合っているという感覚を持つことができれば、そこには強い信頼関係が生まれますからね。


Story Source:
Materials provided by Society for Research in Child Development. Note: Content may be edited for style and length.
Journal Reference:
Kristin Hansen Lagattuta, Larry Nucci, Sandra Leanne Bosacki. Bridging Theory of Mind and the Personal Domain: Children's Reasoning About Resistance to Parental Control (p 616-635). Child Development, 2010; 81 (2): 616 DOI: 10.1111/j.1467-8624.2009.01419.x


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