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欧米と日本の大学のシステムの違い

初出 2017/09/27 Blogger「PonoLipo 子ども Lab」

 日本の大学と欧米の大学の大きなシステムの違いについて、私の海外赴任中のハワイ大学留学体験から、今回お話したいと思います。少し古い体験がベースですが、日米の大学の制度の違いなどは、今も変わっていないものと思います。

 日本の場合、ある大学から他の大学や他の学部へ転籍することは可能ですが、大変難しいイメージがあります。どの大学のどの学部へ入るかが、人生を左右する大きな選択となりますので、その入り口の受験のところで、ものすごく加熱します。第一志望の大学に入学するまで浪人して、ずっと受験勉強をする人も少なくありません。アメリカの大学のシステムは、これとは全く異なります。

 私は、子育て中に夫の海外赴任でハワイに4年間住んでいました。せっかくの機会ですので、子どもが幼稚園に通っている時間を使って、最初は、地元の大学が主宰する語学コースに通って英語を勉強していました。その後「英語のための英語の勉強」というのに飽きて「自分の学びたいことを英語で勉強する」ために、「アンクラシファイド・スチューデント」というステイタスでハワイ大学で留学を短期間経験しました。これは「学部を卒業して大学院での専攻を決めるために、単位を取得し成績がつく形でいろいろな学部の授業を受けることができる」というステイタスです。日本では「研究生」に近いステイタスですが、ちゃんと成績がついて記録に残る上、大学のすべての学部の学士〜修士課程のいろいろな授業を受講できるという、自分本位で学ぶことを楽しむことができる素晴らしい制度でした。

 この時に知ったのですが、アメリカの大学には「トランスファー」という制度が広く定着していて、一旦入学した大学での成績やTOEFLのスコア、日本の高校や大学での成績表、健康診断表などなどを提出申請して許可されれば、アメリカ中のどの大学のどの学部へも転籍編入可能なのです。

 最初、TOEFLのスコアが、それほど高くなくても、治安の良いハワイなどの大学に留学して一生懸命勉強して良い成績を上げ、TOEFLのスコアを上げれば、本来自分の行きたいと思っていた難しい大学の学部への編入も、その後十分可能ということです。ですから留学したい人は、志望大学の要求するTOFELスコアに達していなくても、入れるところにまず留学して、そこで良い成績を上げて行けば、どんどん志望するところへ自力で近づいて行けるという事です。どんな大学でも、そこで良い成績を上げるには、相当の努力が必要ですので、あっという間に英語力が上がり、志望校を目指せるTOEFLスコアに到達することができると思います。

 大学の成績は、クラスの何%をAといった相対評価ではありません。最初の授業の時に、先生が、クラスの出席が何%、課題が何%、テスト何%と、その授業でやる内容の構成を全て開示して、その点数振り分けも公表します。生徒は、真面目に授業に出て、課題に対して自分のベストを出し、コツコツとひとつづつ点数を積み上げていくしかAを取る道はないのです。

 日本の大学のシステムと大きく異なり、田舎ののんびりした大学で入学時にそれほど高い成績を必要としない大学でも、先生たちのレベルと熱意は非常に高く、良い成績を上げるには、日本の受験勉強に匹敵するほどの真剣でハードな勉強が必要になります。そして良い成績を上げれば、日本では考えられないような手厚い奨学金なども申請可能です。成績が良くなければ、奨学金の条件も良くなく、自分の進みたい方へは行けないという、とてもシビアな実力主義であることを忘れてはなりませんが、一生懸命学んでいくことが報われる世界でもあります。

 先生のレベルと熱意が高いのは、先生たちも世界中から優秀な研究者が集まって来ており、更に上の大学や大学院での研究職を目指している人達だからです。先生達もまた、しのぎを削って必死に勉学に励む途上にある方々なのです。研究論文の質と数、発表や講演などの精力的な活動状況、授業に対する生徒や大学からの評価などによって、メインランドの有名大学のスカウトマンが、これは!という先生をスカウトして引き抜いていくのだそうです。今日は田舎の大学でも明日はIVYリーグの教壇に立つかもしれないわけです。また外国の一線で活躍している人、一線で活躍してきたキャリアを持つ人を小さな大学がスカウトして引っぱって来ることもあるようで、片田舎ののんびりしたハワイ大学でも、イランからきたコミュニケーションを研究する女性の先生や韓国から来た社会学の先生、ケネディ対ニクソンの選挙戦からキャリアを築いた筋金入りの女性ジャーナリストの先生など、びっくりするような素晴らしい先生にたくさん出会い授業を受けることができました。

 授業を最前列の真ん中で聴き、授業が終わった後に先生の部屋を訪ねて質問したりすると、次々と私が読むべき本のリストや、考えるべき課題、コンタクトを取るべき人のリストをメールで送って来て下さったり、場所を変えてじっくり一対一で議論をして下さったりと、その「扉を叩けば、どんどん開かれて道が出来ていく」感覚は、知的冒険という感じで、ほんとうにワクワクドキドキするエキサイティングな経験でした。

 どの大学も、今ではインターネットの公式サイトに留学するための申し込みフォームや必要書類の説明が分かりやすく掲載されており、1ケ月ほどあれこれ手配して準備すれば、直ぐにアプリケーションをインターネット上で提出できる仕組みになっています。また、ほとんどの大学にドミトリー(寄宿舎)があり、快適で手頃な料金でステイできる大学も少なくありません。オンラインコースを設けている大学も多数あります。

 もし将来お子さまを欧米の大学へ留学させたいとお考えでしたら、いくつかの大学のサイトをチェックして、実際にその応募方法を読み込んで確認してみて下さい。質問もメールでやり取り可能になっています。自力でやろうと思えば、それほど苦労せずにできると思います。この関門を業者にお任せして何十万円も取られているケースを多々耳にしますが、この関門を自力でクリアできなければ、現地へ行っても全部通訳できる業者任せで、お金が掛かるばっかりで英語が出来るようにはなりませんから、最初の関門は、ぜひ自分達自身で!と、ご両親も一緒にチャレンジしてみて下さいね。

◆教育情報はインターネットで英語検索がおすすめ!

 子どもが小さな頃から、英語でいろいろな教育情報を検索したり読み込んだりすることを日常に取り入れておけば、案外いざという時に慌てず、いろいろな選択肢を俎上に載せて親子で話し合うことが可能です。

 日本の中の狭いシステムだけで子どもの進学を考えていくと、ものすごく暗く息苦しくなっていく場合でも、いざとなったらいろいろ選択肢はあるぞ!世界は広いぞ!という気持ちの余裕があれば、かなり現実との向き合い方も違ってきます。

 お金は掛かりますが、小さな頃からコツコツ準備して、業者を頼らずに自力で突破すれば、それほど無理な話ではないと思いますし、そういう感覚を持って子育てしていくと、現実の狭くて息苦しい課題も、深呼吸しながらニコニコ乗り越えていけると思います。

 コロナ以前に自由が丘のお祭りで実施したアンケートで、子育てするママの情報入手経路が、口コミと園や学校からのお知らせにすごく偏っていることが浮き彫りになりました。ママ友も大事、園や学校も大事。忙しい日常の中で、視野を広げていろいろな情報の入手経路を開拓していくのは、ほんとうに大変なエネルギーを要することだと思います。

 私自身の経験をお話しますが、日本語でインターネットを検索すると「これだ!」という教育情報が、なかなか見つけられない場合でも、英語で検索すると「え?!」というくらいスルスルと自分が知りたい分野のさまざまな情報が手に入ったりします。「アカデミックな情報」に関しては、この彼我の差は息をのむほどです。

 ぜひお子さまと一緒に英語にチャレンジして、パパ、ママご自身の世界も、お子さまと一緒に広げていって下さいね。一緒に手をつないで山登りしていく感覚、一緒に力を合わせて小さなヨットで大海へ漕ぎ出す感覚を得られれば、子育ては至福の楽しさで溢れます。力を合わせて冒険を共にする感覚を持つことは、家族みんなの人生を美しくドラマチックなものにしていくはずです。PonoLipo の講師やスタッフは、いつでも皆さんが一歩踏み出すチャレンジを応援しています!

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3,500冊余りの英語と日本語の図書を揃えたライブラリーサービス付きのワークショップです。曜日毎にSTEAM系、英語多読&Phonics、読書&作文の書くワークショップが、ほぼマンツーマンの指導で開講されています。対象年齢は、4〜12歳。物語絵本・児童書から図鑑、事典、科学図書、学習図書まで、幅広い分野の厳選された教育的で夢中になれる図書が揃っています。
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