たくましくなれと言われても。
娘が怪我をした。
額がパカッと割れて、私はもう、ただただ慌てた。
救急車!と思った。
きっと冷静さを保とうとすごく頑張った夫が、妙に遅く感じるトーンで子ども119番相談に電話をしている。
私は、それどころじゃない!早く救急車!と怒って娘の額にタオルを当てていた。
怖くって可哀想で怖くって。
冷静でいるということはほんとうに難しいことだ。とくに流血時は、、
あ、そうだ、レメディ!と、止血のレメディを震える手で用意する。一粒だけ出すのがいつも苦手だけど、何度やっても何粒も落ちてくる。
ああ、もう全部飲ませてしまいたい。
何回か試みて二粒出た。もういいや、えいっと娘の口に入れる。
ほんとうに、すぐ血が止まった。
それで、本人の様子を見て、救急で行ける病院は片道1時間以上かかるから、近所の外科が開くまで待った方がよいとの判断になり、朝一で近所の外科に行った。
そのころには娘も、ガーゼに血はにじむものの、目を離したら小走りしてしまうくらい。朝ご飯もよく食べた。わたしだけ、ずっと頭がぎゅーっと締まっていて顔面蒼白まぢか。泣いて嫌がりしがみつく彼女の処置中に、スミマセン、ちょっと、と下にかがんでしまった。見るのも、聞くのも、感じるのも、限界で。
怪我したときのフラッシュバックと、これから先もいつ誰が怪我するかもしれないという不安と、もうごちゃごちゃで苦しかった夜が明けて。
今朝、もう一度診せに行った際にお医者さんに言われた。
「お母さんが弱すぎる。男の子なんかこれからこんなもんではすまないぞ、たくましくなれ。」と。
励ましてくれたのだとは思う。子育て頑張れという気持ちもこめられているのだとは思う。けど、2回しか会ったことのない人に、そう言われて、「そうですよね。。」と答えて。
残ったもやもや。昨日たくさん流した涙を思い出す。
母親として、もっともっと成長しなきゃならないし、何があっても大丈夫という心構えが必要なんだ、とか、私がきもちを強く持って、子どもを安心させてあげなくちゃいけないのに、私が弱気になってどうする、とか。
自分を責める声。
今は反省したり頑張る!と思えるメンタルじゃなくて、怖かった気持ちをただ認めてもらいたかった、自分を慰めたかったのかな。
体育会系とは程遠い私は、気持ちの整理に時間もかかるし、よっしゃ!という気合いもなかなか入らないから、未消化のまま車を運転した。
運転しながら、このできごとから学び取れることを考えたり、自分にとって良い方向に変えていく捉え方をしないとな、と思った。
関わる人の数はすごく少ないし、頼られることだって外科の先生とは雲泥の差だけれど、私も、ちっぽけな医療従事者として、伝えることば、与えるインパクト、の大事さを改めて意識するできごと。