【エッセイ】⑥100日後に福祉でITやる犬
⑥我、「ふあんくらぶ」発動
我々の仲間の数人から、部署異動の希望者が出るようになった。
おじいわん支援員は、それでも突き抜けるように淡々としていた。
我は、周りの顔色を伺うことしかできなかった。
それなのに我は、すぐ近くの仲間の顔色さえも、「分かっていなかった」のだ。
その事実に気づいてしまった時、我の「ふあんくらぶ」が発動し、自分の中の地雷を踏み散らかしてしまった。
「・・・・・・・・・」
ーガチャ。バタン
我は、言葉もなく失踪するようになった。
ーーーーーー
我の行き先は、その日により色々だった。
デジタル犬小屋の目の前にある本社の、トイレ内。
立て篭もるように逃げ込んだ。
またある時は、本社内の給湯室。
中で大泣きしていることもあった。
そういった場所で、一旦立て篭もることで、なんとかメンタルを繋ぎとめ、ひとまず落ち着いたら本社の所長室で面談を受けさせてもらっていた。
「一体どうしたんですか・・・連絡もなしに部屋を出られると、おじいわん支援員もとても心配していますよ」
本社の面談担当のわんこ支援員も、心配そうに声をかけた。
「我の感覚ですと、持病が再発しているように、思います・・・」
我はポロポロと言葉をこぼした。
「職場のせいというよりかは、きっと我の中にあった、「生まれた時からの地雷」の部分です・・・自分の問題なんです」
きっと、ここまでの問題は、本社の面談担当のわんこ支援員ですら本来は対処できるものではなかったように思う。
それでも、本社のわんこ支援員は支えてくれた。
心から寄り添ってくれて、心配をしてくれて、話を聞いてくれたのだ。
我は、感謝と自責の念と申し訳なさから、涙が止まらなかった。
2024.12.29(日)
ponogarden