【エッセイ】③100日後に福祉でITやる犬
我々の部屋は、混乱と沈黙に包まれたまま、それぞれが頭の中で考えを張り巡らせていた。
そもそも一体、この「おじいわん支援員」は何者なのか?
どこから来たのか?
信用に値する犬なのだろうか...?
我は、静かに質問してみた。
「何が、目的なんスか」
おじいわん支援員は、ニヤリとしながら答えた。
「まぁ、暇つぶしだよ。余生を楽しく過ごしたくてな。
そしてこの事業が成功すれば、ワシは全国を飛び回り、講演会で引っ張りだこになるやろうな...バフッ!!バフン・・・・・・!」
ーーー我々は、このおじいわん支援員を、満場一致で「黒」だと認定したーーー
我々の職場は、しばらく「おじいわん支援員」の話題でもちきりだった。
「あのおじいわん、何者なん?」
「時代にそぐわへんよなぁ・・・・」
「ちょいパワハラちゃうん?」
「チャウチャウちゃうん?ちゃうんちゃうん・・・・?」
ーーーバタン!!
「オイお前らァ!!!!おはよう。
これからお前らの部署の名前が決まったわァ!!」
「え?」
「このデジタル特化型部署の名前やんかァ!!
カッコ良い名前が良いやろォ?」
我々は、心が通い合ったように嫌な予感がした。
「「デジタル犬小屋」やァ!!
お前らこんな町家(小屋)みたいな所で働いててぴったりやろォ?
この名前でIT業界を無双するんやァ!!」
ーーー我々の予感はやはり的中していた。ーーー
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2024.12.25(水)
ponogarden