【エッセイ】⑤100日後に福祉でITやる犬
⑤ふあんクラブの我々
我々は、前向きさが取り柄だ。
おじいわん支援員に、「現実」を突きつけられ、「道」を示され、それでも喰らいつくのが我々だ。
そして我々は、大切な仲間の顔色を見る事を、時々忘れる。
「前」を見ているからこそ、「横」を見ることを忘れていたのだ。
ただ、がむしゃらに進むしかなかった。
ーガチャ。
本社の支援員わんこが入ってきた。
「デジタル犬小屋の皆さん、大事な連絡があります。
この部屋のメンバーからの、「異動希望」がありました。
我々本社は、この意見を受け止め、このメンバーには別の仕事をしてもらうことにしました。
きちんと話し合った結果です。
誰が悪いとかっていう話ではないんです。」
「・・・・・・」
我々は、いつもがむしゃらなのに、こういった事態を「感覚」で誰よりも深く深く、理解をしてしまう。
それは、我々が「精神障害者」として生きてきた「苦悩」が、やはりこういった事態に、「寄り添う」という形に変わるのだ。
きっと、こういう時に一番自分を責めたり悩んだりするのは我々かもしれない。我々が人生で抱えてきた「不安」が、この部屋で「ふあんクラブ」という形で成り立っているからだ。
ただ、我が思うにおじいわん支援員は、「不安」があるのかないのか分からないくらい、「不安」は出さないのだ。
本当に、一切出さないのだ。
それは、我々には到底真似できることではないのだ。
「そうですか」
おじいわん支援員は、淡々と答えていた。
きっと我々は、混乱の中でそれぞれに色んな気持ちになったことだろう。
ただ、我々はこの「答え」だけがある道を、
行動で「本物」にすることしか道はなかった。
2024.12.27(金)
ponogarden