セブ島 語学留学 Day35(モアルボアル#4)
キャプテン『着いたぞぉー!ここだぁ!』
ボートは少し沖で停まった。沖から岸側のパラグサマビーチを一望する。ビーチという名前がついてはいるが、ボトム(海底)は岩盤だろう!と推測できた。 岩盤の上に大量のホワイトサンドが乗っかった状態でビーチを形成しているような海岸だったからだ。ここパナグサマビーチから陸伝いに北上して行くと、今日の最後にサンセットを見に行く予定のホワイトサンドビーチはある。様々な店が軒(のき)を連(つら)ねていた。南国らしくどの店もとってもカラフル。一見するとどこにでもあるビーチリゾートなのだが・・・
キャプテン『この下にイワシの大群がいるぞ!ボートはココに停泊しているから、見てきていいぞ!』
オレたち『えっ!? この下に・・』
てっきりイワシのいるポイントまで泳いで行くとばかり思っていたオレたち4人はお互い顔を見合わせてしまった。
『エェーイ!』『とぉー!』『きゃー!冷たいー』『キャー!』
ドォッボーン!・・・ダバァーン!・・・チャポン!・・チャプン!・・
思ってたよりも海水が冷たいことに驚いたけど、それよりも、もっと驚いたのが・・目の前で銀色のキラキラした巨大な壁がオレを真ん中にして洗濯槽の水のようにグワーン! グワーン! と物凄いスピードで回転していたからだった。
オレ『えぇー!なんだこれー!これがイワシの大群!いや、イワシトルネードかぁ!』
しばらくの間、魅了(みりょう)されてしまった。キラキラしてなんてキレイなんだろう〜! どうしてもこのトルネードを真下から見上げてみたくなって、耳抜きをしながら潜れるとこまで潜ってみた。そして、見上げた視線の先には・・
エメラルドグリーンの海水にキラキラと眩(まばゆ)いばかりの光を放ちながら猛烈なスピードで大回転を続けるイワシの大群の姿があった。その数、数百!?いや千!?
真下から見上げたその大群の形は紛(まぎ)れもなく竜巻(たつまき)だった。
スゲェー!感嘆(かんたん)の声しか出てこなかった。視線の先を自分のいる位置から斜め下へ移すとダイバーが吐き出した空気の泡が、あちこちでプクプクと上がっていた。
息も苦しくなってきたので、一度、海面まで浮上した。見るとキャプテンのいるボートの位置からはだいぶ流されてしまったようだった。潮の流れ(カレント)もかなり強いようだ。ここのポイントは、サンゴ礁が断崖絶壁のようにストーンと落ちたようになっているドロップオフという地形なのだ。ビーチに立っているだけでは分からないこの地形も、ダイバーにとっては格好のダイビングポイントという訳だ。ドロップオフという地形は、潮の流れが強いことから回遊魚などとの遭遇率も高いと以前聞いたことを思い出していた。切り立ったこのドロップオフには無数の生き物たちが日々の暮らしを営(いとな)んでいることなのだろう。このポイントにイワシの大群が集まってくるのも納得がいく環境だった。キャプテンやみんなが心配しているといけないので海面を潮の流れに逆らいながら泳いで戻る。おまけに海水温が低いので体力も少しづつ奪われているようだった。
ボートに戻ると3人は既(すで)に戻っていた。
オレ『トルネード!見た?』
3人『水が冷たかったから、海面から覗(のぞ)き込んですぐにボートに上がったよ!でも、キラキラした渦巻(うずま)きは見れたよー!』
オレ『キレイだったよねー!』『キャプテン!まだ時間は大丈夫?』
キャプテン『まだ、見てて大丈夫だぞ!』
3人はボートに残るってことだったので、オレだけもう一度トルネードを見に海に飛び込んだ。
スゥ〜っとイワシの群れの中に手を差し出してみる。隊列はほとんど崩(くず)れることなく、手だけを見事に避(よ)けながら回転を続けているイワシたち。オレは、ただただ、自然が作り出す芸術のど真ん中で感激に浸(ひた)るだけだった。
流石(さすが)に体の芯まで冷え切ってきたようなので浮上(ふじょう)してボートに戻った。みんなが揃(そろ)ったところでキャプテンはボートをスタートさせた。
程(ほど)なくして海岸に到着した。お世話になったキャプテンとも、ここでお別れだ。一人いくらだったか!? キャプテンに言われた金額を支払った。あれだけ色々と見せてもらったのにこんなもんでいいの!? ってぐらい安く感じた金額だった。
4人でキャプテンにチップを渡しながら・・・
オレたち『ありがとうございました。最高の体験ができました。』
キャプテン『今度は3月〜5月においで。もっと色々な魚たちが見れるから!』
キャプテンとのお別れも名残惜しかったけど、海岸には既(すで)に二人のバイクタクシーライダーのアーノルドとロッキーが待ってくれていた。
次に向かうポイントは”Kawasan Falls (カワサン・フォールズ)” だー!
To be continued(つづく)・・・