教師という不人気の職業。
昨今、教員のなり手不足がニュースで飛び交う時代に私は教師という職業についています。
私が採用試験を受けていた頃は倍率20倍が平均でした。
それが今や2倍を切っています。
どうしてこうなったんでしょう。
と、偉そうにいう私は「絶対教師にだけはなりたくない」と学生時代思っていました。
学校が嫌いだったし、教師も嫌い。
早く卒業して学校とおさらばしたいと思っていました。
そんな私ですから、当然教師にも嫌われていました。
ドラマでしか聞くことのできない「腐ったみかん」「社会のゴミ」という言葉を教師から頂戴したことがあります。
別に恨んでませんし、自覚もありました。
見下していた教師を見下していましたから。残念ながらその先生の名前は一ミリも覚えていません。申し訳ない。
十数年教壇に立ってきて、教え子に教師にはならない方が良いと言います。それでも数名この道に進んだ子はいますが。
でも、私はこの仕事に誇りを持っています。
子ども達はめちゃくちゃ可愛いです。
私はありがたいことに卒業しても教え子たちと繋がりがあり、毎年何十人とご飯に誘ってもらえます。
日本一卒業生と繋がりのある教師を目指しています。
こんなポンコツな私をみんな教師らしくないと評価してくれています。
でも、みんな先生といえば私と言います。
この矛盾がとてつもなく心地良いです。
SNSが広まり、教師という仕事のブラックさが露呈してしまいました。
残業代はつかないのに(一応みなしは付きますが)過労死ラインの残業は日常的。
授業をするということだけではなく、進路実現は当然のこと、部活指導、人命救助や生活指導、保護者との関わり、地域との関わり、毎月何度も行われる研修…
とまあ、こんな感じで書いていくとそりゃハードルが上がるわけですね。
私もこの春までうつ病になり、休職をしてしまいました。
原因は教師や管理職の対応でした。
それでも私はもう一度現場に戻るという選択をしました。
その理由はただ一つ。
子ども達の存在です。
確かに彼ら彼女らは未熟です。
感情表現は上手くないし、露骨に感情をぶつけてくることもあります。
髪を切ればダサいと言うし、服一つとっても変だとかなんでも悪口をぶつけてくることもあります。
でも、やっぱり可愛いんです。
その子達が日々の関わりの中でどんどん成長していきます。そして卒業してから「先生!私この前会社で表彰されました!」とか「雑誌に会社代表で取り上げてもらったんです!」とか、いろんな報告をしてくれます。
そしてみんな口を揃えて、私の教え子であることを誇りに思ってくれてます。
感謝以外の何者でもないですね。
私は教師だからこうあるべきというマストな考えが嫌いです。
生徒に挨拶する時も、大概『こんちくはー』って言います。
でも、みんな挨拶してくれます。
嫌いな教師に私はなりたくないし、教師が嫌いだった、学校が嫌いだったからこそその気持ちがわかると思っています。
一つ参考になればという話をさせてもらいます。
保護者からのクレーム対応、これがハードルを上げる一つのラインだと思いますが、私は今まで一度もクレームを受けたことがありません。こんなに適当なのにです。
理由は本当のところは分かりませんが、自己分析では一つだけ。
生徒と良い関係を築いているに限ると思います。
好かれていれば生徒は親に文句を言いません。
そうなると親は教師に文句は言いません。
モンスターペアレンツと言われる人の子どもを担任していたこともありますが、感謝されることはあっても一度も文句を言われたことはありません。
簡単です。
その子と仲良しだったからです。
今の学校に来て、三日目で子どもが学校に行きたくないと言っていると保護者から電話がありました。
なんとかしますとその日にやることをめちゃくちゃ高速で終わらせて、生徒たちみんなとコミュニケーションを取りました。
生徒が帰ってから保護者に電話をしました。
友達ができた!とすごくいい表情で帰ってきたと教えてもらいました。その子はその日から休んでいません。
PTAの役員に当たっていたので学校でお話しする機会も多くあり、学校に来るたびに私の元に来てくれて、「先生が担任で本当によかったです」と言ってくれました。
「いやいや、お父さん、卒業式の時にその言葉をください、まだ早すぎますよ。笑」
不登校だった娘が毎日楽しそうに学校に行くなんて夢にも思いませんでした。とありがたい言葉をもらえます。
給料に似合った仕事なのかは分かりません。
最初の頃は毎日日付が変わるまで仕事をしていて、時給換算したら600円を切っていました。
でも、今は給料がどうとかより、子ども達と関係を築けることの付加価値の方が高いと思っています。
自分なんかに教師は務まらない。
教育実習に行った時、己の未熟さを痛感しました。
でも縁があって、この仕事に就き、採用試験にも合格し、教師を続けています。
できて当たり前、どうすればいいか自分で決断をしないといけないことも多々あります。
でも、子どもたちにとってどうすればいいかという軸で考えて行動していればちゃんと子ども達には伝わります。
時に失敗もします。その時は全力で謝ります。意外とこれができない教師が多い。舐められたくないという感情が強いのでしょう。
舐められたっていいじゃないですか。
子供達を思い、芯のある教育をしていれば180度見方が変わることがあります。
今、教師を目指されている方、なってみたら本当に大変だと思います。
でも、誇り高い仕事には間違いはありません。
生徒たちの究極のありがとうを受けたらもうたまりません。
マイナスを打ち消す素晴らしい経験が待っています。
上手くいかないこともあるでしょう。
でも、それをカバーしてくれる人はあなたが頑張っていたら絶対います。
私も何度か学校の理不尽に耐えれず辞めたる!とキレたことがあります。生徒たちは焦って署名運動をしようとしてたらしいです。
頑張った分だけ、生徒を愛した分だけちゃんと見返りがあります。
もちろんハードです。
責任もあります。
でも、私は生徒が道を逸れたならぶん殴って退職してでも止めてやると思っています。
それだけ教師という仕事に、いや、自分の言動に誇りを持っています。
教師になったらいいとは言えません。
でも、教師でしか味わえない体験は必ずあります。
詳しく話がしたいという方、ぜひご連絡をください。
過去にも教師になろうか迷っているという方とお話をしたこともあります。
私は年齢的には中堅です。
教師のための教師にもなっていかないといけないなと思い始めています。
先陣切るのはやっぱり思いを持った人が立つべきだと私は思います。
何か教師という仕事に迷いや不安がある方の参考になればと書いてみました。
長々と失礼しました。
教師を勧めはしません。でも教師は魅力ある仕事ですよ。