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ベトナム語がムズすぎるので愚痴らせてください

最近、読んだ本にこんな一節があった。

「昔は勉強したいなんてちっとも思わなかったけれど、今は学び直したいなぁ」と思っているならば、それは、あなたの脳がしっかりと成熟している証しです。

『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(加藤俊徳 著)

学生の頃と比べ、脳が衰えたように感じる人は多いだろう。例に漏れずわたしもそうだ。アラサーに突入した頃から、物忘れや言い間違いがものすごく増えた。

最近では「ビビンバ」と言うつもりが「冷蔵庫にドドンパあるよ」と知らせて夫を戦慄させ、海を見ながら「ペリー来航」と言うつもりが「フェリー来航だね」と言って自分でもその発想に驚いた。

しかしこの本によると、実は中年の脳こそポテンシャルが高いらしい。わたしも(信じ難いが)「脳が成熟」してきたようで、勉強欲が出てきた。

そこで、ベトナム語を学習し始めた。

なぜベトナム語か。夫がベトナム系日本人だからだ。夫は日本育ちで帰化して日本国籍を取得しているが、向こうの親はベトナムの方なので、結婚して一気にベトナム人の親戚が増えた。

それで何かとベトナムに行く機会が多い。新たなファミリーの方々ともっとコミュニケーションを取りたいので、ベトナム語を学ぼうと思ったのだ。

しかしこれがもう、びっくりするくらい難しい。

(今から書くことは、ベトナム学習者超初級のわたしが言うことなので間違いもあるかもしれない。あしからず)

まず母音。日本語は「あ」「い」「う」「え」「お」の5種類だが、ベトナム語は何とそれが12種類ある。じゅ、12種類である。日本語の2.4倍である。「白って200色あんねん」くらいの衝撃である。

ようは同じ「a」でも、口の開き方によって違う「a」になるのだ。いっこく堂が聞いたら頭を抱えるだろう。口を大きく開いた「あ」と、口を「う」の形にして言う「あ」とでは、確かに音が変わる。しかし音だけを聞いて、母音の違いを判断できる自信は今のところない。

また、12種類の母音に加え、「声調」というものが6種類ある。音程みたいなもので、「マ〜→→」「マ〜↑↑」「マ〜↓↓」「マッア↓↑」のような感じで激しくアップダウンするのだ。「ma」の声調が変わるだけで「化け物」「しかし」「お母さん」「お墓」「紙細工」「メッキ」と意味がガラリと変わるらしい。気が狂い゛ぞ…ゴホン、マ〜マ〜マ〜♪…と、思わず脳内にイガラムが生まれる。

問題は母音だけではない。子音についても「語頭子音」が22種類あり、「語末子音」も何だかいろいろな組み合わせがある。例えば日本語の「ん」も、ベトナム語には4種類あり、私の買った参考書(『ゼロからスタート ベトナム語 文法編』)の中では、

m→「あんまん」の「ん」
n→「案内」の「ん」
ng→「案外」の「ん」
nh→「雰囲気」の「ん」

と紹介されていた。「ん」の違いなんて考えたことがなかった。「黒は300種類ある」くらいの衝撃である。

こうしていろいろ学ぶと、ベトナム語が発音、音程をめちゃくちゃ大事にする言語なのだと分かってくる。この前、ベトナム人たちとカラオケしたことを日記に書いたが、全員もれなく歌がうまかったのはこういうことか。

ちなみに、ベトナム語には「f」「j」「w」「z」が存在しないらしい。なぜだ。ほかのアルファベットは使っているのに。何かが気に食わなかったのか。にわかには信じ難いので、いつかどこかでチラッと出てくるのではないかと探している。

なお、こうしていろいろ勉強しつつも、この間、ベトナムに行って夫のおばあさんに挨拶したら、使えたのは「シンチャオ(こんにちは)」「トイラーマイコ(私はまいこです)」「カムーン(ありがとう)」のたった3語であった。ベトナム語マスターへの道のりは遠い。

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