【ショートショート】とおして見てる【メガネ初恋】
とおして見てる
とあるメガネの持ち主はモテない。本当に浮いた話がない。しかし、ついにマトモな男を射止めることができたようだ。初恋成就。幸先は上々といったところか。
「いやー、よかったよかった」
そんなある日、メガネは男の家に居た。持ち主が持って帰るのを忘れてしまったようだ。男はわざわざメガネを持ち主に届けに出てくれた。その途中、男はふざけてメガネをかけた。少し顔のサイズが大きかったので、メガネはちょっと呻いた。その時だった。
「あの……すみません。今、お時間ありますか?」
結局、持ち主は破局した。メガネはいたたまれなくなった。彼氏は逆ナンしてきた尻軽そうな女に惚れて、事実上メガネの持ち主を捨てたことになる。
「なんて酷い。どうしてこんなことに」
怒るメガネにスマホが言った。
「言いにくいんだが、原因はお前じゃないか?」
「はぁ!? 何でだよ」
「そういうコトワザあるだろ」
視線を逸らしたスマホの真意を、メガネ――否、サングラスは理解していない。
毎週ショートショートnote
お題「メガネ初恋」
文字数409字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)