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【ショートショート】精霊、そっぽを向く【運試し擬人化】

   精霊、そっぽを向く

 男は機嫌がよかった。馬券は大当たり。美術館では丁度一万人目のお客様。そんな調子であるから、男は普段なら素通りするであろう占い屋の前で足を止めた。
「俺の運を占ってくれるかい?」
「おまかせください」
 占い師は水晶を取り出し、男へ椅子に座るよう促した。
「これから、幸運の精霊を呼び出します」
 占い師は大袈裟に手を動かし、精霊を呼び出す。しかし、男の目の前にそれらしきものは現れなかった。
「失敗ですか?」男は恐る恐る尋ねた。
「違う!」 
 占い師の鋭い声に、男の身体はビクリと跳ね上がった。
「精霊の髪の毛一本召喚できなかった。つまりあなたの運はドン底にある」
「え? でも、俺はすごく運がいいんですよ」
 占い師は男の目を見つめながら告げた。
「あんまり脅しみたいなことは言いたくないが、その揺り戻しが来るんだろうね」

 後日、男は本当に不運になった。出かけて少しすれば雨が降り、交差点で信号を待っているとスリップしたトラックがこちら目がけて……。


 毎週ショートショートnote
 お題「運試し擬人化」
 文字数408字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)