【ショートショート】この後昼まで飲んだ【メガネ朝帰り】
この後昼まで飲んだ
夜の繁華街にて、メガネは酒をすすっていた。
「何してんすか」
そこに声をかけてきたのはポイ捨てされた空き缶。彼の頭からこぼれているのは飲み残しの酒。メガネはこれを飲んでいたのだ。
「持ち主が、彼氏にフラれたの。引き留めようとした持ち主の腕を彼氏が払ったときに、俺が引っかかって……」
「そのままにされたと」
メガネは鼻当てをくにくにさせながらふて腐れた。
「今頃持ち主さん困ってんじゃないすか」
「うん……」
「家、どっちか分かるっすか?」
メガネは沈黙の後、フレームを器用に動かして歩き始めた。
空が白む。夜明けが来た。朝日の方へ歩いていくメガネはその動きを止める。前方から歩いてきたのは見覚えのある男女!
「ごしゅじ――!」
メガネの呼びかけむなしく、男がメガネを踏みつける。
「さっきはゴメン」
「いいのよ」
女はうっとりとした顔で、男の腕にしがみついている。
「やっぱり、時代はコンタクトよね」
空き缶は、いたたまれなくなった。
毎週ショートショートnote
お題「メガネ朝帰り」
文字数409字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)