【ショートショート】放送事故【半タライのウッキーゲーム】
放送事故
倉庫にはたくさんの半タライがいた。半タライとは半人前のタライである。彼らはお笑い芸人の頭に堕ちるのが仕事であり、いかに彼らのリアクションを引き出せるかに人生ならぬタライ生をかけていた。
彼らが一人前になるために必要な洗礼が「ウッキーゲーム」である。
「先輩、これって」
「ああ、お前は初めてか」
先輩の半タライは胸を張って、落下の準備を始めた。
「あの芸人はほどほどに痛いと猿みたいな痛がり方をして面白いんだ。つまりあの芸人に『うっきー』って言わせればいいのさ」
「なるほど」
先輩はそう言って落ちていった。「いてー」という声が聞こえた。
たいていのタライは臆病だという。勢いよくぶつかれば彼の「うっきー」を引き出せるだろう。後輩タライは初陣を勢いよく落ちていく。
ごいーんという音はしたが、芸人の声はしない。
「あれ?」
後輩タライが疑問を感じたとき、先輩タライの怒声が響いた。
「気絶させるほど勢いよく落ちるヤツがあるか!」
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お題「半タライのウッキーゲーム」
文字数409字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)