【ショートショート】そこをなんとか【洞窟の奥はお子様ランチ】
そこをなんとか
洞窟の奥のお子様ランチについて父からよく聞かされていた。
冒険者として各地を飛び回っていた父が、最期まで行きたがっていたのが洞窟の奥にあるというお子様ランチだ。
父の話が僕の知的好奇心をくすぐったのは言うまでもない。父の残した宝の地図を持って、海を渡り、山を越え、草原を歩いた。その先に洞窟があった。僕はぴんときて、すぐに洞窟を下りて行った。随分と急な坂だ。僕はロープを使って慎重に下へと降りて行った。
仄かな明かりに目を細めると、文字が光っている。
「お子様ランチ」
僕が顔を上げると、そこには巨大なお子様ランチがあった。かわいらしいタコさんウインナー。存在感のあるハンバーグとエビフライ。つやつやのナポリタン。ふわふわのオムレツに、おいしそうなケチャップライス。遠くにプリンの姿も見える。僕が喉をごくりと鳴らすと、ここに住んでいるらしい少女がこちらにやってきて、こう言った。
「ここは小学生以下の子供しか入れません」
毎週ショートショートnote
お題:「洞窟の奥はお子様ランチ」で「冒険小説風」なショートショート
文字数:409字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)