【ショートショート】次は君の番【噛ませ犬ごはん】
次は君の番
僕はエビフライ定食。千五百円。サクサクの衣に包まれたプリプリのエビがおいしい一品なのだけど、いつもお客に選ばれるのは千円のハンバーグ定食。どうやら僕はハンバーグ定食の引き立て役のようだった。
「エビフライさんは子供に人気ですね!」
とハンバーグは言うけれど、彼も子供に人気だ。僕は人々にハンバーグを選んでもらうために置かれた噛ませ犬ごはんなのだ。いつか僕もチヤホヤされたい。そんな風に思っていた。
ある日、ハンバーグ定食の姿が消えていた。この定食屋で使っている牛肉の加工をしている会社で不正があったらしい。僕は三本のエビフライを一本減らした「エビフライ定食」になって、隣には千二百円のカレーがやってきた。
僕は気づいてしまった。カレーから時折嫉妬の念が立ち上るのを。恨めしそうにこちらの様子を窺うものだから、僕は思わず口を開いた。
「カレーくんは子供に人気ですね!」
テレビからは、海産物の値上げを報じるニュースが流れている……。
毎週ショートショートnote
お題「噛ませ犬ごはん」
文字数409字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)