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【ショートショート】背にかえられない【ごはん杖】

   背にかえられない

 ごはん杖を手に入れたおじいさんは歩くのが楽しくて、ついつい山奥に来てしまった。急いで帰らなければと思い立った時、おじいさんは足を踏み外し、谷底へ真っ逆さま。
「なんの!」
 すかさずおじいさんはごはん杖を崖に突き刺し、勢いを殺す。ごはんのように粘り強く、諦めない心が生存への道を開いた。おじいさんは谷底をずんずん歩き出す。休憩も挟みつつ歩いていくと、眩しい光が目に刺さった。
「山田タカオさんですね?」
 パトカーの光だ。どうやらおじいさんが帰らないのを心配した誰かが警察に通報したらしい。おじいさんは散歩の途中で道に迷ったことを説明し、崖から落ちたことも話した。
「ごはん杖のおかげで助かりました。あれは命の恩人です」
「そうでしたか」
 警察は手元の紙に何かをメモしながら、続けておじいさんに質問を投げた。
「ところで、そのごはん杖はどちらに?」
 おじいさんは笑った。
「美味しかったですよ。強いて言うなら、塩がほしかった」


 毎週ショートショートnote
 お題「ごはん杖」
 文字数406字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)