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【ショートショート】気合いを入れるところ【クリスマスカラス】

   気合いを入れるところ

 電線の上で二羽のカラスがお喋りをしていた。
 一羽はベテラン、もう一羽は新入り。ベテランカラスが「もう少しでクリスマスだな」と話題を切り出すと、新入りカラスは「クリスマス?」と首をかしげた。
「クリスマスを知らないのか! この時期、我々は気合いを入れるんだよ」
 なるほど。キレイに飾られた街は赤白緑の色が目立つ。確かにゴミをあさるとそういった色の布や紙や紐がでてくる率が高い。
 新入りカラスは気合いを入れてゴミを漁り、鮮やかな衣装を作った。自信満々に街に繰り出せば、人々は皆喜んで写真を撮った。

 楽しいクリスマスが終わり、ベテランカラスがやって来た。ベテランカラスは新入りカラスの衣装を見て驚いたようだったが、あえてそこには触れなかった。
「さあ、気合いを入れてゴミをあさるぞ」
「え? でもクリスマスは……」
「終わったからだよ」ベテランカラスがゴミ袋をつついた。

 飛び出てきたご馳走の食べ残しを、ベテランカラスは美味しそうにつつき始めた。


 毎週ショートショートnote
 お題「クリスマスカラス」
 文字数409字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)