【ショートショート】不釣り合い【訓告したいの四六時中】
不釣り合い
「ああ、訓告したい……」
ベッドに拘束された社長。これが社長室での日常風景だ。社長のつぶやきを聞いた秘書がボタンを押した。これで常駐している産業医が飛んでくる。
「訓告したい、じゃないんですよ」
秘書はそう言って、拘束ベルトの締め付けを強めた。精神安定剤が必要になるかもしれない。
「どうしてしょっちゅう訓告ばかりしてるんですか。おかげで社員の士気はがた落ちですよ」
「訓告したいの四六時中!」
社長はベッドの上で思いっきり跳ね上がろうとしたが、拘束ベルトがそれを阻止する。
「どうされましたか」
産業医がのんびりやってきた。秘書は「発作です」と答えた。
産業医は何かをかみしめるように頷き、秘書はため息をついた。
「それもそうなんですけどね。社長の訓告癖にも困ったものです」
社長の目が光る。
「訓告したいの四六時中!」
すかさず、秘書が怒鳴る。
「一千万円横領した社員が訓告で済むわけないでしょうが!」
毎週ショートショートnote
お題「訓告したいの四六時中」
文字数410字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)