【ショートショート】げんじつとーひ!【助手席の異世界転生】
げんじつとーひ!
塾帰り、母さんの車の助手席に座って寝たふりをするのが一番の安らぎだった。僕は目を閉じて想像する。ドラゴン退治。炎を吐き出す相手に僕はえいやと魔法を放つ。ドラゴンが怯んだ隙に伝説の剣でとどめを刺す。現実の僕はダメダメな奴だけど、助手席の異世界転生なら完璧な僕になれる。
ああ、こっちが現実だったらいいのに。そんな風に思ってしまう。模試の成績が悪くて母さんに怒られることも、クラスメイトに馬鹿にされることもないのに。
神様が言うんだ。
「不手際で君を死なせてしまった。お詫びにチートスキルを与えよう。転生先で自由に暮らせばいい」
って……?
やたら明瞭な声。僕は目を開けた。目の前には神様らしい老人がいる。
「すみません、これって現実ですか?」
「現実じゃよ」
テレビの声が聞こえる。今日夜九時頃、××市の交差点で交通事故が発生。青信号で直進しようとした軽自動車に乗用車が突っ込みました。この事故で助手席の中学生が死亡……。
毎週ショートショートnote
お題「助手席の異世界転生」
文字数408字
オマケ
冒頭の「【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!12/2」の記事にて、毎週ショートショートnote企画運営者のたらはさんが「この冬読んでほしい本」の募集をゆるっとされておりましたので、こそっと応えてみました。
日記を書きたくなります。
現に、私は書き始めました。表紙に惹かれての購入でしたが大変によい一冊でした。
あと、こちらは特に紹介していないのですがせっかくですのでついでに。自分はストーリーの展開が非常に苦手なので、こちらも購入しました。
とはいえ三題噺、結構腰を据えて書かないとならないのでまーったくできてないのですが……。
これは余談かつ持論なのですが、世の中には大量の小説ハウツー本が並んでいて「どれを買えばいいのか分かんないよ~」ってなってしまうことがあると思います。
そんなときは「創作において自分が信頼できると思う人がオススメしている本」を参考にするのがかなりオススメです。波長がわりと合うので。