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【ショートショート】トンチンカン、トンチンカン【建設の頓珍漢】
トンチンカン、トンチンカン
ある王国の大臣が、大工に注文をつけた。
「王様の素晴らしさを広めるために、高い塔を作ってほしい」
大工は言った。
「そんなに高い塔を作ってどうするんだ。上り下りが大変だろう」
「いいから作れ!」
大臣が怒鳴ると、大工は渋々設計図を作った。
「なんだこの地味なデザインは」
大臣が怒鳴ると、大工は渋々設計図を直した。
そんなやりとりが何度か繰りかえされた後、大工はいよいよ塔を作り始めた。が、次から次へと仕様変更の指示が来る。
「くそっ、あのバカ大臣め。次から次へと頓珍漢な指示ばかりしやがる」
そんな愚痴を聞いていた工具たち。「頓珍漢」という言葉を気に入ってしまう。特に金槌の思い入れは異常であった。釘を打つ度「トンチンカン、トンチンカン」。あちらこちらで「トンチンカン、トンチンカン」それがモロに人の言葉のようだったから、国民は大ウケ。完成した塔は「トンチンカン」と名付けられ、そこに王の威厳とやらは存在しなかったようだ。
毎週ショートショートnote
お題「建設の頓珍漢」
文字数402字
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