【ショートショート】まぶしっ!【夜光おみくじ】
まぶしっ!
夜光おみくじ目当ての人々が神社に集まる。その名の通り夜にならないと読めないおみくじだ。僕もそれを持って神社に居座った。こうして一日神社にいることで、神様への信仰心が証明されて、おみくじをありがたく読むことができるとか……。
僕は思いきって全ての運勢を事細かく見てもらうことにした。そうしたら僕のおみくじだけは少し大きかった。これに細かく僕の運勢が書かれているのだ。楽しみだ。
いよいよ薄暗くなってきた。僕は夜光おみくじを見た。真っ白な小さな紙がぼーっと光り出す。
「やったあ、大吉だ」
「あーあ、凶だって」
みんなが声を上げたその時、僕はそれどころではなかった。
やたら細やかで大量の文字で書かれた僕の夜光おみくじは、他の人たちのものよりもずっと強い光を放ってしまっていた。
「どうだった?」
大吉を引いたらしい姉の声が隣から飛ぶ。僕は目をこらして、中身を読もうとしたけれど、
「まぶしっ!」
……徒労に終わった。
毎週ショートショートnote
お題「夜光おみくじ」
文字数404字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)