【MUSIC】ORIGINAL LOVEを勝手にレビューする vol.1 / エレクトリックセクシー
オリジナル・ラブの勝手にレビューの記念すべきだ一回目は「エレクトリックセクシー(2013年)」にしました。
アルバムダイジェストはこちら
エレクトリック・セクシーのジャケ
エレポップ感、シンセサイザー感あっていいっすね。
え、理由は?と聞かれると、、、、
好きだからです!!大好きなんです、このアルバム。(もっと評価されてもいいよ!!という心の声)。そして今の気分だったからです。
オリジナル・ラブは、その音楽性の変化から、アルバムごとにかなり趣向が変わり、また評価や好みも変わります。その中でも、一般的な(?)評価が高いものがいくつかあります。その反対のものもあります。(作品が悪いということではなく、一般的には良さがわかりにくい、と言う類のやつ)。
わかりやすい代表作といえば、例えば、「風の歌を聴け(1994年)」はJ POP史上に輝く名盤として誉れ高き一枚。私もこの一枚で随分私の中の音楽の趣味や狡猾の幅をストレッチしてもらったものです。私も大好き。
JPOPの金字塔的な名盤
(これAmazon Primeでも聴けるんですよ。いい時代になったもんだ)
例えば最新作で名盤の評判も高い「bless You!(2019年)」。時代に合わせたアップデートと、円熟味を増した楽曲に、若いアーティストとのコラボなどでフレッシュなエロさも加わって多面的なアルバムに仕上がっておりお薦めです。
最近作で会心作「bless You!」
(なんでblessの'b'は大文字で、Youの'Y'は大文字やねん、って田島さんに問いたいです)
とか、まあ色々とありますが、私は今これです。「エレクトリック・セクシー」
こちら、2013年の作品で、オリジナル・ラブがメジャーレーベル(今となってはレコード会社も資本力ないからメジャーとインディーも大した差はないかもですが、、、)から外れて、自主レーベルになった後の2作目。前作の「白熱(2011年)」の匂いも多少残しながら、80年代ポップスの匂いとピコピコエレクトリックサウンドで田島貴男の秀逸なポップス楽曲をコーティングした作品。
オリジナル・ラブのオシャレなイメージからすると、多少エキセントリック感あるポジションのアルバムなので、一般的なイメージからすると抵抗感があるかもですが、少し立ち止まって聴いてもらえると、楽曲一つ一つもいいものが揃っておりわりとキャッチーで聴きやすい。アルバム通してもとても軽やか。しかしエレクトリックとは裏腹に、その歌詞はとても人間味あふれるヒューマンポップス。このあたりは最新作のにも収録されている「AIジョーのブルース」にも継承されている価値観かもしれない。
前置き長いですが、では曲ごとにレビューを。
1. スーパースター:
口達者な権威者をスーパースターと例えて、皮肉を交えてその立ち振舞を歌い上げる曲。曲の立ち上がりから徐々にギターリフを重ねて、ピコピコのエレサウンドでアルバムの開幕を高らかと歌う一曲。
「あいつはスーパースター 最高ヒーロー 鏡に向かって呼びかけ踊るドランカー」。エレサウンドとともに歌詞も痺れる。
2. ファッションアピール:
シングルカット曲。曲はいいっす。だが、PVがだせぇ(褒め言葉的に)。
80年代っぽさをあえて残しつつも微妙なラインでオシャレ感を残した爽やかエレポップ。実は化粧品かアパレルのCMソングでも狙ってたんじゃないかという気もしなくもないサビのフレーズ。田島のオジキの声が大人感溢れまくってるので、一般大衆にゃその感じが伝わりにくいのが難。ダフトパンクみたいにエフェクターかけたほうがいいかもだけど、僕は好きです。
3. エブリデイ エブリデイ
一日一歩的なマラソンランナーの曲。こちらもシングルカット曲。
このアルバムのエレポップをわかりやすく表現した一曲。歌詞はとても地道なメッセージですが、とても爽やか。最新アルバムに収録の名曲「ゼロセット」にも通ずる一曲ですが、このときのほうが準備の曲。「ゼロセット」はスタートを切った後の曲。比べて聞くと、田島オジキの置かれていた立場と心情変化もよく伝わる。
私はランニングのときによく聞く一曲です。おすすめ。
4. エナジーサプライ
田島貴男の変態性と天才性を表す曲としては、シングルカットされた2曲とは別の軸となる曲。田島貴男が「不世出の天才」っていわれるっぽいやつです。
田島さん得意の洒落たリフ重ねて「?」な感じから気持ちよくなる構成。これが映画監督なら、活かした映画だなーとなるような。だんだん伏線を回収するような作りでかっこいい。
歌詞は、このアルバム通してある、現代社会の風刺テーマの中での、栄養と情報、エナジーをサプライする現代人の本質を切り取る歌詞。
たしかにですね、我々は何でもサプライしてますよ、そして足りない足りない言ってます。
5. 線と線
こいつはかっこいい。オリジナル・ラブのファンなら確実に唸るやつ。ズキューンってやつです。田島節炸裂。洒落やメロディとアレンジ、そしてキャッチーさ。そうです、こいつですよ。
これ聴いたときに「LINE」のCM向けにでも作られたのかと思いましたよ。
LINEでのやり取りを「線」、そして人と人の繋がりや境界を「線」として、デジタルとアナログのコミュニケーションを歌っています。歌詞の世界観と曲の軽快さとピコピコがテーマと相まってとても良いバランスに仕上がった曲。こういうの聴くと田島オジキもっと評価されないのって思ったりする。
6. きらめきヤングマン
個人的には一番好き。ダッセー歌詞とギリギリダッセーがめちゃかっこいい楽曲。だいたいタイトルが「きらめきヤングマン」ですよ。
この曲、歌詞が本当にいいんですよ。
私はこれを関ジャニ∞に歌ってほしいと、いつも思っている。
仲間 同胞 絆 SNS 皮肉 冷笑 茶化し オンパレード
みんなすこし機嫌が悪いぜ Wake me up!
きらめきヤングマン 青春が爆発
ありげで重たい 歌ばかり聴かされ
おれはきらめきヤングマン 孤独が爆発
意味ありそうでぜんぜんない 微笑みをたたえて Dance!
本当だよ、ネット上ではみんな機嫌が悪いw
7. セーリングボート
この曲、田島さんライブでもやるので本人結構好きなのかなと思う。
風に任せてセーリングボートでのんびり行こうよという曲。エレポップな浮遊感に載せてとても気持ちのいい曲です。
8. 一撃アタック
これはまた変な曲です。メロディはいいですが、曲の構成とリフ、へんてこりんです。また曲の世界観と歌詞もです。
恋の歌です、好きな子にアタックする意味での一撃アタックです。
ギターソロと掛け声の「Hey!」といい、円熟味をまして洗練こそされているが、やっていることはインディーズ時代と変わらない田島さんがそこにいます。
オリジナル・ラブになる前のバンドRED CURTAIN時代の「ロデオ・ソング」や「クリスタル・バター・ランド」と基本的には系統同じじゃないかと。
(参考資料)RED CURTAIN ~Original Love early days~
9. 太陽を背に
アルバム中最もアコースティックでピコピコしてない曲。
東日本大震災の後処理を歌った曲。田島さんがご自身でも活動に参加されていたスコップ団をリスペクトして歌っている。
おしゃれな渋谷系な時代(本人否定)の頃は普遍的なメッセージを好んでいた田島さんですが、昨今はこういうタイムリーな事象に対して身近なワードを使ってメッセージを出すようになりました。
10. 帰りのバス
名残惜しい幕引きの、お別れの歌。同じようなテーマとしては過去の「日曜日のルンバ」とか「Bird」とかがそうかもしれない。エレポップに仕上げてこのテーマをアルバムの最後に持ってきているけど、とても清々しい一曲。
アレンジすごくへんてこりんなのに、適度に変で、でもって軽快でじんわりなポップスと言うところに田島節が伺える曲。
今日も一緒にいてくれてサンキューベイベー
いつも一緒にいてくれてサンキューベイベー
「ベイベー」がダセーけど可愛いっす。そして、田島さんはなぜか、バスとか電車とセーリングボートとかマラソンとかアナログ感のある移動手段が似合うアーティストなのでした。
全体的にダサかっこいいエレポップアルバムです。100人いたら10人位は割といいね、と言い、そのうちの3人位は好きといいそうなアルバムですが、私のその中で一人かもしれない「大好き」と言っている人間です〼