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『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』新潟県三条聖地巡礼紀行
まえがき
読者の皆さんにあらかじめ言っておかなければならないことがある。当記事は、どぅーいっとゆあせるふの聖地巡礼の”ガイド”ではない。必要な情報が小ぎれいにまとまっていることもなければ、包括的かつ客観的に記されていることもない。三条のことに詳しくもなければ、よく練られたルートを辿ったわけでもない。
当記事は、冴えない20代折り返し地点のしょーもないオタクが、灯された火に鞴で空気を吹き込むかのごとく、オリジナルTVアニメ『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』から焚き付けられた内なる炎を大きく育てていく、魂の旅行記である。
目的
決まった__熱い前口上が決まったところで本旅行の目的を紹介する。
読者諸氏は「そんなの、聖地に行ってパネルとか登場した風景とか見るってんじゃないの」と言おうと口を開けたところだろう。シーッ。まあそう焦らないで。もちろんそういう目的もある。ただ、単に対象を見たり食べたりすることを目的として設定してしまってはあまり面白みがない。
そこで、あえて抽象的な目的を設定しよう。見た・見られなかった、行った・行けなかったで両断できるような目的ではなく、常に理念として意識できるものに。
ズバリ今回の目的は、どぅーいっとゆあせるふの聖地である新潟県三条市およびその付近を訪れることで、結愛せるふさんや須理出未来さんを始めとしたキャラクターの営みに思いを馳せ、彼女らがどのような風土、経済的特徴を持った街でいかなる影響を受けて成長していったのかという理解へ漸近すること。
聖地巡礼にもいろんな流派があるだろう。僕はその中でも、舞台として実際に登場した場所だけでなく、町全体のつくりや連関、エナジーを感じる(作中のみんながそうして日々過ごしているように!)ことに重きを置いていきたい。
グダグダと小うるさいのはこの辺にして、旅行について綴っていこう。
出発
さあいよいよ旅の始まりだ。ここで本旅行の参加者を簡単に紹介する。
poniyama
本記事の執筆者。オタク。
DIYでは結愛せるふ派。ヤマノススメだと黒崎ほのか派。
Lagh / えすほじ
本旅行の同行者。オタク
絵を描く時はえすほじを名乗っている。
DIYでは須理出未来派。ヤマノススメだと黒崎ほのか派。
以上。
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我々はまず東京駅へ集まり新幹線へ乗車した。この時点ではまだ新幹線に乗っているだけなので聖地でも巡礼でもないが、気持ちを高めるためにDIYアニメおつかれさま本を取り出し、眺める。本作の制作陣に思いを馳せる。今岡律之のざらっとした線のタッチが目から体に染み渡る。
ふと右を見るとLaghくんもリュックからDIYアニメおつかれさま本を取り出し愛でていた。しかも彼は保護のために段ボールの台紙に包んで持ってきていた。オタクが。
到着 燕三条駅
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到着してまず我々を出迎えたのは超巨大な六角凧。何事かと思ったが、三条市は六角凧発祥の地として知られ、三条凧合戦という催しは新潟県の指定無形民俗文化財にもなっている。それだけ歴史的なものなのだ。ちなみに凧合戦は「”いか”がっせん」と読む。
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(以下Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-をDIYアニメと略させてください。)
ここで思い出されるのがDIYアニメの六角凧サブレ―だろう。部長の家で茶菓子として出されていたもの。あれも地域に根差した品なのだ。
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次に我々を驚かせたのは超巨大なカトラリー。燕市と三条市*1は金物の街として知られるほど、洋食器や調理器具、工具などが有名で、駅ではそれを象徴するモニュメントが置いてあった。
しかし大きいな。担当者はもうちょっとふざけているんじゃないか。成人男性の身長ほどのカトラリーが直立しているならまだしも、斜めにすることでさらなる巨大化を実現している。
巨大な凧、巨大なカトラリーに気圧され、若干面食らっている我々だが、他であることに気づく。それ以外の駅構内が空っぽすぎる。物産展的な場所もあるが、それは観光客用であり、一区画に過ぎない。それ以外が本当に何もなく、空洞といってもいい様相だった。広島県の三原駅に行った時も同様の感想を抱いた。特に都会でもないのに新幹線駅だけがぽつんとあるタイプの駅の雰囲気はどこもこうなのか。
ちなみに僕の地元もまさにこの栄えていないのに新幹線駅だけがぽつんとあるタイプの場所だったのだが、一念発起したのかある時期から駅構内にお店を頑張って入れていた。儲かっているのかは知らない。
*1 燕三条駅という駅があるので勘違いされやすいが、燕市と三条市は別の市
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実際に登場した聖地が集中している東三条駅付近へ移動するため、在来線であるJR弥彦線へと移動。画像の通り、パリっとした田舎の雰囲気が僕らを包み、朝の少しひんやりとした空気も相まって今回の旅行が素晴らしいものになると確信する。地元を思い出す風景だ。
結愛せるふさんも、他の街へ遠出するときはこのホームへ来てから新幹線に乗るのだろうなと思いながら乗車し、東三条駅へ向かう。
聖地付近 東三条駅
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東三条駅はまあ特にこれといった特徴のない駅。しかし、駅から出てみて僕らは新潟に来たという実感を得ることになる。
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地面が赤い!土が赤いとかではなくアスファルトが赤い!これは高速道路のカーブ地帯のように赤く色づけされている道路ではなく、普通のアスファルトが赤黒く変色しているのだ。
これは日本海側ならではだろう。赤く変色するのは、雪国特有の融雪水のせいだ。地下から水をくみ上げ、道路に通された融雪パイプから水を放出することでドカ雪で走行不能になることを防いでいるが、この地下水には鉄分が豊富に含まれており、地上に放出された後に酸化することで赤くなっている。後ほど登場する聖地でもこの傾向が見られた。
聖地① カネギフルーツ
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まず訪れたのはカネギフルーツというフルーツ屋さん。フルーツサンドが有名で、午後に入る前になくなってしまうこともあると聞き、なんとしても食べたいということでここを最初に訪問した。
さっそくせるふたむが出迎えてくれているね...…ウッ.…。聖地にキャラパネルが置いてあるのって、場所によっては、やっとけばいいんでしょ、みたいなノリなことも無くはない。ジメジメしたオタクからしたら(;^_^Aみたいな気持ちが1mmもないと言えば噓になる。しかし実際にこうして目の前に現れると本当に嬉しい気持ちになる。人間何事も素直が一番ですよ。
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うむ.…やはりこうして比べて見ると、まさに、まさにだなあ。いいぞ、口角が上がってくる。高まる鼓動を胸にいざ入店。
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ドワア――――ッ 光り輝いている…。DIYアニメによる聖地化に対してかなり誠実に営業してくれているのがわかる。ぬいを飾って手書きのキャララミネートや寄せ書き色紙も置いて、ちゃんと巡礼者に楽しんでもらおうという意識が見える。
女将さんも我々をヨソモン扱いせず、純粋にお客さんとしてどのフルーツが良いとかこれは珍しいとか教えてくれた。あったかいよ、ほんと。写真も快くOKして頂き、本当にありがたい。
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そしてフルーツが光り輝いている。マンゴーとか、黄金?金の延べ棒が挟まれているサンドに見えてきた。苺も大粒で、使用されているフルーツの品質がとても高いのがわかる。
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僕はここでせるふたむ…結愛せるふさんが食べた苺とマンゴーのジョイフルサンドをチョイス。本当に美味しい。フルーツ自体の品質はもちろん、生クリームが優しくフルーツを受け止め、さらにパンも滑らかな触感で全体の統一感を支えている。これは美味しいなあ。せるふ達は高校生だけど、けっこうな贅沢なんじゃないのか、これは。
初日午前にして二人のボルテージは最高潮に。ロケットスタートみたいな出だしだ。
聖地② 一ノ木戸商店街周辺
カネギフルーツも一ノ木商店街の中に構えるお店なので、分けるのも少し変な気がするが、商店街付近全体について話していこう。
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先ほどは流してしまったが、まずカネギフルーツの前には結愛せるふさんのパネルがある。可愛いね....…。せるふさんが本当に”居る”ことが嬉しすぎる。
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せるふを始めとして、みんなが商店街のいろんなお店に居た。正直カネギ以外はあまり観光めいた場所ではなかったので、キャラだけ楽しませてもらった。
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そしてDIYアニメスタンプラリーの台紙を配布している星野園さん(お茶屋さん)が開店したため入店。
入店してお茶を眺めていると女将さんが出てきて「いらっしゃい~スタンプラリーの台紙?」と話しかけてきた。明らかに遠出している荷物の成人男性(オタクにしか見えない)が入店してきたため、何も言わずとも女将さんの中で美少女アニメのために来た奴と確定してしまった。そしてそれは正解で、我々はまさに台紙を求めて入店した美少女アニメ君なのであった。
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無事台紙をゲット。せるふ.…可愛いぜ..…。
せっかくお茶屋さんに来たのだから何か買おうと思って、玄米茶の茶葉缶をチョイス。新潟の雰囲気を感じていくぞ~と思い、茶葉の生産地を見たところ静岡県だった。静岡かよ。(僕は静岡出身)
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そしてこの商店街の端には「かどいち」という文字が特徴的な建物がある。ただこのかどいちという文字のある建物には今なにも入っていない様子だった。
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このかどいちを眺め、おー本当にあったーなどと喜んでいたら、Laghくんが「あの歩行者用信号機、雨に濡れないように屋根に入っていて可愛いね」と呟いた。
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たしかに.…。信号機が屋根の下にあるのはなんだか珍しいような気がする
。人工物がちょっと人間的な様子を見せているとなんだか可愛く見える。
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かどいちのある道を少し進むと、燕三条トライクというお店のある交差点に出る、ここはせるふとたくみんの帰路が分岐する交差点だ。
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燕三条トライクは、たくみんのシーンでがっつり映っており、制作時からちゃんと協力していることがわかる。シェアオフィスや貸しスペースという感じなので旅行では利用できなかったが、活気がありそうな雰囲気で気になるスポットであった。
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せるふが走り去るシーンでもわかるように、道路が赤黒く色づいている。上に示した僕の写真でも、アスファルトが赤黒く変色しているのがわかると思う。このあたりも現地取材を経て舞台を尊重した描写になっていることが伝わってきて嬉しくなる。
小休止 皆の住む場所
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ここでみんなの帰路が別れるシーンについて考えていきたい。たくみんは立ち止まり、せるふと部長が別の方向に進んでいる。たくみんが二人の内のどちらかと帰路の方向が同じである場合はついていくと考えられるし、たくみんは二人とは違い、燕三条トライクの裏を通って帰るのだろう。
せるふは横断歩道をわたり、そのまま直進していくように見える。部長はトライクの左側に抜けていくように見える。
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帰路の方向を考えると、たくみんは北上し、部長とせるふは川沿いに逆方向に進んでいくことになる。しかし、すてっぷ①ではせるふが自転車を壊し、後ろから追い越してきた部長に直してもらうことになっている。自転車が壊れたのは家のほぼ目の前、「ニュータウン」の坂であることを考えると、部長のわくわくワンワンはニュータウンのより上部であると推測できる。
そうなったとき、燕三条トライク前で別れたあと、真逆の方向に進むのは不自然に思える。すてっぷ②でぷりんが乗っていたバスが商店街から燕三条トライク方面に進んでおり、かつ自転車を引くせるふを下から追い抜く描写もあることから考えると、一ノ木商店街から「ニュータウン」に至るまでは何本も最適な経路があるとは思えない。よって以上に示した画像からはニュータウンがどの辺にあるのかは推測できない。
部長が帰りは乗っているスケート型セグウェイのパワーやバッテリーの関係で迂回路をとっているのか、用事があったのか。逆にせるふが自転車の関係でより自転車に適した経路を選んでいるのか。
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ただ、せるふの帰路である「ニュータウン」からの風景を見ることで少し考えられることはある。せるふの帰り道、せるふの背には緩やかな連なり峰が二つ見える。おそらくこれは弥彦山だろう。弥彦山は大崎山公園からその姿を確認することができる(大崎山公園の訪問については後述する)。よってせるふは、弥彦山を背に帰ってきており、大崎山公園方面に向かって登ってきていると推測できる。
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大崎山公園から見ることができる弥彦山もアニメの画像同様に、緩やかに連なる峰を見ることができる。
ここで一つの仮説を立てることができる。
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画像に示すように、部長もせるふも出会ったばかりでお互いの帰り道に頓着がなかっただけで、両方五十嵐川沿いを走行し、大崎山方面に向かっているという仮説だ。交差点の時点では両者別の方向に進んだように見えたが、それは川を渡るか否かという違いでしかないと見ることもできる。
せるふの通学手段は自転車、部長はスケート型セグウェイ。大崎山方面までの距離(約5km)を通うことは想像に難くない。
また、ニュータウン大崎山方面仮説を支持する描写はまだ存在する。
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ED映像で三条市を見下ろす二人。これを二人の住む「ニュータウンからの風景」だと考えると、大崎山方面仮説は強力なものとなる。この描写が大崎山公園からのものであるのはほぼ確実だからだ。
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画像左部にある五十嵐川の形状を考えると確定だと言えるだろう。争点はふたりの立つ場所が「ニュータウン」であるかどうかというだけになる。
ここまで話してきて、じゃあ住んでる「ニュータウン」は大崎山方面で確定ジャンということになるかもしれない。しかし、これだけ状況証拠を用意しておきながら、舞台としてはっきりと大崎山付近のモチーフを登場させたりといった明確な聖地化はされていない。なぜだろうか。
おそらく意図的なものだろう。こうやってしっかり聖地化を狙っている作品では、オタクの巡礼も街の迷惑に繋がりやすい。特に、住宅地のモデルを明言してしまえば、商業施設ではない単なる民家の付近にオタクが押し寄せ、迷惑になってしまうことは想像に難くない。実際大崎山公園付近はとても静かで、田んぼと民家しかない。
よって「ニュータウン」を生み出し、せるふとぷりんの家をそこに設定したのだろう。商業施設等では聖地化をしっかりと行いつつ、かつ民家等の街への迷惑にならないようにケアして設定を作っている。よくできた塩梅の作品だと思う。
ほんとの「ニュータウン」行ってみたいけどね。
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聖地③ 五十嵐川
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燕三条トライクを抜け、カネギフルーツのジョイフルサンドを頬張りながら我々は五十嵐川沿いを歩いていた。穏やかな時間が流れる場所で、とても気持ちがいい。川沿いの道にはベンチも置いてあり、一息つくこともできる。このように潤沢にベンチがある様子は東京ではなかなか見かけない。
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時間帯は違えど、ここもまたアニメに登場した場所だ~~ということでテンションが上がった。ただ聖地であるという以前に、本当に良い場所だ。高校生がさ、カネギフルーツのサンドをもってこんなに風通しが良くてベンチもある場所なんかを下校で歩いたらさ.....…そんなの最高ジャン...…。夕方の少しひんやりとした風を受けながら歩き、話が盛り上がったら帰りが遅くなることも構わずにベンチなんかに座っちゃったりしてさ…、そんなの絶対”ある”ことじゃん…。嬉しくなっちゃったな。
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聖地④ TREE +聖地化の取り組み
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川沿いの穏やかな雰囲気を満喫した我々が次に向かったのは、古民家を改造して営業しているカフェ・レストランのTREEさん。正直ここは「聖地」かと言われれば微妙だが、しっかりとアニメに登場しており、かつDIYアニメにとってはとても重要な意味を持つ場所であるため訪問した。
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昼は美味しいハンバーガーが食べられるということで、初日の昼食はここに決定。さっそく入店する。
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ド、ド、ドワ─────────ッ!入店したらすぐにカウンターに「全員」が並んでいて、気絶しそうになった。こんな.…こんなことが…。可愛すぎる(T__T)
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ホ、ホア──────ッ!せるふ達の ぬい の横には堂々とぷりんが立っている。せるふがカネギフルーツだったのであればTREEはぷりん、それだけこの店は重要なのだ。理由は後述する。僕はぷりんが特別好きな訳ではないけど、実際にこうして”居る”のをみるとグっっとくる(せるふパネルの時と同じ)
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早速ランチメニューからチーズバーガー的なものを注文。オシャレな名前がついていたような気がしたが、忘れました。
美味しい!このハンバーガーは地元の商店街やパン屋さんと一緒に開発したものらしく、セントラルキッチン的な概念とは対極に位置する。この土地、この商店街の魂のこもったハンバーガーなのだ。商店街を盛り上げよう。若い力で尖りながら地域にも根を張ろうという意識が感じられ、そういう意味でもとても素晴らしいバーガーだった。美味しいです、めっちゃ。
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DIYアニメ:すてっぷ⑫より引用
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http://tree-sanjo.com/food/
そしてTREEの内装はとてもオシャレだった。古民家カフェと聞くとなんだか古き良きみたいなのをイメージするが、椅子やテーブルはアウトドアブランドのもの*2 で統一されており、真ん中にはワンポールテント(実際には吊ってあったが)も鎮座しており、とても現代的な様相。アニメでも潟女の生徒が「カネギからTREEね!定番コースだよね」みたいなことを言っていたような気がするが、たしかにここに通うのはかなり満足度が高い。
(ただTREEさんも大人の価格のランチなので、カネギからTREEにはしごする女子高生は確実に破産する)
2* 椅子やテント、テーブルに至るまでSnow Peakで揃えられていた。下調べの時に知ったのだが、Snow Peakは新潟県三条市に本社を置いており、デカくておしゃれな建物を有している。
さて、なぜここTREEがどぅーいっとゆあせるふ聖地巡礼にとって重要な意味を持つお店なのかということを説明する。
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Youtubeチャンネル:にい経NEWSより引用
端的に言えば、この聖地化の取り組みの中心にTREE代表の中川さんがいるのだ。上に貼った動画の通り、本取り組みは地域に根差し、アニメファンと地域の交流を念頭に置いて設計されている。この構想があるからこそ、作品内では無理に気取っていない等身大のキャラクター達の地元としての三条市が描かれる。そして我々は現地に赴いた際にその土地の息遣いを感じることでキャラクター達への想いを深めることができるようになっている。
まず地域の中で理解を得て、その上でどのような形でアニメファンに楽しんでもらうかという順序が重要で、そして(強い言葉を使えば)オタクに地域が踏み荒らされないか、ということも考えている。結果として、商店街を回ってもらうことで経済的に活性化させ、他聖地についてもありのままで楽しんでもらえるようになっている。
ありのまま、というのは表現が難しいが、たとえば地域にもともと根差す催しにDIYアニメの要素を組み込むという取り組みも行われていた(たしかゲストが招かれていた)。地域住民からしたらオタクが押し寄せるのは物々しいかもしれないが、やはり取ってつけたような催しではなく、地域が今まで構成してきたものに着目してもらおうという視点が感じられる。
下調べしている時にこの「にい経NEWS」を見て本当に感動した。若社長が地元のアニメに詳しくなさそうな層に向けても説明を重ね、そしてアニメファン側のニーズも捉えている。美しいよ、ほんと。
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DIYファンベース
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TREEでの腹ごしらえを終えた我々が次に向かったのはDIYファンベース
アッ、アッ、アッ、アッ、「全員」居るね。。。
DIYアニメ聖地巡礼者が集まるファンベースが一ノ木商店街で営業しており、ファン交流ノートやグッズの販売、DIY(工作)の体験コーナーなどが設置されていた。僕が訪問した時にも我々の他に二組程度おり、楽しそうにしていた。
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入って最初に目に入ったのがこれ、DIY部の再現看板だ。これはDIYアニメ先行上映+キャストトークイベントでキャストと来場者が一緒になって作ったもので、ファンベースでは4月29日〜5月7日の限定で公開されていた。これは嬉しい。再現看板の期間限定公開についてはリサーチ不足だったので見れたのはとても嬉しかったしラッキーだった。
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ファンベースには、ファンから贈られた品が所狭しと並んでおり、この作品本当に愛されているなと実感した。他のアニメと比べて、アニメの人気度・視聴者数に対してファンの熱量がすごく高いような気がする。
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アーこれは嬉しいね。これは嬉しい。ファンが喜ぶわこれは、うん、これはファンが喜びますね(後方ものわかり面)。こうやってせるふの部員札が飾って会って、名札の木を購入すれば自分の名前を部員札として追加できることになっていた。自分もDIY部の一員になれたみたいで嬉しいよなあこれ。
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いや部員多すぎる。強豪の野球部かよ。
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フン......交流してやるとするか、ファン達とよ...…
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ファンベースにはDIYアニメに協力してくださっている株式会社高儀さんの製品も販売されており、そこからアウトドアマルチツールを購入した。後日談となるが、こいつは家で封筒を開けたりバーベキューの時に軽くものを切ったり栓抜きとして使ったりかなり活躍している。
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アニメ内で部長とかが使っていたようなガチの工具も置いてあり、テンションが上がった。欲しいな...。使う時ないけど…。
DIYアニメファンベース、来ている人もみんなほんのり笑顔で、なんならスタッフさんも笑顔で、とても良い場所だった。DIYアニメ聖地巡礼者はけっこう他の巡礼者をパブサで見つけているらしく、ツイッターの投稿にいいねをつけてくれた人の名前がこのファンベースの部員札にあったりした。この記事も見れくれるかな?
聖地⑤ 大崎山公園
さてファンベースでアニメエナジーを補給した我々は、次に大崎山公園に向かうことした。アニメエナジーが満タンになっているので片道5kmの道のりも問題ないだろうという算段だ。大崎山公園は先述した通り、せるふとぷりんが二人手を繋いで立っていると思われる場所だ。
(そして40分後…) 遠い…遠いな...。5kmってこんなに遠かったっけ…。
40分を経て大崎山公園を目の前にした我々だが、大きな誤算がそこにはあった。頂上に位置する公園までは舗装道とはいえ山道なのだ。疲れ果てた身体に最後山道がまっていることを計算から除外していた。
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のどかな風景が続く。通っていた高校の付近を強烈に想起させる風景が続いており、田舎って大体こんな感じなんだな、、と思った。
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長い道のりを経てやっと頂上へ、、
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ウワー!すごい綺麗な眺めだ!来てよかった!
三条市が一望できるように展望台が設置されており、とても気持ちのいい場所になっていた。運よく快晴だったこともあり、五十嵐川から弥彦山まで見渡すことができた。先述したように「ニュータウン」がもしこの大崎山公園方面だとすればなんと素晴らしい住宅街か。
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ちなみにこの展望台はこうなっている。イカついな。
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大崎山公園は、主にファミリーでにぎわっており、大変ほのぼのした様子だった。大きいリュックを背負って徘徊している謎のオタクは我々以外にはいなかった。
春の陽気の中、少し夏の色もついた風が吹いていて、今までの長い道のりの疲れを忘れさせるくらい清々しい場所だった。DIYのみんなも幼少期はこんな場所で身体を動かして育っていったのかな、などと考えるとジーンときた。
東三条駅方面への帰り道はタクシーを使った。大人なので。
聖地⑥ ステージえんがわ+三条スパイス研究所
大崎山公園への長い道のりですっかりTREEでの昼食を消化しきってしまった我々は、二回目の昼ごはんとしてステージえんがわ内の三条スパイス研究所を訪れた。
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ステージえんがわは駅前に位置する多目的のコミュニティスペースで、各種催しに利用することができる。そして施設内部では三条スパイス研究所というカレー屋さんが営業しており、美味しいカレーでお腹を満たすこともできる。
このスペース、何がすごいって一般利用だと利用料が0円なのだ。完全に市民のための地域密着施設だ。超オシャレな公民館みたいなものだね。そして驚きなのが、営利目的利用でも1㎡あたり1時間10円。ステージえんがわの屋根付き部分が全部で約149㎡なので(たぶん三条スパイス研究所含む)、半分の75㎡の面積で3時間イベントをやっても2,250円にしかならない。凄すぎる。僕もここでライブしようかな(何の?)
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すっかり腹を空かせた我々は美味しそうなカレーを注文。オシャレな名前がついていたような気がしたが、忘れました。
そしてこれがめっちゃ美味しい!辛すぎない辛味と適度な酸味が合わさって味が複層的に展開されていく奥深い味わい、香ばしいチキンも乗っていて最高だった。聖地巡礼者にサービスでつけてくれるスパイスティーは申し訳ないながら僕は少し苦手だった。。。そしてカレーの本筋とは離れるが三条スパイス研究所ではクラフトビールも売っており、僕はMikkeller Burst IPAをチョイス。これがまたおいし~~~~~~いのだ。。カレーの辛味と香りの余韻を殺さないながらもドカっと押し流す爆発的でフルーティーな香り、カレーに.…合う.…。テラス席で食べるのもとても気持ち良く大満足。本当に美味しかったです。ごちそうさまでした。
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少し惜しかったのが、上画像でDIY部のみんなが食べている2種盛りのスパイスカレーは食べられなかった(今は期間外らしい)。部のみんなが食べているのは2種盛りでライスは白米。僕が食べたのはルー1種でターメリックライス。もちろんとても美味しかったので不満はないが、今度は2種盛りも食べてみたいね。
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三条スパイス研究所内にはDIYアニメコーナーが設置されており、こちらにもファンノートが置かれていた。 ぬい たちも鎮座していて、大変かわいらしかった。嬉しいね。
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ステージえんがわの横にはせるふと部長が作ったものと同じベンチがあった。これはどっちが先なのだろう。もともとこういうDIYのベンチがあり、それをアニメに輸入したのか、聖地化に伴って実際に作ったのか。それはわからなかった。
聖地⑦ 八幡公園
二度目の昼食を終え満腹になった我々は、ついに初日の日程の最後となる八幡公園へと向かった。向かったといってもステージえんがわのほぼ真横なのだが。八幡公園はせるふとぷりんの幼少期回想で登場する公園だ。
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特徴的なてんとう虫モチーフの遊具が見えた瞬間、ア!と声を出してしまった。”まんま”だ...…。そして実物はとても小さい。そもそもアニメの時点でせるふとぷりんの幼少期で遊ぶのにちょうどいいサイズなのだから小さくて当たり前なのだが。
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このサイズ感。成人男性が同じような姿勢をしようとするとこんなことになる。昔よく遊んだ遊具って、大人になってからまた見るとちっちゃ~と思う。小型化してない?とすら思う。そんな訳はないのだが。せるふとぷりんも、高校生になってからこの遊具を見ると、小さいな~と思うだろうな。
この記事のために画像を整理していて気付いたが、この時のせるふとぷりんは小学生だったのか。画像右部の社にランドセルが置かれている。てっきり幼稚園生とばかり思っていた。赤いランドセルがおそろいで可愛らしい。ただ、DIYアニメ自体の時代設定を考えると、せるふは赤以外の色を選びそうだと思った。せるふが選ぶのは水色で、ぷりんが選ぶのは薄い紫、そんな気がする。最近の小学生はもう赤黒の二色ではなく、かなり多様化したランドセルになっているらしい。我々の世代だと赤黒以外ではブラウンが一人か二人いる程度だったが、今はもう違うんだろうな。
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さて、これで初日に予定していた巡礼は全て終了したことになる。というか、主な巡礼ポイントはこれで全て済んだことになるだろう。行けなかった巡礼ポイントについては後述する。ここからは巡礼よりも、聖地以外の三条市旅行記の側面が強くなる。ここで読むのを終えて頂いて構わないが、楽しい旅はまだ続く。ぜひ我々の旅にお付き合い頂ければと思う。
海産問屋 北野水産 燕三条店
旅行先で楽しむもの、一番はなんだろうか。風景?観光名所?ノンノン、違うだろう。旅行先の一番の楽しみ、それは..…
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夕食だろう!(ドン)
我々は事前の綿密なリサーチにより、日本海側の魚介と新潟の地酒をしこたま楽しめるお店を突き止めていた。それが北野水産である。ここは魚介の品質にとてもこだわっており、新潟の地酒が50種類も飲めるというとんでもない店だ。しかもこれは会計後に気づいたのだが、想像より安い!かなり飲み食いしたので一人8,000はいくかと思ったが、6,300円程度だった。これは嬉しい。
お店のお魚は本当に美味しかった。マグロの赤身など、今まで自分が食べていたマグロは何だったのかと思うような舌触りの滑らかさだった。地酒についても、花の香りが軽く柔らかに鼻に抜けるような本当に繊細で上品な味わいのものばかりで、土地が土地ならこんなものを食べられるのかと本当に驚いた。読者諸氏も燕三条駅に立ち寄ることがあればぜひこの北野水産に寄ってほしい。味は僕が保証する。駅から徒歩ですぐのところに位置しているので、アクセスも抜群だ。
食べている内にこんなことを考えた。DIY部の面々は高校を卒業した後に別々の道に進む。その後20歳を超えたあたりで再会してこの北野水産に集まる。そして美味しい魚介に舌鼓を打ちながら、あの頃は楽しかったねという思い出話に花を咲かせる...…。存在しない記憶が流れ込んできてじーーんときてしまった。頭に問題があります。僕はそういうのが好きすぎるのでゆるキャン△劇場版最高でした。
冥加屋ハウス
上質な夕飯を済ませて大満足の我々だったが、気づいた時点で既に宿までの電車で、乗り換え先からの終電が行ってしまっていた。終電が早すぎる。夕方から夕食を食べただけだぞ。東京に暮らしているとこの辺は麻痺する感覚だ。
仕方がないので途中まで電車で行き、タクシーで宿まで行った。大人なので。
今回我々がお世話になった宿は、弥彦駅前に構える冥加屋ハウスという宿。古くからやっている感じの年季の入った面持ちだが、隅々まで管理が行き届いている感じで、清潔感があった。女将さんの対応も大変良く、とても心地よく身体を休めることができた。
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宿では、DIYアニメを見て号泣。全部通しで見たわけではないが、最終話を見たら本当にめちゃくちゃ泣いてしまった。横にLaghくんがいるのに。DIYアニメって11話の時点でもう全て解決してるのにせるふとぷりんが”向き合う”だけで一話丸々使っていて凄すぎる。
号泣したあとは画像のせるふのような姿で寝ました。
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朝食の品数が凄すぎる…。貴族?とても美味しかったです。特に味噌汁が身体に染み渡り、もう一杯頂けませんかとおかわりを要求してしまった。そういうシステムはなかったのかもしれないが、女将さんは笑顔でもう一杯持ってきてくれた。
リフレッシュして体力も回復、素晴らしい宿だった。
福顔酒造
初日に行けなかったお店があり、それを回収するために二日目にもう一度一ノ木商店街へ。
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それがこの福顔酒造。新潟の地酒をぜひお土産(自分に)にしたかったので訪れた。ここもDIYアニメスタンプラリーの対称店舗。
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そして僕は吟醸五十嵐川をチョイス。最上級の大吟醸とかも少し気になったがさすがに手が出なかった。とても美味しいです。家でチビチビ飲んでいる。あとラベルがかっこいい。画像二枚目の5,500円の大吟醸とかすごいかっこいいな。
いこい食堂 (燕背脂ラーメン)
良いお酒をゲットできたところで我々は二日目の昼食を食べに向かった。今回選んだのは燕市あたりで有名な燕背脂ラーメン。新潟五大ラーメンの一つに数えられており、多くのお店がこのラーメンを出しているらしい。その中で我々はいこい食堂というお店を目的地に定めた。
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美味しい!二郎系とかのこってり感とは違い、スープは醤油一本のシャキっとしたクリアな味わいで、そこに背アブラの甘さが加わるタイプだ。脂の多さからくどいのかと想像しがちだが、醤油のクリア感と玉ねぎのサクサク食感が相まって麺はすすむ。美味しかった。ただちょっと量は多かった。
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家庭で出ても不自然じゃないくらい浸透してるのかな、でもその場合背脂ってどこから調達するんだろう。背脂ってスーパーとかで売ってるものなのか?あまり見たことがない。
三条鍛冶道場
腹ごしらえが済み、おおかたの聖地巡礼が済んだ我々は、事前調査で気になっていたものづくり体験に向かうことに。
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それがこの三条鍛冶道場で行われている「五寸釘によるペーパーナイフ作り体験」だ。なんと釘を打って研いでペーパーナイフにしてしまうというのだ。それは結構すごい体験なんじゃないかということで当日飛び込みで体験を申し込んだ。3人以下であれば特に事前予約は必要ないらしい。大変ありがたい。
これが、本当に行ってよかった。とてもとても楽しかった。以下体験の様子。
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これすごくないか。何の変哲もない五寸釘が本当にペーパーナイフになってしまった。ペーパーナイフどころか、このまましっかり研げばナイフになってしまう。初めてちゃんと真っ赤な鉄を打った。「鉄は熱いうちに打て」ってその通りすぎると実感した。「焼きを入れる」という言葉の原義も理解した。水で締めて叩くとカチカチになっている。すごい。めちゃくちゃ楽しかった。
親父さん曰く、夏になると子供が殺到するらしい。夏休みの自由研究の題材にもってこいなんだとか。たしかにそうだな。単なる体験としても価値があるし、ちょっと賢い子供なら温度変化によって分子の運動がどうとかまで書けるだろう。理科の範囲だったはずだ。
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そしてものづくりの街であることを痛感した。鍛冶道場には様々な道具の展示もしてあり、宮大工が使うような道具まで飾ってあった。三条市の付近にものづくりの文化が根付いていることが読み取れる。
そういう意味でも、DIYアニメがこの地を舞台としたことは本当に良いことだなと。いうまでもなく、この地のものづくりの文化は作品とは関係なく何百年と脈々と受け継がれてきたものだ。アニメを通じて我々はその文化に触れ、土地の息遣いを感じ取ることができている。旅を通じて土地固有の雰囲気を楽しむことは大事なことだ。
そしてせるふ達のDIYの精神を魂に取り入れることで、本来作品とは関係ない鍛冶体験までしに来てしまったのだ。それは恐ろしくも素晴らしいことで、アニメが我々を遥か数百kmも外側へ飛び出させたのだ。
燕三条地場産センター
さてこの旅も大詰めだ。まあ二日目は思いっきり雨だったので想定ルートを大幅に変更したのだが...…。
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燕三条地場産センターには物産館があり、食・観光・道具と三拍子揃った特産品を手に入れることができる。三拍子と書いたが、ほとんどが金物だ。金物が好きならすごく楽しいと思う。僕もすごく楽しかった。
何よりも高級な包丁がとてもたくさん置いてあるのがすごく嬉しかった。僕は自炊をけっこうするタイプなので、一本高級な包丁を持っておきたいと思っていた。
そこで思い切って一本購入した。それがこちら
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新潟県燕市の包丁メーカー、片岡製作所さんの高級包丁「響十」。積層強化木がすごく手に馴染み、切れ味も抜群。聖地のオーラを少しでも持ち帰りたいと思ってかなり思い切って買ったけど最高だ。たぶんせるふママも使っているだろうね。
現地で聖地ならではの文化や風土を感じることはもちろんだが、それに加えて聖地のエナジーを何らかの形で持ち帰りたいと思っていたので、今回それにピッタリな品を見つけることができてとても嬉しい。
帰路
目的地としていた場所はほとんどクリアし、大満足の我々は、新幹線を待つ間新潟を満喫した。
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さあ帰りの新幹線だ。新潟県、燕市、三条市、ありがとう!
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あまりにもジジイすぎる
まとめ
無事旅行の全日程を終え、帰宅してこうして旅行記を記している。これをあなたが読んでいるということは今はもう6月にはなっているだろう…。(行ったのは五月上旬なのにね、、)
まとめとして特筆することはないが、最初の「目的」を達成できたかについて考えよう。
どぅーいっとゆあせるふの聖地である新潟県三条市およびその付近を訪れることで、結愛せるふさんや須理出未来さんを始めとしたキャラクターの営みに思いを馳せ、彼女らがどのような風土、経済的特徴を持った街でいかなる影響を受けて成長していったのかという理解へ漸近すること
さて、この目的は達成できただろうか。まず、キャラクター達の営みに思いを馳せることは十二分にできただろう。様々な商業施設や公共施設を訪れることで、せるふ達もこんな風に、、と何回思ったことだろうか。特に、特徴的な場所ではない単なる公園や川沿いでそれを感じた。加えて、大崎山公園を訪れることで「ニュータウン」についても考えることができた。
そして、彼女らがどのような風土、経済的特徴を持った街で育ったのを理解することについても、訪れる前と後では天と地の差がある。訪れる中で、本当に地域にものづくりの街であることが根付いていることを感じた。
これは細かい話だが、キャプテンスタッグの広告があり、「もしかしてキャプテンスタッグって新潟の会社?」と思って調べたところ、新潟県三条市に本社があるとのことだった。しかも、元はパール金属(鍋とかめっちゃ有名)のアウトドア部門としてスタートした(そしてもちろんパール金属も新潟県三条市)ということだった。これはかなりの驚きであり、以前から知っているブランドとも結びつく貴重な経験だった。
鍛冶道場を訪れることができたのも良かったポイントだ。鍛冶体験は我々以外にも体験者がおり、そこそこ繁盛している様子だった。子供の頃にこのような場所に訪れたら決定的な体験になるだろうな。20代もそこそこの我々ですらかなりハシャいでしまったのだから。子供からしたら街のそういう要素が当たり前でも、大人になってから自分たちを囲んでいた環境が世間一般とはちょっと異なることがわかってくる。そうした時に自分を形成する要素の輪郭を少しずつ捉えていくのだろう。DIY部の面々も、自分の中に根付くものづくりの精神を、大人になってから少しずつ振り返っていくのだろう。
すこし横道に逸れてしまったが、目的は概ね達成できただろう。もちろんYes/Noの問題ではないが、この旅行はとても有意義だったし、これからまたDIYアニメを見返す時に感じられることはとても増えているに違いない。
上手くまとめられていないかもしれないが、この旅行を企画してよかった。読者のみなさんもここまで読んでくれてありがとうございました。
ここまで読む奴一人もいないかもしれないけど...…
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燕三条駅から東三条駅までの区間をコンプした様子
最後に、この旅行につきあってくれたLaghくん、本当にありがとう。そして新潟で我々の応対をしてくださった各商業施設の皆さん、DIY聖地化の諸々の立役者となってくださった中川裕稀さん、こんな素晴らしい体験をありがとうございました。
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番外編:聖地n 野積海水浴場
本旅行で訪問を泣く泣く諦めたのが野積海水浴場だ。DIYアニメの最大の見どころ、水着回の聖地だ。これは本当に行きたかった。だけど、行きにくすぎる。以下文句を垂れ流そうと思う。
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聖地巡礼者が野積海水浴場に行く方法は主に3つある。しかしそれがどれもエクストリームハードなのだ。
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① 弥彦駅タクシープラン
これがもっとも現実的だ。弥彦駅でタクシーを拾って野積海水浴場まで連れて行ってもらうプランだ。時間的にもキツくなく、特に苦労することがないルートだが、お金がかかる。弥彦駅から野積海水浴場までは車で10km程度だが、タクシー料金を計算すると片道でおよそ4,000円かかる。往復となると8,000円だ。海水浴場を見に8,000円かあ、、と我々二人は尻込みしてしまった。もちろん二人で割れば一人頭は4,000円だが、今回はバリバリ雨が降っていたため、雨の海を見に行って4,000円はちょっとなあとなってしまい断念した。
② 寺迫駅バスプラン
このプランが次に現実的だ。まず寺迫駅まで行き、そこからバスにのって超遠回りをしながら野積海水浴場付近の停留所で降り、そこから徒歩5分程度で到着するプランだ。あまりお金もかからず、道中の苦労もあまりないが、とにかくタイミングがシビアすぎる。まず吉田駅から寺泊駅までの電車が1時間に一本未満であり、それに加えてバスが少なすぎる。
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復路のバスの本数に至ってはこの有様だ。往路では1時間に1本未満程度あったが、電車(1時間に1本未満)+バス(1時間に1本未満)ではどう考えてもタイムロスが大きく、ガッチリはまったとしても逆に何らかのトラブルで1本逃せば立ち往生となってしまう。よってこのプランも諦めた。
③ 弥彦山徒歩下山プラン
これが最も非現実的ながら我々二人が一番乗り気だったプランだ。ロープウェイで弥彦山頂上付近まで行き、弥彦山パノラマタワーを満喫した後に、弥彦山裏参道コースという登山道を使って徒歩で下山し、そのまま公道に出て徒歩で海水浴場に向かうというプランだ。お金もかからないし待ちぼうけも発生しないが圧倒的な体力が要求される。ただ、下山というレジャーも付随するのでけっこう楽しみにしていた。しかし当日朝になってみたらバリバリ雨が降っていたので、さすがに無理だとなりこのプランも放棄。
検討
お分かり頂けただろうか。ヨソモンが野積海水浴場に行くのはとても難しい。一番現実的なのは4人くらいでタクシーを呼んで一人頭の負担額を少なくすること、または往路:弥彦山下山プラン+復路:弥彦駅タクシープランといったあたりだろう。
しかし、弥彦山下山プランについては、実践していないため、読者諸氏はかならず万全な装備と念入りなストレッチの上で臨んでほしい。我々も一応トレッキングシューズとトレッキングパンツの構えで来ていたが、実際には行くことができなかったので難易度は不明のままだ。
番外編:聖地n 新発田城跡
聖地と言うには怪しいかもしれないが、作中に登場したモチーフとして新発田(しばた)城跡が挙げられる。これはジョブ子たちが海辺で作っていた砂の城のモデルだ。
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余裕があればここに行きたかったが、今回の旅程に組み込むことはしなかった。理由は単純だ。
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遠すぎ。以上。
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新たにアニメとのコラボに乗り出した一ノ木戸商店街にとって、今回のイベントでどれだけの人を集められるのかはまだ未知数である。しかし、まず一歩踏み込まないことには始まらない。舞台になって画面に映っただけで人を呼び込めるものではなく、地域の取り組みがあってこそ継続的に「アニメの舞台」という魅力を発信できるのだ。
本当の本当に終わり。