馬鹿なのは俺だったのかもしれない
【Preface】
G'day mate! How's your day going?
珍しく一人でちょっといいカフェにてランチをしています。おしゃれなアボカドトーストの画像が見たい方は私のインスタへどうぞ。なお写真を撮るセンスがあるとは一言も言ってない。
冒頭から訳のわからん報告をかましましたが、北半球のみなさまお元気でしょうか。ケアンズはもう1ヶ月ほどで観光ベストシーズンが終わりを迎えます。それを証明する同僚との会話をご紹介して、前書きの延長を防ごうと思います。
半年暇ですやん。てなわけで、今日の分の「ちゃんと英語だよ!」アピールは終了ということで、本編に入ります。今日は現地で学んだ英語のフレーズではなく、日本人の同僚の愚痴から気づいた「日本人英語の文法的特徴」とでもいうべきものをご紹介、いやダラダラ徒然書き連ねてみます。
【They must be idiots!】
あいつら絶対バカだろ!ということでね、のっけから暴言タイトルで申し訳ありません。私の同僚として仲良くやれるくらいですから、歯に衣(絹)なんて一番良いシルクほども被せないのです。巻き込み火事は避けたいので、どの職場のどの同僚かは伏せますが。
帰り道が同じ方向だったので、ついでにと途中まで送ることにした道中のことです。曰く、どこで接客をしていても、「できない」と回答したことに対して、WHY?と聞いてくる奴らがいてうざすぎる。大体馬鹿にしたような口調だったり、苛立っていたりと、断られたことに対する不満を露わにする。さらに腹が立つのは、自分が「できない」とすでに回答しているにもかかわらず、わざわざ別のスタッフのところに同じお願いをしに行くこと。舐められているようでムカつく。
まあざっくりまとめるとこんな感じ。私個人の感想は、「まあ心の声としてならわかるな」でした。そりゃあ舐められてると思ってしまっても無理はないですね。
【They may be idiots.】
てことで運転しながらテキトーに相槌を打っていたのですが、何気なく返した自分の言葉が、今回の気づきのきっかけになりました。
「相手からしたら、”他のスタッフ、例えば偉い人ならワンチャンできるんじゃないか”って思ったのかもしれないですね〜。例えばあなたが研修生だと勝手に思った、とか。システム的にできないってことが伝わらなかったのかも」
てことで、私が実際にやる返しを参考までに伝えておきました。
とまあ、なるべく簡単にいうなら、こんな風に「私個人の問題ではないんでっせ〜」と理由を先に言っちゃうやつ。
もう少しフォーマルなら、
とかそんな感じ。"We are not allowed" は便利です。「許されてない」って言ってるので、どうにもならなさがめっちゃ出ます。
それでもダメなら、もう私には何もできないので、
とかいって大人しく他のスタッフに助けを求めるか、それができない状況、例えばみんな忙しいとかなら、
とかなんとか言って丸投げしちゃいましょう。
たかがいちバイトが全部解決できるわけないし、裁量権ないんだから。
そんな責任負うほどのお給料も待遇もされてません、ってね。オーストラリアでワーホリするならこのくらいふてぶてしくて良いと思います。
【Are they idiots?】
とまあ、一応「こう言ったらI can't よりはマシかも〜」くらいの話は僭越ながら元塾講師として提言させてもらって、同僚を落として(drop off)、私はいつものUberに旅立ちました。そう、歩き瞑想ならぬ、稼ぎ瞑想のお時間です。
なんとはなしに先だっての同僚との会話を思い返していて、「案外私が言ったことは的を得ていたんじゃないか」と思いはじめました。
これです。私は実際のシーンに居合わせたわけではありませんが、おそらく彼はお客さんに"I'm sorry I can't."と言ったのでしょう。だとすると、"I can't ."のニュアンス、含意するとことが、お客さんと彼では違ったのではないでしょうか。
実際に私も遭遇したことのあるシーンを想定してみましょう。
いわゆる現金化ですね。カードで決済をかけて、現金を渡します。英語ではcash out。知ってるとわかりやすいことこの上ない表現です。cash(現金)を、till(レジ)から、out(出す)。
このお願いに対して同僚は、上のように答えました。この時彼の意味する「できない」は、お店のシステムが全部タブレットで管理されているので、売上にないお金の移動はできない。つまりシステム上不可能、と言いたかったわけですね。
ここで問題になってくるのは、can'tというよりは、主語じゃないかと思ったのです。お客さんは、彼のI can'tを、「私にはできない」と受け取ったのかもなー、と思いついたんですね。
もしそうだとすると、「じゃあ他のスタッフならできるんか」と思って別のスタッフに頼みに行くのも納得だし、「なんでできないの?」と、噛み砕くなら「お前にその能力がないのか、店としてできないのか、どっちだ」と聞いているwhy?とも捉えられるわけです。
なんてったって第二言語としての英語ですから、齟齬なんて発生しまくります。日本人同士が日本語で喋ってたって「話が通じない」なんてことザラなんだから、それが第二言語になったらズレやすくなることなんて当たり前っちゃ当たり前です。
先ほどの会話に、( )でお互いの心の声、まあこれもあくまでも私の仮説でしかありませんが、を加えて書いてみましょう。
$20ドル現金にしてもらえたりする?
-ごめんなさいできないっす。
(システム上現金化の操作できないようになってるんだよな)
なんで?
(こいつが研修生だからなのか、何か買えばついでに現金化できるとか、そもそも禁止なのか、どれだ?)
-いや、できないんすよ…
(できないっつったろなんだよ「なんで?」ってバカなのかよこいつ)
男女のよくあるやつみたいなすれ違いですね!!!悲しい!!!!
【Are WE idiots?】
彼が主語に1人称単数の"I"を使ったから、お客さんが誤解した。これ、日本人にとってはイマイチピンとこないかもしれません。ちょっと詳しく説明してみます。
英語と日本語の違いの1つに、主語の省略しやすさが挙げられます。
日本語は、古典からもわかるんですが、主語をいちいち言わないんですよね。だから、英語を喋るときに、使い慣れてるものを選択しがちです。
極めて日常的な友達との会話…だと思ってもらえると思うのですが、これ、英語で言うところの「主語」が全然出てきませんよね。字面に出てくる登場人物は「弟」だけ。日本語は1人称視点での語り方をするんです。
一方、これを英語に訳してみましょう。
こんな感じ。全部の文に主語が補われて出てきます。日常の喋り言葉では明瞭に発音されないにしても、1人称も2人称もちゃんと入ってるんですよね。
正直、私もいまだに代名詞に苦戦しています。どうぞ笑ってやってください。マジでheなのかsheなのか、hisかtheirか、喋ってるとそこまで神経が向かないんですよね。だからつい甘えて常に固有名詞とか、代名詞を使わないように喋ってしまうことが多いです。だって私の脳みそ国産だもん、いちいち相手の性別考える思考回路は絶賛敷設中だもん!
てことで、同僚が、WE can't.と言っていたら、「お店のスタッフ全員ができない(それを彼が代表して言ってるだけ)」というニュアンスになって、少なくとも彼の目の前で別のスタッフにも同じお願いをする、という、日本人からしたらちょっと失礼に見える振る舞いはしないんじゃないかな、と思ったのです。
【I might have been an idiot.】
このダラダラした思考をそのまま同僚に投げつけるわけにもいかないので、極めてシンプルにLINEしておきました。
……シンプルだよね!?こうやって自分の文章を改めて別の媒体で読み直すと、感じ方が違ってなんか落ち着かない気持ちになりますね。
何はともあれ、同僚から返ってきたのはさらにシンプルな一言。
だとしたらmake sense
ここで「納得」ではなく、あえて英語にしてくるあたりユーモアのセンスの高さを感じさせますよね。本人もめちゃくちゃ喋りやすくて面白い人なんですが、チャットでもちゃんと面白いことはこの時初めて知りました。
【Postscript】
今回はちょっと人称代名詞について考えてみましたが、いかがでしたでしょうか。こんなことばっか言ってるから「そんなこと考えてんの!?」と言われるんですよね。でもこの言葉に込められたニュアンスがいまだによくわからない柑橘です。呆れなのか、驚きなのか。まあなんでも良いんですけど。私がこの手の思考を辞める日は来ないでしょうから。
ぼやきはさておき、同僚の愚痴のおかげで、改めて人称代名詞の背景にあるニュアンスと、日本語のそれとの違いを考えてみることができました。この場でお礼を言っておきます。どうせあの人見ないけど。
"I"がいつでも立ってる言語、なんですよね、英語って。
それに対して日本語は、できるだけ自己を表面化しない。
「私」という概念を考え始めると帰れなくなりそうなのでこの話はこの辺にしておきますが、やっぱり私は自分の状態に自覚的でありたいなぁ、としみじみ思いました。師匠にもよく言われるので。Catch yourself!って。7000存在すると言われる言語のうち、たかだか2つ知ってるだけでも、1つじゃないってすごいことなんですよね。比べてみられるから。あ、だから英語って単数と複数にこだわるのかな。とりとめのなさがえらいことになってきたので、今回はこの辺で。またお会いしましょう。
Thank you for reading.
See ya when you come back to me.