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中学校の思い出

舞台の袖で芝居を見ていてふと思い出した。
あれは中学2年生の時
演劇クラブで真夏の夜の夢をやることになった。
理由は3年生がドレスを着たいから、という実にくだらないものだった。

さてやるからにはオーディションをすることからだ!と3年生は鼻息荒くシェイクスピアの舞台なぞみたこともないのに言い始めた。
わたしも劇の内容なんて一つも分からぬままオーディションを受けることとなる。

やるからには変な役がやりたくて
パックを選んだ。

オーディションにはクラブ長、副クラブ長、先生が並んだ。
わたしは淀みなくパックの台詞を読み上げた。
副クラブ長はオーディションを忘れて『うまっ!』と声をあげた。

わたしはオーディションに落ちた。
3年生の先輩が、つまって噛んで台詞を読む。
みんな内容なんてわかってないんだ。

真夏の夜の夢は実に美しい物語だが、ジャンプやりぼん、なかよし読んで、ジャニーズにワーキャー言ってる脳みその我ら中学生には難しすぎたのだ。

わたしは舞台の下で先輩の芝居を見た。
在校生が、
「意味分かんね、なにこれ」
「はよ終わらんかなぁ」と声を上げ始める。

お芝居の意味はなんだろう。


舞台袖の大人な私に戻り、拍手喝采のステージを降りたこどもたちがマイクを返しに来る。
その誇らしげで、また少し安堵した顔を見て
お芝居はこうだよね、とわたしは片付け始めた。

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