私の現実
8歳の時小さな嘘を知って、病気の子に憧れを持った。
どうして明日の命も知れない子と変わってあげられないのだろう。
12歳の時死にたくなった。
13歳で不登校になった。
14歳で記憶が飛んで、
15歳で先生を責めた。
16歳で精神病院に入院した
18歳で大学が怖くて
19歳で日本を飛び出す。
そんな私を殺さずにいてくれたのは妄想である。
私の世界は妄想が全てだった。
妄想で全てがどうにかなっている。
友達も学校も旅行もお仕事体験も。
ただ手元に何もないだけ。
その世界を生きている。
現実に戻ってくるのはベッドに入る時だけの日もあった。
人生の初めの方で妄想はいけないことだと思い込んで、
背徳感を背負って生きてきた。
17歳の時、初めて精神科のカウンセラーさんに妄想の世界のことを話した。
「妄想をすることは悪いことではない。妄想はあなた自身を守っている。」
と言ってくれた。私はそれでも自分のことが許せなかった。
私の中では第三者に私の妄想=現実逃避と見られると疑わなかったからだ。
やめようと思ったことは何度かある。
糖分やカフェインを摂取するのとおんなじ。
辞めることは簡単ではない。
私の記憶の中では5歳からの習慣だからだ。
息を吸うように私はその世界の中に入ってしまう。
「妄想があなた自身を守っている。」
この言葉は半分当たっていて、半分間違いである。
妄想は私を辛い現実から引き離してくれて、
嫌なことや面倒くさいことを忘れさせてくれる。
この世の科学的な根拠のないものやありえない矛盾も
ロジックに吹っ飛ばされない。
本当の私ではなくても、本当の私でもいい。
私の妄想は意外にも現実的な人や意地悪な人、理不尽な人
面倒な人が登場する。
設定はコロコロ変わる。
誰かが死んだり、社会問題に巻き込まれたり。
災害が起きて戦争もやってくる。
自分が怪我をしたり、病気になったり、
意識不明になって、記憶喪失したり。
実は自由ではない。
気づいたら現実の私が泣いている。
何より妄想世界の正義や論理が現実の自分を振り回してくれる。
だから私は妄想世界に依存することで傷も負う
小学生の時、友達とこの世界を共有しようとしたことがあるけれど
もちろん失敗をした。
中学生の時、物書きを目指していたけどこの妄想世界とはもう一つ別の世界を作って文章を綴った。妄想世界がバレるのが怖かったから。
けど、リベンジしたい。
この世界を誰かに共有したかった小さな私と一緒に。形あるものにできるように。