見出し画像

ボクシングを始めて執筆スピードが倍速になった

タイトルの通り、2年前にボクシングを始めて執筆速度があがった話をしたいと思う。どうか引かないで(怖がらないで)最後までお付き合い頂けると嬉しい。

最近私はドラマの本打ちの休憩時間や、脚本仲間との飲み会で、隙あらば「ボクシングお勧めですよ」とプレゼンをしている。なんならシナリオの話をする時よりも熱量が高いと思う。そのプレゼンの成果として、先月はドラマをご一緒したプロデューサーさんと、久しぶりに会った広告時代の後輩と、脚本仲間がトライアルに申し込んでくれた。もうここまできたら布教活動、マルチ勧誘の域である。

せっかくなので(?)何がそんなに良いのか、今日ついに決着をつけたいと思う。

2年前といえば、私はちょうど脚本家としてキャリアがスタートしたタイミング。駆け出しあるあるでとにかく依頼される仕事が多い。脚本、企画開発、プロット作成、漫画原作などなど……断らずに全部受けていると10~15本くらいの仕事が同時進行する。(15本が何の数字かというと、それ以上受けると体を壊すギリのライン)
もちろん断ればいいのだけど仕事はやっぱり楽しいし、なにより「やります!」と受ける瞬間が1番快感で、あとで地獄を見る。

忙しくなる前は毎日2~3時間ウォーキングをしていた。でもだんだん歩く時間が取れなくなってくる。運動不足が加速し、1日中パソコンに向かうせいで腰はオシマイ、集中力も続かずネットを見てしまう時間も増えて悪循環だった。

そんな時始めた、ボクシング。
初めて受けた時の衝撃は凄まじかった。

たった45分でプールに飛び込んだくらいの汗が出る。体が信じられないくらい軽くなる。頭がリセットされる。
高校時代ぶりに体が軽くなったのが嬉しくて嬉しくて、帰りは駅の階段を二段飛ばしで駆け上がってしまった。そのボクシングの広告のキャッチコピーでは『アフターバーン効果も合わせて800〜1000キロカロリー消費です』と書いてあるのだけど、嘘じゃない。本当にそれくらいの運動量だった。

何より嬉しかったのが、とにかく死んだように眠れること。朝まで熟睡。初めてボクシングを受けた翌日は頭が冴えきっていて、一日中執筆がめちゃくちゃ捗った。

これに味をしめた私は、普段の生活にボクシングを取り込むための環境を整備することになる。まずはボクシングがあるスタジオの徒歩2分圏内にワークオフィスを借り、行きたい時にいつでも行けるようにした。執筆を開始すると大体3時間くらいから集中力が切れて頭がぼーっとしてくる。これまではぼーっとするとネットを見てダラダラしてしまったり、なんだかんだ無駄に時間が潰れてしまっていた。
でも今は集中力が切れた瞬間にボクシングへ駆け込む。そして滝のような汗を流して、シャワーを浴びて、またワークオフィスに戻ってくる。1時間半もかからない。

私は1つ仕事を納品すると、それに引っ張られて次の作品になかなか頭が切り替えられないことがある。なので1日に複数の仕事に取りかかる時は、切り替えのタイミングでボクシングへ行き、一旦頭をリセットさせてから次の作品に取り掛かるようにしている。

もう1ついいのは、打ち合わせ前。
プロットや脚本を納品すると、どうしても「自分頑張った~!」というエゴが出てしまう。でもこのエゴは本当に邪魔なのだ。たとえば打ち合わせで全てがひっくり返されてイチから書き直し!みたいな意見が出た時に、めちゃくちゃダメージをくらう。あれだけ時間をかけて考えたのに……と自分可愛さに落ち込んでしまうのだ。

はい、そこでボクシングである。

長時間かけて一生懸命作業したことから生まれる”執着”や”エゴ”が、頭から全て洗い流されて、さあさあ何でもござれ!!という気分で打ち合わせに望むことができる。
なんなら「うん、いいですね」と直しがなくすんなり通ったりすると、前のめりで本当にいいんですか!?全然直しますよ!?という謎の引っくり返され待ちみたいなテンションにもなる。
とにかく、作業したことへの執着やエゴが消えること、冷静に相手の意見を取り入れるメンタルが整うことが、とっても良い。

そして打ち合わせでボコボコのけちょんけちょんにされた後のボクシング。
これはもう至福である。
サウンドバックはもはや自分。自分に見立てて、ただひたすらに打ちまくる。なんなら打ち合わせの時に言われた言葉を思い出して、ちょっと泣く。無能な自分を叩いて叩いて叩きまくる。ここまでくるともう45分間の自分との対話である。そして終わると、ちょっとだけスッキリして帰る。

ちょっと話が変な方向に行ったが……
とにかく色んな人にお勧めしたい。これからも会った人片っ端からプレゼンをしていく。

最後にアーノルド・シュワルツェネッガー先輩の言葉で締めたいと思う。

「筋肉がNoと答えたら、私はYes!と答える」