見出し画像

ロスジェネ世代、最後の戦い

マシュマロを開いてみると、ぬいぐるみで溢れる質問箱の中にロスジェネに対するものが届いていた。内容を抜粋するとこうだ。

「ロスジェネ、氷河期世代に対する論調は一瞬だけ同情のような空気が流れていたが盛り上がらなかった。そしてロスジェネ世代である山上容疑者の凶行を機に風向きが変わり、ロスジェネは社会のお荷物であり無敵の人を多く内包する世代と見なされ、風当たりが非常に強まった。ロスジェネ世代はもはや手遅れであり、救済することは次世代の負担になることに皆が気が付きだしている。これからはどんくさいロスジェネは上の世代だけでなく若い世代からと説教される苦しい立場に置かれるだろう」といったものだった。

ロスジェネ世代当人として、上記の意見におおむね賛同する。このまま社会のレールから零れ落ちたロスジェネ中年は、特別な救済措置を受けることもないまま年老いていくだろう。過去のロスジェネ世代noteにも書いたが、今のところロスジェネ世代は大きな市場であるため、企業も政治も助けるまではしないが表向きは優しい顔をしてくれている。しかし、ロスジェネ世代は最後のもう一つ、大きな仕事を背負わされるであろうと筆者は考えている。

ロスジェネ世代の最後の大仕事、それは高齢者になった時に歪な社会保障制度を改革するための人柱となることである。

現在の日本の社会保障制度は若者からお金を徴収し高齢者に配る仕組みに偏っており、こんなものが少子高齢化社会で維持できるはずもない。どこかで見直しをしなければならない。

社会保障制度を変えるには批判の矛先を向けるためのスケープゴートが必要だ。未婚者が多く将来頼れる親族もおらず、生活保護など公的社会保障制度にぶら下がることになるであろうロスジェネ世代の老人たちは、まさに吊るし上げるには格好の羊である。

「ロスジェネ世代の老人に使われる社会保障費が現役世代の生活を圧迫している!彼らは結婚もせず子供もいないため国が面倒を見るしかないがもう限界だ。彼らを切り捨てて我々現役世代の負担を減らし、少子高齢化社会でも次世代を残せるような若者の負担が少ない社会保障制度を再度構築しよう!」

頃合いを見てこのような大号令が発せられるであろう。それを合図に現役世代以下の同意のもと、ロスジェネ世代の医療費負担は引き上げられ年金支給額は減少、老後の貯えのないロスジェネ老人は途方に暮れることとなる。俺たちは団塊の世代のためにあれだけの社会保障費を毎年支払っていたのに!と叫んだところで、団塊の世代はもう逃げ切っており後の祭りだ。

このようにロスジェネは墓に入るまで棒で叩かれ続ける。すでに若者たちはロスジェネ世代を「20年30年も昔のことをネチネチ愚痴ってる人生に失敗した鬱陶しい中年」と認識し出している。この意識は今後強まっていくだろう。

怒れる一部のロスジェネが無敵の人となり、何らかの凶行に及ぶようなことをしても、上記のようなロスジェネを吊るし上げる世論を後押しすることにしかならない「希望は戦争」と唱えて自宅で爆弾を作って令和版の”太陽を盗んだ男”をやったところで、自分たちの首を絞めるだけである。

このまま順当にいけば、ロスジェネは社会保障費という国の柱を食らい尽くすシロアリとして社会から糾弾され、制度を変えるための生贄にされるのだ。

打つ手なし、ロスジェネ世代の未来は変えられないのだろうか?ロスジェネがここから何とか巻き返し、最後の戦いに勝利する方法はないのであろうか?

ここから先は

864字

¥ 250

サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!